6章-14 蛇の名を持つ者
「若僧よ、死んだあと世界がどうなっていたか気にならないか?」
スネークがニヤリと笑うとその手に持っていた水晶玉が怪しく光り始める。そして俺の視野は真っ白な光に包まれた。
次に目を開くと、そこは雑誌やCDなどが散らばった部屋であった。先程まで居た地獄とは違い、近代的な部屋である。何処か懐かしさを感じる。それは無理もないことであった。
「ここは生前の俺の部屋だ。」
さっきまで地獄に居たはずなんだがと混乱していると、ひっくり返ったちゃぶ台の近くに床に突っ伏している人影を見つけた。
「こいつは…!まあ、何と言うか酷い。」
俺であった。エンマ大王に死因はゲーム機が頭に直撃と言われて半信半疑であったが、確かに後頭部の近くにゲーム機が倒れており、血の水溜りができていた。俺は寝相はあまり良い方ではない。ゲーム中に寝落ちして、床に突っ伏し、ちゃぶ台を倒してしまい、その上のゲーム機がクリーンヒットしたのであろう。旧型の大きめなゲーム機というのも不幸であった。
『お兄ちゃん!?』
部屋に妹が入って来た。あちらにはこの俺が見えていないのか、死んでいる俺の近くに寄って行く。ゲーム機を落とした音で驚いてやって来たというところだろうか。そして床に倒れこんでいる俺の姿を見て悲鳴をあげる。そして場面が暗転した。
次は通夜であろうか、両親、親族、友人達が集まっていた。妹は泣いており、他の親族や友人も黙り込んでいた。その様子を見て非常に心苦しくなって来た。どんな間抜けな死に方であってもそれを悲しむ者も居るのである。こんな状態であっても妹を始めとする家族の名前すら思い出せない自分に腹が立った。また俺の視界が闇に覆われる。
「ここは…。」
どこかの飲み屋であろうか、橙がかった照明に学生と思われる人間の集団。そしてその中に見覚えがある顔が一人。名前は思い出せないが一緒に浪人して一緒に同じ大学に受かった親友である。そいつが髪を染めて、いい感じに髪や服装を整え、女性に声を掛けている。しかも会話も弾んでいる様子でなかなかいい感じである。それを見て俺は思い出した。俺が早く転生したかったその動機を。
「俺は…、いや俺も大学行ってサークルに入って女の子とキャッキャウフフしたいんだ!!」
実に不純な動機であった。




