7章-1 力の代償
私は生まれつき体が弱かった。両親も流行り病で亡くなり、村では疫病神扱いされ、次第に迫害されるようになった。いつもの日課の野草摘みをしているといつもの通り村の子供たちに石を投げられた。
「やめて下さい。」
私の悲鳴を聞いても投げられる石の量が増えるだけであった。そしてその中の大きい石が私の頭に当たった。視界が真っ赤に染まる。どうやら出血したらしい。
「お、おまえがばい菌なのが悪いんだからな!」
それを見て驚いた子供達は一目散に逃げて行く。止血をしなくては、そう思った時に発作の咳が出て動けなくなる。そして血を流し過ぎたのか意識が遠のいて行く。ああ、私はこんな所で死ぬのだな、そう思った時であった。誰かに体を抱えられたのである。
「おい、大丈夫か?」
声の主は額に大きな傷が入り、赤い目の黒髪長髪の青年であった。それが私と父との出会いである。
私は多くのきょうだい達と日課である畑仕事をしていた。大根を抜いていると父が丁度帰って来た。いつもは私達が眠っている頃に帰って来るのだが、何やら様子がおかしい。父は私達の顔を見ると安心した表情をした後その場に倒れこんでしまった。不死鳥の印が入ったマントは返り血で赤く染まり、金色の鎧も血に濡れていた。私達は急いで父を寝室に運び込む。
父の側近の爺やが父の寝室から出て来た。少し休めば治るだろうとのことであった。私達の心配している顔を見て、父が何と戦い、毎日どのような思いをしているのかを聞かせてくれた。そんな話を聞かされたのである、私達は当然父の力になりたいと思ったのだった。爺やがそのあと「お父さんの力になりたくないか?」と言った。私達は当然それに頷いた。父の力になれる、それで十分であった。
私は生まれつき体が弱かった。当然試練に耐えられる訳が無かったのである。私はあまりの痛さに床の上でのたうち回った。私の他のきょうだいも3割ほどは私と同じように試練の段階で逝ってしまったようである。あちこちに見慣れたきょうだい達が死体となって転がっていた。私の意識も遠ざかって来た時、父が扉を蹴破って入って来た。何やら爺やに怒号を浴びせているようだったが、意識が朦朧とした私には何を言っているのか理解ができなかった。そしてまだ生きている私を見つけると父は私を抱きしめて泣き出した。ごめんな、ごめんなと謝るばかりである。私達は父の力になるためにこの選択をしたのだ、どんな結果になろうとも私達に悔いは無い。ただ、父を泣かせてしまったことだけは後悔してしまうかもしれないが。私はそのまま父の胸の中で死んだ。




