6章-2 蛇の名を持つ者
気が付いたら俺は花畑の上で寝転がっていた。体を起こすと花畑の横に澄んだ大きな川があるのが見て分かる。
(俺は洞窟でオークを転倒させてそのまま殺されたはずだがー。)
予想外の光景に俺は思わず目を擦る。俺は死んで三途の川(川?)を渡ってあの世である地獄に来ていたはずである。だが俺が今見ている川とか花畑の風景は三途の川っぽい光景である。
(地獄で死んで三途の川を見ることになるとは思わなかったな。)
さて、そろそろ教会で復活してローズとかランスを安心させてやろう。まあ本当に心配しているとは限らない訳だが。そうだったら悲しいなあ、そう思って立ち上がった時だった。対岸で誰かがこちらに手を振っている。よく見てみるとそれは黒髪長髪のセーラー服姿の少女であった。特別美少女という訳でもないが、何故か俺はその少女から目を離せなかった。
「あの、どちら様?」
「―。」
少女は何か言っているようだったが川の流れのせいで全く聞こえない。俺は少し考えた後川を渡って少女に直接聞こうという結論に至った。何を言っているのか聞こえないなら聞こえる距離まで近づけばいいのである。辺りを見渡しても舟らしき物は無い。仕方ないので俺は泳いで渡ることにした。濡れるのは嫌だが仕方ない。そうして俺は川の中に歩いて行った。
その時花畑は炎に包まれた。当然少女は何処かに行ってしまう。その炎は何故だか川の上も走って広がって行った。俺はそのままその炎に身を焼かれてしまう。
「熱っ!?」
俺は目の前の壁を蹴り上げて身を起こす。棺桶から急いで出るとそこには心配そうな目でこちらを見ている茶髪の美少女と金髪のロリっ娘が立っていた。
「勇者様、やっと起きてくれたのですね。2日経っても起きないときはどうしようかと思いました。」
「だからと言って普通棺桶ごと焼くか!?」
俺が起きたのを確認すると少女はバケツで棺桶に水をかける。日に日に扱いが雑になっているとは思ったがここまで行くと考えものである。
「おはよう、勇者19歳。」
入り口に紫髪の少女が立っていた。水色のドレスを着ていて、頭の上には特徴的な大きな猫耳があった。
「貴方のおかげで多くの罪人達が死なずに済んだわ、ありがとうね。」
エンマ大王は涼しい顔をしながらこちらに歩いて来る。その顔を見ると不満がどんどん沸き上がって来る。
「あんなの居るなんて聞いてないぞ!?」
「あら、私だって何もかも知っている訳じゃないもの。」
エンマ大王は微笑みながら答える。こいつ、絶対知っていたな。
「そして何で他の罪人は死ぬのを怖がっているんだ、こうして教会で蘇生されるのに。」
俺の言葉に場の空気が固まる。何かまずいことを言っただろうか?
「もしかして勇者様、そのことについて何も聞いてないんですか?」
「何のことだ?」
俺はエンマ大王の方に視線をやる。エンマ大王は視線を逸らす。
「えっとね、罪人は死ぬ度に記憶を少しずつ失っていくの。」




