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新パーティー結成②

ギルドより受けた依頼書を持って街の出入り口の門に向かえば二台の馬車が停留している。あれが依頼主の馬車でいいのか?


「他の冒険者の方ももういるみたいですね」


見れば馬車の回りに二組のグループがいる。

獣人種を中心とした三人組と赤い髪の男を中心とした三人のパーティー彼ら彼らが供に依頼を受けるパーティーなのだろうか?



とりあえず近づくか。


「ゴブリン退治の依頼をしたマリオさんはいますか?」


「あ、私がマリオです」


三十代くらいか?

それなりに鍛えている体をしているな。


「依頼を受けたDランク冒険者パーティー『黒の蛇』のリーダー、グレンです。こちらがパーティーメンバーのミリア」


「?お二人だけですか?」


訝しげな顔をしているがメンバーが二人ってのは少ないからな。

まぁ、しゃーない。


「ええ。俺とミリアは二人でDランクになりましたから」


「そうですか。…………依頼を受けて頂いた冒険者は三組となりますので貴方がたで最後です。そちらの馬車にお乗り下さい」


マリオさんの顔はやや不満そうだが。

冒険者パーティーを三組集める依頼。

多くの冒険者を雇うつもりだったのに二人組のパーティーがいれば仕方ないか。

馬車を用意しているあたり三組で十人以上の冒険者を集めるつもりだったのだろう。

いや、この馬車は村の作物等を運ぶ為のものか?

となると村から街に物を売りにきたついでに依頼していたわけか。


「とりあえず、乗るか」



ミリアと供に馬車に乗り込むと冒険者らしい少年達が三人乗っている。


ん、冒険者は三組の筈ではないのか?



「君たちは?」


「俺達は村の冒険者です。今回の依頼をする為の道中の護衛をして来ました。これから一緒に村に返ります」


手前に座っていた少年が答える。


これから行く村の冒険者ね。

村にいる冒険者に加えてDランクとはいえ三組の冒険者。

想定されるゴブリンの数は予測以上か。


ギルドでは依頼人の話からゴブリンが集落を作っている可能性や上位種がいる可能性を考えているみたいだったな。


依頼人はDランクのパーティーを一つ雇えば大丈夫だろうと考えていたらしいが。


「村に出たゴブリンの対処に君たちも参加するの?それと村の防衛とか含めて少し話聞けるかな?」



「え、はい構いませんけど」


情報収集は大事。

これを怠るとだいたい面倒な事になる。



馬車が出発してから色々と聞いて見る。


彼らの名前はリック、パック、シンク。

栗色の髪の元気な少年が剣士のリック。

それを抑える苦労性な少年が魔法使いのパック。

それを眺めてる赤毛の少女が武道家のシンク。


村の子供達で組んだEランクのパーティーで普段はこの街や近くの村で依頼を受けているが地元の危機に協力する事にしたと。



ゴブリンに関しては自分達の村だけでなくて近くの村でも被害が出ている。村の動物が殺されたり作物が荒らされ何人も人が拐われてもいる。


その際に数十匹のゴブリンの群れが確認されたと。


数十匹のゴブリンの集団が村を襲い人を連れ去ったという事はゴブリン達には拠点がありそこにも大勢のゴブリンがいる可能性があるよな。


ゴブリン退治はEランクから受けられる依頼だが規模が大きければ難易度も上がる。それを考えてDランクの依頼となったわけか。


少年達だけでなく馬車を操る行者の人にも話を聞けば今回の依頼についての愚痴を聞かされる。


「それで依頼を出したんですけどギルドはDランクではなくCランクにするか複数のDランクのパーティーに依頼すべきだって言ったんです。お陰で依頼料金が想定よりもかなり高くなりましたし村の村長からも怒られそうですよ」



数十匹以上のゴブリン退治。

ゴブリンの巣か集落を潰す依頼でDランク一つは厳しいだろう。

控えめに言っても冒険者に死ねと言ってるようなものだ。



「俺からすればギルドの方が正しい。規模のわからない数十匹以上のゴブリンを相手にDランクを一つでは危険が大きいし依頼を受けようなんて思えないな。不測の事態に備える為にも複数のパーティーを当てるのは当然」




「ん~でもゴブリンですよ。村の大人とか冒険者でEランクでも倒せる魔物ですし数が多くてもDランクの冒険者なら倒せるんじゃないですか?」



「ただのゴブリンが数匹なら確かにEランクでも倒せるし襲ってくるのが十匹くらいならばDランクでも倒せるだろう。だけど数十匹となるとな。その規模のゴブリンとDランクの冒険者が対峙したとしてだが、高い確率で何人か死ぬ」


数十匹のゴブリンを前衛が防げなければ後衛が襲われる。

まともに自衛の出来ない後衛ならばそれで戦闘不能。その後衛を気にして前衛が崩れれば全滅もある。


そもそも森等で奇襲を受けたと想定すればまずDランクで対処しきれるかと思えばな。


「……………えっと。マジですか?」



「一人で対処出来るゴブリンには限りがあるからな。よっぽど上手く立ち回らないと数十匹のゴブリンを対処しきれないだろ。ゴブリンにだって知能はあるし武器なんかを使ったりもしてくる。竹槍持ったゴブリンに数十匹でまとまって突進でもされたら殺されるか少なくとも怪我する事になるのは想像できないか?」



その場面を想像したのか青い顔をする行者と少年達。


「確かに死ぬよねそれだと。僕なんか魔法使いだしろくに抵抗できないかと」


「だろうな。ましてこちらからゴブリン達の縄張りに足を踏み入れる事になるんだどんな罠があるかもわからない。規模を考えれば上位種の存在が疑える。そんなところにDランクのパーティーを一つだけでを向かわせるなんて冒険者を殺そうとしてるようにしか思えないな。ましてダンジョンのある街のDランクパーティーならまだしも普通の街のパーティーを送るとか」



改めて考えると死ねと言ってるよなこれは。



「あの、」


「ん、なんだ?」



「ダンジョンのある街のパーティーと普通の街のパーティーって違いがあるのですか?」




………………………ああ、説明した方がいいなこれは。





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