7章-2 力の代償
気が付いたら私は舟の上に居た。見渡す限りの青で、舟は変わった水流の上を走っていた。そんな幻想的な風景を見て呆然としていたところ舟を漕いでいた騎士の男性がこちらに気が付いた。
「やあ、お嬢さん、目が覚めたのかい?」
声を掛けて来た男性は首から上に狼の被り物を被っていた。
「あんたは今から生前の罪を測られ、その分だけ労働しなければならない。つまりあんたは死んだんだ。」
ああ、と納得してしまう。父に抱きしめられながら意識が薄れて行った記憶があるからだ。
「生前辛い思いもしただろう、その体中の痣と背中のそれを見れば分かるさ。まあ、今から向かう所はブラックな職場であると同時に桃源郷とも言われる楽園さ。ゆっくり休んでから転生するといい。」
それ以降男性は一言も喋らず、そのままどこかの屋敷に案内してくれた。中に案内されるとそこに立っていたのは自分よりは年上であろう少女だった。
「いらっしゃい、地獄へ。歓迎するわよ?」
そこから労働の話、転生までの過程の説明を受けた。そして少女は黒い本を開き、そして溜息を吐く。
「貴方、『ウォーカーズ』だったのね、大変な思いをしたでしょう?」
少女は立ち上がり私の頭を撫でる。すごく丁寧な手つきで、この人はいい人だということは感じ取れた。
「背中のそれを取ってあげてもいいのよ?」
私は即答で断った。少女はそれを見ると少し悲しそうな顔をする。
「そう?それじゃ部屋まで案内しましょうか。」
少女が小さな鐘を鳴らすとメイド服の少女がやって来た。
「さあ、こちらへ。」
私はメイド服の少女に促されるまま廊下に出た。部屋の方を振り返ると猫耳の少女は手を振って見送ってくれていた。




