9章-3 地獄の大地
「一昨日の夜にこの公園に現れた、ねえ。」
少女は長髪の男が吐いた『ヘルグランド』と会ったという公園に来ていた。金持ちに見えたんでおやじ狩りをしようとしたところを逆に〆られたそうだ。一対多数だというのにボロ負けとは、ここの世界の人間は虚勢ばかりなのかね。金髪に染めて、刺青まで入れて一見強そうであったが、少女を襲った二人とも少女に掠り傷一つ付けられていない。
「この体にボロ負けしてるようじゃ、この世界の人間のレベルはたかが知れているな。」
少女はベンチにドカッと座ると、自販機で買ったブラックコーヒーを開けた。口に入れると今回の珈琲はしっくりきた。やっぱりブラックだな。少女はグッと缶コーヒーを飲み切るとゴミ箱に投げ入れる。
「この感じだと今回のターゲットも楽勝かね。」
少女はショルダーバッグから長財布を取り出し、そこから一枚の札を取り出した。『人払いの呪符』である。少女は魔法の知識が皆無なため、今回の仕事に当たって支給された。呪符は使い捨てだが、魔法の知識が無い者でも効力が得られる点で便利である。
少女は空を見上げた。まだ太陽は真上である。夜にはまだ時間がある。
「少しくらいなら寝て構わんだろう。」
少女は欠伸しながら呪符を地面に落とす。すると呪符は燃えて灰になった。これで今日一日この公園は貸切状態である。入って来れるのはターゲットのみだ。さて、それなら少し寝るとしよう。
「眠れねぇ。」
日が沈み始めて来ていたが、少女はあれから一睡もできていない。珈琲飲むと寝られないというのは本当であるらしい。少女は体を起こす。そろそろ夜だ。ターゲットがここを通る可能性があるのなら、しっかりそれに備えるべきだろう。少女は木の上に飛び乗り姿を隠した。




