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勇者19歳  作者: 河野流
5章 キングオーク
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5章-5 キングオーク

「ライオンマスクが来てくれたぞ!」

さっきまで逃げていた罪人達がライオンマスクの周りに集まって来る。だがライオンマスクはそれを無視して俺とローズの結んでいた手を払う。

「ローズ、立てるか。」

「ちょっと足を挫いてしまいました。」

「そうか。」

ライオンマスクは軽くローズを抱える。そして洞窟の入り口の方に向かって走りだす。

「どうしたんだ?アトラスとミノタウロスはみんな倒したじゃないか。」

その場に残された罪人達はざわめきだした。すると先程の槍の雨によってできたミノタウロスの死体の山から一つの影が現れる。それはさっき槍の雨に貫かれたはずのキングオークであった。だがその鎧には傷一つ付いていない。

「来ると思っていたぞ、ライオンマスク!」

アトラスが大声で叫ぶ。そして近くに落ちていた大斧を軽々と持ち上げる。起き上がったアトラスを見て罪人達はまた洞窟の入り口に向かって走りだす。

「どうなってるんだ!?あいつはさっき串刺しにされたんじゃないのか!?」

「知らん!ただ一つ言えるのはライオンマスクよりあいつの方が強かったっていうことだ!」

俺の質問に隣を走っていたオークは適当ながらも答えてくれた。後ろを振り向くとアトラスが再び大斧を振り回しながら突っ込んで来ていた。そしてその速度はさっきより速い。

「あの野郎、さっきまでは手抜いてやがったな!?今は加速魔法なんて使って追って来ていやがる!!」

確かにアトラスが地面に足を付ける度に地面に魔法陣が描かれている。

『勇者19歳よ、おまえは本当の勇者になりたくないか?』

男の声が俺の脳内に響いた。この声は聞き覚えがある。

『おまえ、ライオンマスクか!?』

その質問に答えるように俺の前に槍が一本フッと現れた。手助けしてくれるということか?ありがたい。

『その槍を貸してやる。だからー』

目の前に現れた槍が回転し俺の足を払う。俺はその勢いでこけてしまう。

『その場で『足止め』をしろ。もっと分かりやすく言うなら『その場で死ね』。』

俺はその瞬間確信した。ライオンマスクは英雄ではなく性格が根っから腐っている悪党であると。


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朱の国
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