3章-9 娯楽街
「勇者様、大丈夫でしたか?」
俺とランスが狼仮面と話をしているとローズが闘技場に戻って来た。
「ああ、狼仮面さんのおかげでな。」
「あれ?狼仮面さんだけなんですか?ライオンマスクさんは?」
「ああ、あいつなら興冷めしたのか帰って行ったよ。」
狼仮面が返すとローズは少し残念そうな顔をした。そういえばこいつライオンマスクが勝つっていうのに賭けていたな。こいつ今もしかして物凄く失礼なことを考えているんじゃなかろうか。
「珍しい武器を使っていると思ったら勇者様だったんですね。」
ランスが目を輝かせてこちらを見てくる。まあ、自称なんだがな。
「それで勇者様、そちらの方は?」
「こちらはランスだ。狼仮面さんと一緒に救出した子だよ。」
ランスがペコリとお辞儀した。ローズが慌ててそれに応じる。
「ハーフエルフのローズです。よろしくお願いします。」
「ローズ!?」
狼仮面が驚いたような顔をしてローズの方を見る。ローズの肩をガッチリ掴み顔をまじまじと見つめる。いや。狼の被り物が邪魔でよく見えてないだけかもしれない。外せばいいのに。ローズは顔を真っ赤にして恥ずかしそうである。
「いや、人違いだった、すまん。知り合いに同じ名前の子が居てな。」
狼仮面はそう言うとローズから離れる。
「それで勇者様、実は私この前地獄に来たばかりで一緒にお仕事を受けてくれる人を探していて、良ければご一緒させて頂けませんか?」
ランスが恥ずかしそうに視線を泳がせながら言った。
「いいよ、パーティメンバーが増えるのは大歓迎だ。」
俺がそう言うとランスの表情が明るくなる。
「ありがとうございます!文字通り貴方の盾になれるようにがんばります!」
ランスが抱きついて来る。鎧でゴツゴツしているが女の子だ、悪い気はしない。
「勇者様、もしかしてそんな趣味が…。」
ローズが汚物を見るような目でこちらを見ている。いや、決してロリコンなんかじゃないぞ。
「良かったな、それじゃ俺はそろそろ失礼するよ。今日の件を報告しないといけないからな。」
狼仮面はランスの頭をぐしゃぐしゃ撫でたあとこの場を去って行った。
「さて、俺らも一旦ここを出ようかね。」
清掃員の方々が邪魔そうに見ていたので俺らも闘技場から出ることにした。
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「今日のデートは散々だったわね。本当に貴方といると暇しないわ。」
エンマ大王は愚痴をこぼすようにいった。
「今日の件はまたこちらで調べさせておきます。お騒がせして申し訳ありません。」
ソラトが頭を下げる。
「まあ、でもこういう騒がしいのも嫌いじゃないし、また誘ってくれると嬉しいわ。」
エンマ大王がそう言うとソラトの表情が明るくなった(兜のせいでよく見えないが多分そう)。
「はい、エンマ様!」
「エンマ様、お迎えに上がりました。」
空気を読まずに入って来た女性が一人。黒髪の長髪で、その服は右の袖が異常に大きく広がっており、中に重量のあるものが隠してあるのかピンと張っている。
「ソラト様、どうしたんです?」
「シルク、おまえはもっと空気を読むってことをだな。」
ソラトは頭を抱えるが、「まあいい」とエンマ大王の方を向く。
「それじゃ、私はここで失礼します。シルクあとは頼んだぞ。」
そう言うとソラトは何処かに走り去っていった。
「ソラトも大変そうね。」
「我々騎士団の長ですから。」
エンマ大王はシルクに連れられて屋敷に戻って行った。




