4章-4 開幕
ボウガンを買って森に試し撃ちにいこうと思って武器防具市場から出たところ、途中の食料市で大きな団体客を見かけた。ピンク色の長髪にウサギ耳、ゴスロリ服の少女を取り囲むようにして囚人服と何人かの貴族が歩いていた。罪人は皆箱一杯の食料を抱えている。
(これが爆買いってやつなのかね、初めて見た。)
「まだ水を買っていないわね。今から城に籠るんだから一杯買わないとね。」
身長が中学生くらいのウサギ耳ゴスロリ少女は甲高い声で言った。何だろう、何処かで見たような雰囲気の娘だな。いや、この娘とは会ったことは無いのだが、似たような雰囲気の娘を知っている気がする。こちらの視線に気付いたのか少女はこっちを見る。
「あら?貴方もストライキ希望者かしら。」
ストライキ…?一体何のことを言っているのか分からなかった。
「私達が何なのか、そこから分からないみたいね。そう、私達はー。」
少女が息を溜めると貴族たちが寄って来て少女を中心にポーズを取る。
「労働組合よ。貴方達罪人をあまりに不公平に扱うエンマに鉄槌を下すの。私達が勝った暁には貴方達の処遇改善を約束するわ。」
「はあ。」
「罪の金額の相談にも乗ってあげる。見直すと金額が減るかも知れないわよ。」
市場に居た罪人達がざわめく。魅力的に感じた者も居れば半信半疑の者も居ただろう。俺は勿論後者である。生前に過払い金が何たらなCMにも聞き飽きてたしな。
「と言う訳で、参加する者は付いて来なさい。今から食料品を買わないといけないの。荷物持ちは幾ら居ても問題ないものね。」
少女がそう言うと食料市に居た何割かの罪人が少女の後ろの集団に加わった。それを見て少女は得意げな顔をする。
「それで、貴方はどうするの?」
少女は俺に向かって聞いた。そういえば元々俺に説明してくれてたんだったなあ。俺の答えは勿論―
「いえ、俺は遠慮しときます。エンマ大王に勝てる気がしないんで。」
少女の囲いの貴族はハッとしたような顔をし少女を抑えようとする。何故か少女が突然暴れだしたのだ。
「私がエンマに勝てない!?冗談じゃないわ、私の方が強いんだからね!!」
「ちょ、静まり下さいチグリス様!騒動を起こしたら騎士団がやって来てしまいます!」
「おまえが変なことを言うからだぞ、罪人!ほら、我々が抑えているからとっとと失せろ!」
どうやら俺の言葉が少女の逆鱗に触れてしまったらしい。貴族の一人がどっかに行けと言ったので、俺はこの場から退散することにする。と言う訳で、
俺は走ってその場から逃げた。
「待ちなさい!あんたの顔覚えたからね!今度会った時に泣いても許してあげないんだから!!」
少女が背後で何か喚いているが、俺には聞こえない、聞こえない。
そうやって俺は森の入り口まで走ったが、幸い誰も追って来ていないようだった。さて、これでやっと試し撃ちができる。俺はボウガンを手に森に入って行った。




