言えない言葉--今度彼女を紹介してね--
「愛してる」、そんな言葉を言われたことなど一度もない。
好かれもしない、構われない、そうして私は生きてきた。
自信なんて欠片もないし、引っ込み思案で何もせず。
そんな自分を好きなんて、思えるはずなく独りきり。
誰かを好きだと気付いたときも、「自分なんか」と告げもせず。
だけどあいつは違ってた。こんな私を構ってくれた。
素敵な笑顔を私に向けて、いろんな世界を語ってくれた。
好きになってもいいのかな?好きって言ってもいいのかな?
街であいつに偶然会った。私を見つけて走ってくるの?
いつもは見せないとびきりの、素敵な笑顔で私を…見ずに…?
目の前の私に気付きもせずに、駆けてくあいつに私ときたら
声も掛けずに振り向かず。寧ろ振り向くことが怖かった。
家に帰って一晩泣いて、そうして私は気がついた。
とっても悲しく泣きたいけれど、それでも心は軽かった。
あいつのことが好きだから。あいつをとっても好きだから。
構ってくれてありがとう。今度彼女を紹介してね。
えー、皆様方毎度お世話になっております、性悪狐の清水悠と申します。
いかがでしたでしょうか。先ずはお読みいただきありがとうございます。
今回もあらすじにあるように再掲載です。尚、初出は2004年9月28日です。
と言うわけで今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。




