ブレークタイム2 エンマ様はお買い物がお好き
「ミイラー、ミイラー居るー?」
キンが畑で作業しているとエンマ大王がやって来た。何だかご機嫌なようでスキップなんかしている。紫色の髪と猫のような耳が大きく揺れる。
「あいつなら買い出しに行ったよ。」
キンが首に巻いていたタオルで汗を拭きながら言った。
「そう、それならキンでも構わないわ。」
さっきまでの機嫌の良さはどこに行ったのやら、エンマ大王はつまらなそうな顔をする。
「おいおい、それは俺に失礼じゃないか?」
キンの抗議を無視し、エンマ大王は背中の方に隠していたものを得意げに取り出す。
「じゃーん、『ソロバン』と言うものだそうよ。」
「ああ、そろばんか、親父に使い方教わったっけか。」
キンがそう言うとエンマ大王は目を輝かせる。こういうところはまだ年相応というか。
「教えてちょうだい、キクノは忙しそうで教えてくれなかったの!」
「キクノって、おまえまたガラクタ漁りに行ってたのか。」
キンは呆れたような表情をしたが、中庭にあった椅子に座って、「どれ」とエンマ大王のそろばんを受け取る。何だかんだ言いながら一番相手をしてくれているのがキンである。
「この下の珠が1を表していて、上の珠が5を表している訳だ。それでこんな風に足したり引いたりするわけだ。」
キンがそろばんを使って計算をして見せる。それを見てエンマ大王は「おお!」と感動しているようだった。
「すごいわね、キクノが会計の度に何かシャッシャとこれを動かしてたから気になってたの。」
「それでねだってもらって来たと。」
キンがエンマ大王の方を見てため息を吐く。
「ったくおまえは、もっと我慢というものを覚えるべきだな。」
「お金は払ったもの、問題ないわ。」
キンの説教にエンマ大王は抗議した。そのとき丁度ミイラが大きな紙袋を抱えて帰って来た。
「あ、ミイラ―、見て見て!」
エンマ大王はそろばんを持ってミイラの方に走っていく。
「ちょっと待て、まだ説教の途中だろ!?」




