4章-5 開幕
森の中に入ると早速スライムの集団に出くわした。幸いこちらには気付いていないようだ。
「俺のFPSで鍛えた腕前でヘッドショット決めてやんよ。」
実は俺は浪人時代FPSゲームにはまっていた。浪人仲間とよく徹夜で遊んだものだ。勉強?もちろんしていましたとも。そしてスライムの頭に照準をー。
「スライムの頭ってどこだ?」
スライムは球状の形をしていてどこが頭か分からない。とりあえずランスが狙っていた核の部分を狙うことにする。
バシュッ。
俺の放ったボルトは見事にスライムの核を貫いた。撃ち抜かれたスライムはアイテムを落とし消滅した。
(よっしゃ、いつもボコボコにしてくれた仕返しだ。)
仲間を撃ち抜かれたスライム達は辺りを見渡して射手を探している。残りは3匹かー。さっさとリロードして次のスライムも処理しよう。そう思ったのだが、なかなかボウガンの弦が硬くてボルトを入れることができない。
「ランスはこんなに硬いのに楽々とリロードしてたのか。」
もたもたしている間にスライムに見つかってしまった。逃げようと思ったが既に囲まれていた。スライム達は仲間がやられた怒りからか普段の緑色から赤色に変色していた。
「結局こうなるのか。」
俺はボウガンを左手に持ち替え、右手に翡翠の短剣を構える。右手に力を込め、刀身を少し伸ばす。まず飛びかかって来たスライムを斬り裂き、次に振り返って2体目を斬る。ここまでは順調だったが流石に俺には3体同時に相手をするのは無理であった。3体目に殴られ、そのまま馬乗りされてしまう。顔面を何度も殴打されたが、俺は根性で右手の短剣で核を刺す。そしてスライムは消滅した。
「試し撃ちに来たつもりだったが、ボロボロにやられちまったな。でも、まあ一人で何とかなったしどうでもいいか。」
俺はそのまま意識を失った。
目が覚めると俺は自分の部屋のベッドの上に居た。
「あれ、俺生きてる?」
「勇者様、目が覚めましたか?」
ベッドの隣にはランスが座っていた。今は鎧を脱いで囚人服姿である。
「勇者様、森で昼寝なんて風邪ひきますよ。」
「ああ、そうだな。」
あれで昼寝に見えるか、あやうく命落としかけたんだがな。異世界の住人達はタフ過ぎて困る。まあ俺がもやしなだけかもしれないが。
「ランスがここまで運んでくれたのか?」
「はい、キノコ狩りをしていたら昼寝していた勇者様を見つけたので。」
こんなに小さいのに大きな盾抱えて俺まで抱えて来たというのだから恐ろしい。
「それで勇者様、一つお願いが。」
「うん?どうした?」
「今晩ここに泊めて欲しいのです。」




