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体内にて
ドクン ドクン
脈打つ音が響く
心は空虚に
生物の胃袋を思わせる袋の中
息苦しくてもがいていた。
血の匂い。暗闇の中、生暖かい液に包まれて男は意識を取り戻す。
ここから出なくては。
そう思い、もがく。
狭い出口は肛門を思わせた。
はやく、はやくここからでなくては!
男は、まず頭だけをねじり出した。
ま、眩しい。光が男の眼孔に針を刺す。目を閉じていても感じる光に声を上げる
「おぎゃーおぎゃー」
声にならない叫びで生きていることを知らせる。
無数の人影が男を囲む。
少しづつ少しづつ、男は胃袋から引っ張り出される。
そして、優しい声の女性が男とをそっと抱いた。
「私の坊や。愛しい坊や」
男は全てを理解する。
メアリー、僕は君を置いて生まれ変わってしまったようだ。