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新パーティー結成③



「基本的に街のパーティーとダンジョンのパーティーでは仲間の人数と収入を得る方法に違いがある」



「そういえば、グレンさん達なんかは2人組ですし他の方々も3人組で人数が少ないですよね。冒険者のパーティーっていうと少なくても4人くらいで多いと8人くらいとかだと思ってました」


その辺は依頼主も不満に思ったところになんだろうな。

露骨に顔をしかめていたし。


「それくらいに人数を増やすのはランクを上げてからだな。例えばだけど、冒険者ランクがFで受けられ依頼は街の中でのちょっとした仕事が多くて報酬も安く、多くても100ゴールド前後で普通は60~80くらいだ。それを4人で分けると1人頭の収入はどうなると思う?」



ちなみにだが一般的な成人男性の1月の収入は1500~2000ゴールドくらいと言われている。

仮に100ゴールドを貰えても4人だから1人25ゴールド。

25×30で750ゴールド。

休みなく1月働いての話しだから実際は更に少ない。



「えっと、確かにそれだと生活が苦しいですよね」



「そうだね。だからFランクは基本的には1人。多くても2人くらいになる」


そうしないと生活がね。

Fランクではパーティーを組むよりもバラバラに依頼を受けた方が効率も良いし収入も多い。


「なるほど」



「そしてEランクからはゴブリン退治なんかの魔物との戦いがあるから安全を考えて1人から2、3人になる事が多い。依頼報酬も増えるしゴブリン等の魔物はは討伐証明部位を提示すれば報酬が貰えて一匹辺り30~50ゴールドにはなるから多少は懐がね」



ゴブリンの場合は50ゴールドだとして1人頭だいたい30匹は狩らないとならないしあの頃は他の依頼をこなしながら見つけたら積極的に狩るようにするしてたな。



「とはいえ、魔物との戦いは武器の消耗や魔物の血や臓物で汚れた防具のメンテナンス代で大分取られ事になるから厳しけどね」



魔物を上手く斬らないと骨等で武器が欠けたりするしメンテを怠ると魔物の血と脂で武器がダメになる。

返り血を浴びると防具や服が臭くなるのもきつい。斬った時に内臓なんかを浴びた時は最悪だった。

ダメにした衣服の買い替えでも金が飛んだからな。


ゴブリンを石を投げたり砕いて尖らせた石器を武器にしたり、いかに返り血等を浴びず剣をを使わずに倒すかに苦心したか。

武器や防具を魔法でメンテ出来るミリアに本当に世話になってるよ。


それを追放するとかあり得ないよな。

冒険中の武器の磨耗や防具に付着した魔物の血なんかをどうするつもりだったんだグレンの奴?

毒を持ってる魔物を退治した時に武器や防具に付着した毒が原因で人が死ぬ事もあるしそれを防げるミリアの有能さには拝むほどだったんだがね。


「あ、それはわかります。」


「私も。せっかく買った武器もだけど服がダメになったのは本当にイヤだったな」


「魔物の血とか臓物浴びて臭くなってさ。家に帰ったら母ちゃんに殴られた。近くの川に入って臭いが落ちるまで家に入るなって。おまけに服の汚れが落ちないから買い替えてお金が飛んで。予備の服まで買う事になって本当に散々だった」


この辺は冒険者あるあるだよ。

冒険者に成り立ての女の子とかゴブリンとかコボルトの血とか浴びて冒険者辞めるとか普通にあるし。


「そういうのを乗り越えて魔物の討伐を続ければDランクになるわけだ。そうすれば今回の依頼のように一度の依頼で1000ゴールドを越える報酬を得られる仕事を受けられるようになるわけだけどその分危険も多いし怪我を負う可能性も高まる。だから仲間を増やしてリスクを減らすようになる。で、得られる報酬とリスクを考えるとDランクでは3人くらいCでは4人、Bからは5、6人となっていく」


安全を考えるならば低いランクでも人数が多い方がいいのだけどな。安全を考慮しないならばソロになるし。



「納得できるようなできないような」


「ま、あくまでも目安だからな。それでダンジョンのパーティーだが、彼らの場合は基本的に収入がダンジョンで倒した魔物のドロップアイテムと宝箱等から得たアイテムが主になる」



「ダンジョンでは魔物を倒すと魔石やアイテムを落とすのですよね」


あれは謎なんだがな


「そうだな。そして魔物を倒して得た魔石を集めてギルドに売ったりダンジョンで出るドロップアイテムを売って収入を得るわけだが、魔物が無数に生息して罠等も存在するダンジョンに1人2人で入るのには危険が大きい。また、半ば歩合制なので多くの魔物を倒さないとろくな収入が得られない」


多くの魔物を倒してそのドロップアイテムも持ち帰るとなるとどうしても嵩張るし荷物を持ちながらの戦闘なんてのは厳しい。

荷物持ち専用の冒険者なんてのもいるくらいだしな。


「それでパーティーの人数が増えるわけか」



「そうなるな。例外は多少あっても、収入やランクに合わせて人数を増やす街の冒険者と無理をしても人数を揃えなければ潜れないダンジョンの冒険者。在り方に違いが出るのは仕方ない事だよな」


結果的に生活を考えて人数を絞る街の冒険との人数を増やすダンジョンの冒険者となる。




「ん、あの、俺達はEランクですけど3人で組んでますが生活が困った事とかはありませんよ?」



「一応聞くけど、村で冒険者をしていて食事や泊まる所はどうしてるのかな?」


「え、それは家がありますから家で寝て食事は母さんが用意してくれますけど」


答えを言ってるようなものなんだけどな。

行者の人と女の子は気付いたか。



「街で普通に冒険者をするなら泊まるのは宿だから宿代が必要だし食事も街の食堂とかお店に行くからお金がかかるよな」


「「あ」」


「食事と宿がタダなら生活には困らないだろう。だけど冒険者として外に出れば色々な街に行くし宿や食事等を含めてお金がかかるんだよ。ちなみに、街に長く留まる予定とかなら賃貸の家を借りる方が宿に泊まるよりも安く済む事もあるかな。その場合は食事も自炊して安く済ます事も可能だし」



数日ならいいけど一月の間ずっと宿に泊まって外食もするなんてのは低ランクの冒険者がやると本当に生活に困るからな。

ダンジョンのある街なんかでは冒険者ギルドや商業ギルドが冒険者用の宿舎を経営していたりするのだが。


「それを考えると私達が村から出るのはまだ難しいかな?」


「だけどDランクに上げるまで待ってられないよ」


「だね。村にある冒険者ギルドの出張所にはろくな依頼はないし。街まで行って依頼を受けるのも手間がかかるし。無理してでも街に行く方がいいんじゃない?」



無理に街に行くというのはあまり進めないが何時でも村に戻れるというならば試してもいいのか。



「その辺りはご自由にって感じだな。ただまぁ、試しに街に行って活動して無理なら村に戻るってのも手だぞ。その場合、何時でも村に戻れるって甘えが出るとまずいだろうが」


「あ~、それはありかも。でも確実に甘えが出そう」


「だな。きつけりゃ村に戻れば良いって考えたらまともに冒険者はやれないだろうし」


「そうですね。逃げ道があるとやっぱり。ミリアさんは何か良い方法を知りませんか?」


お、ここでミリアに振るのか?



「いえ、あまり詳しくないので。私の場合はグレンさんに拾ってもらっただけですし」



「拾ってもらった…………。グレンさん達は新しくメンバーの募集とかしてない?」


「あ、そっか。グレンさん達のパーティーに入ればDランクになるのか」



「悪いが現状で募集するとして1人くらいだ。他のパーティーにも声を掛けてみるのもいいかも知れないが間違いなく君たちのパーティーは解散する事になるぞ?」



3人も受け入れるとかは無理。

その場合はまったく別のパーティーになるし連携の訓練等も必要。

そもそも、信用出来るかわからない相手を3人も受け入れられる訳がない。



「あはははは。冗談ですよグレンさん」


「そうそう、冗談」


その割に目がマジな気がしたけどな。









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― 新着の感想 ―
[一言] 正論マシーングレン…その正論は元パーティリーダーにも響く…! って感じでスパスパ言うグレンが気持ちよかったですね! 追放と同時にざまぁが成立するのは面白いと思いました!本当どうするんでしょう…
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