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新パーティー結成①

「次の方どうぞー」


ちょうど前の人が捌けた冒険者ギルドの受付嬢の元に向かうとする。


「パーティーの離脱と新規パーティーの設立。次いでにパーティーメンバーの募集と受けられそうな依頼をよろしく」



「は?」



俺の依頼を受けた知り合いの受付嬢のアリサさんはこちらを見て眉をひそめる。


「………グレンさんですか。パーティーの離脱って『白銀の獅子』からの離脱ですか?」


こちらを見て訝しげな表情を浮かべる。

まぁ、新しくAランクになったばかりのパーティーを抜けるというのだから仕方ないか。


「そうだな。俺とミリアは白銀の獅子を離脱して新しくパーティーを作ることにした」


そう言うとアリサの視線は俺の後ろにいるミリアの方に向かう。



「あの、ミリアさん。もしかしてこの男に騙されていませんか?白銀の獅子の雑務のほとんどを引き受けていたミリアさんが抜けてあのパーティーが回るとは思えませんし」


酷い認識だなおい。

それとミリアに対する認識はギルドも同じか。


「い、いえ。騙されてなんかないです。むしろパーティーを追放された私を庇って一緒に抜けてくれたくらいで。感謝しています」


あー、庇ったってつもりはないんだが。



「パーティーを追放!ミリアさんをですか?あれだけパーティーに尽くしていたのに!」



「は、はい。リーダーのアレスさんに役立たずだ。お荷物だって言われて追放されたんです。それでグレンさんが俺もパーティーを抜けるって言って、私も一緒に来ないかって誘ってくれて……」



「アレスさん達はAランクに上がって早々にランクを落としたいのですかね?こちらも手続きが大変だったというのに。ミリアさんが抜けてグレンさんも抜けてじゃあAランクの依頼なんてまともにこなせないでしょうに」



ミリアの話を聞いて頭が痛いといわんばかりに頭を抑える。

気持ちは少しわかる。ギルドは名前の売れそうなAランクの冒険者パーティーが生まれたということに喜んでいたわけだしな。

ミリアの頑張りを知る回りの冒険者なんかはアレス達と関わるのを避けるだろうしちゃんとした冒険者があのパーティーに加わることは難しいからランクの維持は絶望的だろうな。

俺の代わりは見つかってもミリアの代わりに雑務をこなす奴なんてめったにいないだろう。

しかも評価もされず安い報酬で働かせるとかな。



「グレンさんはともかく私の代わりなんて幾らでもいそうですけど」


いや、いないから。

まぁ、聖騎士であるアレスは多少珍しいかも知れないがアイラとガイの代わりだったら幾らでもいそうだが。


「そんなわけないでしょう。はぁ~~とりあえず切り替えますけどまずは白銀の獅子を抜けて新しいパーティーを作るのですか?」


「ああ。そうだ。揉めると困るので脱退手続きは早めに済ませたくてな」


「わかりました。処理します。それで新しいパーティーですけどパーティー名はどうしますか?それとリーダーはグレンさんで良いのですか?」


パーティー名か考えて無かったなそういえば。


「ミリアはなんか希望があるか?それとリーダーは俺で良いのか?」


「いえ。ありません。パーティー名もリーダーもグレンさんにお任せします」


ん~任されたか。

それなら


「じゃあ『黒の蛇』で」


「『黒の蛇』ですか?グレンさんのセンスに今さら突っ込むつもりはありませんがなんか闇ギルドのパーティーみたいな名前ですね。ちなみに何か由来とかでもあるのですか?」


「闇ギルドは酷い。まぁ、黒は俺が暗黒騎士だからで蛇は俺の故郷の守り神で幸運を司るとされているからだな」



「なるほど。一応、ちゃんと考えた名前なんですね。まぁ、良いでしょ。それでパーティーのランクなのですが新しく作るとなると通常はFランクからですね。まぁ、Aランクパーティーのメンバーであったグレンさんとミリアさんが作った事を加味すればDランク、もしくはCランクから始める事も可能ですがどうしますか?」


ランクが下がるのはわかっていた事だしどちらでも構わないのは確かだがあえてなるなら。


「それならDランクから始めさせてくれ」



「ふむ。Cからでなくて良いのですか?グレンさんが個人でもAランクである事を主張すればギルドマスターの了承も得られると思いますが」



「それだと手続きが面倒だろ。それに、今のパーティーは二人だからな。新しく仲間を見つけるのにはランクが低い方が都合が良い。現状でCランクの依頼をこなすとなると負担が大きいしな」


本来はパーティーで分ける負担を俺達二人だけで分けるとなるとな。Dランクから存在する商人の護衛の依頼なんかでも達成が困難かも知れない。


モンスターとの戦いでも負担が大きいだろう。

十匹のゴブリンに襲われたとしてだ。ミリアも自衛くらいはできるとしても俺が一人で全部倒すとなるとな。

継続で戦闘をする能力は著しく下がったと考えて良いだろ。


それでCランクはないかな。

まぁ、依頼を選べばそれなりにこなせるだろうがそれならDランクからの方が良い。

アレス達も現状ではCランク相当だろう。

パーティーのメンバーが減るというのはそれだけ厳しい事なのだから。


「わかりました。それで新しいパーティーメンバーの紹介と依頼ということですがまずはパーティーメンバーの希望等はありますか?」



「そうだな。前衛の俺に後衛のミリアしかいないからジョブについては何でも良いかな。ただ、メンバーおっさんとかより若い女の子とかの方が良いな」


おう。

若い女の子って言ったら視線が冷たくなったぞ。

いや、わかるけどさ。


「俺としてはDランクパーティーに加入するおっさんってことは長い間燻ってる相手だろうから避けたいし、男が多いとミリアがやりづらくないかと思っての発言なんだが」



「………まぁ、わかりました。それで薦めるとなるとこちらの依頼になりますね」



渡されたのは二つの依頼書。

片方は近くの村のゴブリン退治。

ゴブリンの数が多い可能性が高いのでD~Eランクの冒険者を集めてパーティーを複数作ってこなすレイドになっている。


ゴブリン退治とは言え危険性を考えて一つのパーティーだけでは足りないとしたわけか。

それにCランク以上の冒険者となるとゴブリン退治の依頼なんて受けないだろうしな。

依頼料金も各冒険者でEランクのものになるのであまりおいしくはない。

ただ、D~Eランクの冒険者を集めてこなす依頼となり暫定的でも他の冒険者と組めるからメンバー集めと考えればこういう依頼は受けるのはありか。

有望な冒険者を見付けられるかも知れないし。


もう一つは新人冒険者の指導依頼。

これは依頼主が冒険者ギルドか。

C~Dランクの冒険者が冒険者になったばかりの新人を指導する。

これを受ければ暫くはその新人を同じパーティーメンバーとして動く事になるし新人をそのまま自分のパーティーに迎えいれる事も多いと聞く。


問題は指導をする相手だ。

ギルドがわざわざ指導するように依頼する相手となると有力な商人や貴族の子息の可能性がある。

冒険者ギルドが指導するように頼むという事はそれだけ死なれたり怪我したりすると困る相手という事だからな。

場合によっては地雷だ。




さて。どちらを選ぶかな。







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