召喚されし者
第1章
第2話 召喚されし者
ロウシのシエル王への目線を追いその場の人もシエル王の方に目をやった。
シエル王はゆっくりと答えた。
「召喚の話は本当だ。最後に召喚したのは正しくは125年前だ。そして、その召喚を行ったのは我がシエル王国だ。」
「シエル王国が……しかし、なぜ召喚を?」
ガルド王は驚きながら聞いた
「私も生まれて間もないことだったので少ししか知りませんが、召喚されし者の力を利用しようという極秘計画があったそうです。
しかし、それも何らかの事情により失敗したと聞いています。」
「そうか、お主はエルフ族だったか。忘れていた。しかし、極秘計画のものをそう簡単に話してもいいのか?」
「そちらのロウシ様は知っておられるようですし、もう昔の話になりますので問題ないと判断し話しました。」
シエル王がそう言うとロウシは尋ねる。
「それでは、召喚の儀は執り行えるのでしょうな?」
「召喚の儀は可能です。前回召喚を行った高位魔導師が2名います。
しかし、召喚には最低3名の高位魔導師が必要と聞いています。ガルド王国から1名出してもらえるとありがたい。」
それを聞きガルド王は言う。
「分かった。我が王国の高位魔導師も連れていこうではないか。」
話が一段落したところでロウシがまとめに入る。
「それでは、話を戻させてもらうな。
此度の戦争の和解交渉は両国間にある土地に新たな国を両国による管理国として誕生させる。
また、その国の王は両国に関わっていない第三者。「召喚されし者」に任命するということでよろしいな?」
そう言い周りの者の反応を伺う。
皆が頷くのを確認しロウシは続ける。
「さて、この場で今すぐ召喚という訳にはいかないでしょうな。よって召喚は5日後に行い、場所はシエル王国内でもよろしいでしょうかな?」
「私は構いませんよ」
「我もだ」
そう両国の王が同意した。
「それでは、これにてガルド王国、シエル王国による和解交渉は成立ということになりますな。
そして、これは両国の友好の印となりますな。」
そう言ってロウシは和解交渉内容が記された紙を両国王に渡した。
両国王はその紙に承認の印を押し、握手を交わした。
──こうして、この物語の主人公はこの異世界へと召喚されることとなった。
しかも、王として──