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勇者19歳  作者: 河野流
6章 蛇の名を持つ者
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6章-8 蛇の名を持つ者

酒場に着くといつものように人でごった返していた。ここに来る度いつもこんな感じで本当にここは地獄かと疑問に感じ、そしてこいつらはちゃんと働いているのかと思ってしまう。まあ、今の俺の様にやる気がないニート達が集まっているのかもしれないが。

(ニート…?何故かこの前までよく口にしていた気がするが思い出せん…。)

どうやらその人物についての記憶が失われているみたいだ。短剣をくれた恩人の顔も思い出せないとは自分のことながら薄情だなと思ってしまう。俺がカウンターに座ると以前世話になったバーテンダーがスッとメニューを持ってくる。

「お客さん、何がご希望で?」

「ああ、あんたか。この前は逃げてくれたおかげで大変だったぞ?」

まあ、この前の酒場の件は明らかに俺が悪いのだが、どうやら俺は助け船を寄越さず逃げたこのバーテンダーのことを根に思っているらしい。最初に出た(出てしまった)言葉がそれであった。

「それで勇者様、ご注文は何で?」

バーテンダーの男は顔色一つ変えずに、あくまで業務的に俺に注文を促す。この前は無一文で来てしまったためただ水を貰っただけであった。折角酒場に来たんだから酒を飲まないとなあ、俺はメニュー欄を見てその種類の多さに驚愕する。生前は大学一年生であったが、サークル等の勧誘を受ける前にこうして死んでしまったのである、見たことも聞いたこともない名前ばかりである。ハイボールとかの名前を聞いたことがあるがリキュール類やカクテル類は聞いたことのない横文字の名前ばかりだったので、どのようなものなのか想像するだけで楽しめそうであった。

「あっ、そういえば。」

バーテンダーの男は急に何かを思い出したようである。俺の持っていたメニュー表を奪い、別のメニュー表を取り出す。

「ローズちゃんに勇者様はお酒が飲めないと聞いていたので。こちらのソフトドリンクからどうぞ。」

「…。」

俺はバーテンダーの方を睨む。それに対しバーテンダーは相変わらず涼しそうな顔をしている。どうやら俺は転生しないと酒を飲むことも許されないらしい。

(ローズ、おまえは俺の母ちゃんか何かかよ!!)

とりあえず俺は生前から見知っている飲み物を頼むことにした。

「それじゃコーラをくれ。」


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