7章-18 力の代償
俺はゴミ山の前で目が覚めた。本当に生前の記憶はきれいさっぱり持って行かれたらしい。頭の中が妙に軽い。体を起こし、スネークに礼を言おうと思いテントに近づいたが、テントの中は空であった。『不死鳥の羽』と言ったか、羽と付いているのだし、ランスの刻印と同じものであろう。
(と、いうことは。)
俺は近くに転がっていた空き缶を掴む。ふん、と力を入れると缶は紙の様にくしゃくしゃになった。どうやら本当にランスと同じ怪力を手に入れたらしい。俺は力を手に入れたのだ、これでローズやランスに迷惑を掛けずに済む。
「スネークも居ないし、教会に迎えに行くか。」
俺は教会までローズとランスを迎えに行くことにした。闇市から出ようとした時である。
「よお、兄ちゃん。俺達金が無くてさ。あんた騎士様とも知り合いみたいだし、結構持ってそうじゃん。」
道の端の方で座っていたチンピラ達に絡まれた。この前は騎士であるブレーメンが近くに居たから絡まれなかったらしい。リーゼントのオーク、モヒカンのエルフ、スキンヘッドの人間に囲まれてしまった。
「財布さえ渡してくれれば痛い目見なくて済むぜ。さあ、早く渡――。」
モヒカンがダガーを構えたものだがら俺は反射的にモヒカンを殴り飛ばしていた。周りのチンピラはそれを見て焦っているようだった。だが、一番驚いたのは俺である。まさか異世界の住人を殴り飛ばせる日が来るとは思っていなかったからだ。モヒカンはそのまま壁に頭をぶつけ、気を失ったようだ。
「おまえ、まさか体に刻印を入れているのか!?」
リーゼントはビビっている様だったが、スキンヘッドは斧を構えた。
「俺も刻印『鼠の尻尾』を入れているんだ。あまり調子に乗るなよ!」
スキンヘッドは力任せに斧を振り下ろしてきた。俺は短剣でそれを受け止める。そう、あれほど強かった異世界の住人の攻撃を受けきれているのだ。俺は思いっきり力を入れ斧を弾き飛ばす。そして、隙だらけになったスキンヘッドの懐に潜り込み、左胸に短剣を突き刺す。そしてその剣に力を込める。緑色の刀身が伸び、ヤツの心臓を貫いた。
「ヒイー!?」
リーゼントはその様子を見て逃げ出そうとしたので、俺はスキンヘッドの持っていた斧を力一杯投げつける。斧は俺が思っていたより速い速度で飛びリーゼントの首を吹き飛ばした。異世界のチンピラを撃退したのである。そう、この俺一人で。
「これは予想以上の力だ!これならあのアトラスも倒せーー」
俺の体のあちこちから血が噴出した。そして視界も血に染まり、俺はそのまま何が起きたか分からず、その場に倒れてしまった。そうすると寄って来る影が一つ。
「どうしてそうすぐに調子に乗るかね?そんな急に出力上げても体がもたないだろうに。」




