3章-4 娯楽街
店先に立っていると鳩が飛んできた。そして目の前に紙切れを落とすと燃えて消滅していった。こんな器用なことができるのはあいつくらいだろう。紙切れを見ると、「買い取って欲しいものがある、森の湖まで取りに来てくれ。」とぶっきらぼうな文字で書いてあった。
「買い取りの依頼だ。馬車を出してくれ。」
湖に行ってみると湖には綺麗に月が写っていた。そこには大きなドラゴンの死体があり、その上で座っている影が一人。
「派手にやったね、赤ニート。」
ドラゴンの死体にはあちこちに大きな刺し傷があった。馬車の運転者だったオークが驚いたような顔をする。
「赤ニート、あんた一人でこいつを!?」
「まあな、流石にドラゴン相手に魔法だけじゃなかなかにきつかったがな。人間死ぬ気でやれば案外何とかなるもんだ、2時間くらいで倒せたよ。」
そして赤ニートがこっちの方を向く。商談が始まったらしい。
「それでキクノ、こいつをいくらで買い取ってくれるんだ?」
「ちょいと見た感じやり過ぎだな。もっときれいな状態だったら物好きが言い値で買ってくれたかもしれないが。このくらいでどうだ?」
3本指を出してみたが赤ニートは不満そうだった。
「割に合わん。武器防具の材料くらいにはなるだろうが、せめてこのくらいだ。」
赤ニートが右手を開いて5本指を見せる。
「仕方ないな、今手持ちで出せる分だ、これ以上は無理。」
4本指を見せたら、赤ニートは納得したようだ。頭を縦に振った。
「よし、じゃあ4億で商談成立ってことで。」
「4億!?」
オークが驚いていた。まあ、4億もあればエンマ大王に完済できる罪人もいるかもしれないな。
「今日の市場は盛り上がりそうだねえ。」
赤ニートが下りてきたので現金の入ったケースを渡す。赤ニートはケースの重さを確認すると満足したようだった。
「それじゃまいどあり。」
赤ニートは空いた左手をひらひらさせて森の方に歩いて行った。運転手のオークがポカンとしていたので、目の前で手のひらをパンパンと叩いてみる。
「ほらほら、さっさと解体を手伝って馬車に積むんだよ。何のためにあんたら肉屋や防具屋を連れてきたと思ってるんだ。」
「はい!!」
馬車の中から肉切り包丁を持ったオーク達が次々と降りて来て作業を始める。
「しかし、遂に赤ニートがニートを辞めたか。次会ったときは何て呼んでやればいいのかね。」




