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RE:砂漠にて
白い砂漠の真ん中に男は立っていた。
灼熱の太陽に照らされた砂が男を焦がす。
2度目の光景だ。子供の頃に怖かった砂場とは比にならない程の。果てのない砂の地獄だ。
「メアリー……」
男はひたすら歩く。
メアリーとの幸せをめざして。
死ぬわけに行かない。2度も彼女を1人にはしない。
「絶対……絶対、帰るから……」
男は今にも倒れそうだった。
牛革の水袋は破れ水分はろくにとっていない。
ついに、膝を着いてしまった。
天を仰ぐ。
空には雲ひとつない。
太陽のみが男を見ている。
男は思った。
白い砂と空が海にいるようだと、
砂浜に横になる。
閉じかけた意識を奮い起こす。
死ぬものか! 死んでたまるか! メアリーメアリーメアリー!
空に何かが羽ばたく音が聞こえる。
鉄の羽を回転させる鉄の箱。
男は鉄を立ち上がり鉄の箱を追う!
「おーい!! こっちだぁ!! 助けてくれ」
男は全力で手を振った。
鉄の箱からひも状のはしごが下ろされる。
助かった助かった……
よかった……
メアリー……今、帰るよ……