1.
最初なので短めです。
気分なので書き貯めもありません。書いたら載せる。
誤字脱字はチェックしてません。指摘ありましたら直します。
読んでくださる方がいらっしゃれば頑張って続けるかも…笑
「あ、あのっ!弟子にしてください…!」
「…………。」
世界最強。ランキング1位のアラタ・ハルトは珍しく動揺していた。
「…私!なんでもします!どんな鍛錬にも耐えてみせます!お願いします!ハルト様!」
「………。」
世界最強。ランキング1位。12歳でこの地位を築きあげ、現在16歳までそれを守り続けている…いや、彼を倒せる人物など、これから先現れることなどあるのだろうか。
アラタ・ハルトは動揺していた。
(待て待て待て待て!!!確かに俺はハルト。アラタ・ハルトだ。しかし物心ついた頃から顔は一切見せたことがない。なんでなんでなんで!!)
「あの…ハルト様で間違いありませんよね…?」
少女はなぜハルトが黙っているのかわからず、しばらく考えた末に。
「…はっ!!!申し訳ありません!人に名前を聞くときはまず自分から名乗るんでしたよね!私はアイリス。アイリス・クロイツェルと申します!」
「………。」
(なんなんだこの子。そもそもここは精霊界だそ。ただの人間が入ってきて正気を保っていられるはずが…」
それでも黙り続けるハルトに、アイリスと名乗った少女はオドオドしだす。
「はわわっ!急な話でしたよね!いくらハルト様でもいきなり弟子にしてくれなんて言われても困っちゃいますよね…えへへ。申し訳ありません。明日もう一度出直します。お返事考えてもらえると嬉しいです!では!」
「…は?あっ…ちょっと!」
それだけ言うと少女…アイリスは『ポンっ』と音を立ててその場から消えてしまった。
「なんだったんだあの子は…」
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ランペル王国、首都のサラビナ。
その高級レストランにランキング8位にして最強の炎魔法使いがいた。
「つーかよぉ…それ俺じゃなくてもいけるんじゃねーのまじで。」
いかにもだるそうな8位の目線の先には、長身の老人がいた。
「確かに個の力は微々たるもの。上のやつも大したことはないでしょう。」
「だろ?なんだっけ?…Bランクとかその辺じゃぁなかったか??」
「ええ、確かに。ですが規模が大きすぎるのです。あれだけの人数相手にはこちらもある程度人数を用意しなくてはなりません。ですが貴方の魔法であれば…」
「あーあー。長ったらしいんだよ。行ってくればいいんだろ?てめえは本当にムカつく野郎だな。」
「ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。」
悪態をつかれたのにも関わらず、老人は顔つきひとつ変えずに頭を下げた。
「めんどくせぇからとっとと行ってくるが構わねぇな?」
「ええ、もちろんですとも。よろしくお願いします。ネロ・エルレヴァイン様」
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「ねーぇハルトぉ…。もう待ちきれないのぉ…。」
アイリス・クロイツェルが去ってから2時間あまり。
その女は荒い吐息をハルトに吹きかけながら言う。
その女は真っ黒なドレスをはだけ、ハルトに絡みつく。
「…何がだ?」
「やーねぇ…ハルトってば女の子に言わせるつもりぃ?」
「いや、お前何歳だよ。年齢で言ったらクソババアだぞ。よくそんなことできぶへらっ!!!」
世界最強。ランキング1位のアラタ・ハルトは殴られていた。
「何すんだてめー!」
「ハルトが悪いんじゃない!女の子に年齢の話は失礼よ!全く女心なんて何ひとつ理解してないんだからっ!」
「知るかよ。それよりサーシャ、1つ聞いていいか?」
「んー?珍しいわね。どうしたの?」
ハルトにサーシャと呼ばれた女は応える。
「いや、この精霊界に来れる人間って俺以外に考えられるか?」
「……。」
「……。」
2人は黙って見つめ合う。
そして…
「あははははははははははははは!!!!!!!どうしたのハルト!そんな人いるわけないじゃない。遂におかしくなっちゃった??どれどれお姉さんがちゅーして治してあげよう!」
「おい、やめろ離れろ。力じゃ『精霊王』のお前に勝てるわけないんだ。弱いものいじめだぞ。」
「何言ってるのよ。私より弱いやつにこの私が付いて行くわけないじゃない。ハルト、私なんかがいなくてもあなたは圧倒的な世界最強でしょ?」
『闇の精霊王』サーシャは「それで?」と話を続ける。
「どんな子だったのよ。その人外は」
サーシャの雰囲気がガラッと変わる。
「私がいない間に何かがいたのは知っているわ。仮にそんなものがいるとするならとんでもないことよ。」
「『彼女』は間違いなく精霊ではなかった。だが、大きな魔力も感じられない。身体強化しているわけでもなさそうだった。そして何より…」
「俺が1位だということを知ってここに来ていた。」
「はぁ??ハルト、あなた何かやらかしたんじゃないの?それより『彼女』ってなによぉぉお!女??また女なの????ばかぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
「痛え!!!おいこら髪の毛引っ張るじゃねぇぇぇぇぇええええ!!!!」
………………………
「……落ち着いたか?」
「ええ、納得はしてないけど落ち着いたわ!」
サーシャは頬を膨らませプイとそっぽを向く。
「お前が余計なことで話を折るから全然進まねえじゃねーか。」
「何よ!悪いのはハルトでしょ!すーぐ女の子引っ張ってくるんだから!」
「引っ張ってねーよ!勝手に来たんだよ。この精霊界に…。」
「そうね…。で?なんか話でもしたの?その人外さんと。ハルトの正体を知ってたなんて言ってたわね。戦ったの?もう『殺しちゃった』?」
ハルトに向きなおったサーシャは真剣な顔で、しかし少しの笑みを含みながら言う。
「いや…話をした。戦ってはいない。」
「あら、何時ぞやのエルレヴァインの子供のように戦闘狂ではないみたいね。よかったわ。精霊界に来られるような人外とハルトが戦ったりでもしたらタダじゃ済まなそうだもの。
それで?なんの話?」
「……弟子にしてくれって。しかも名乗られた。アイリス・クロイツェル。」
「弟子!?またよくわからないわね。それに聞いたことのない名前…。こういうことは私よりエリムのほうが詳しいのかしら」
サーシャは首を傾げながら考える。
「どっちみち悪意を感じられなかった。…それに、また明日来るって言ってた。」
「そうよ!ハルト!弟子ってどういうこと?明日も来るってことはもう弟子にしちゃったの???」
「いや、返事を聞きに来るってさ。俺は別に弟子なんかとるつもりはないし、そもそも俺は知られていない存在なはずなんだ。」
「そう…。なら明日確かめるしかないわね。見極めるんでしょ?私も一緒にいたほうがいい?エリムも連れてこようか??」
「そうだな…。こんなこと初めてだ。何が起こるかなんてわからない。万全には万全を。これがランキング1位のやり方だ。もし食ってかかるようであれば全力で潰すし問題ない。まぁ、そんなことするような奴には見えなかったが。」
「ならいいんじゃない?ハルトの勘ってよく当たるし。なによりあなたに勝てるやつなんていないわ。それにハルト、あなたの目的に一歩近づくための存在になり得るかもしれない。ふふっ。私の感も良く当たるのよ♪」
するとハルトは一呼吸おいて
「…ふぅ。まぁ、明日にならないと何もわからないわけだ。難しい話はこの辺りで止めにしよう。」
「そうね。」
2人は緊張を解く。それと同時にサーシャの目が光る。
「じゃぁ…ハルトぉ。つ・づ・き♡はーやくぅ♡」
「おいこらまて来るな近づくな!ちょっ!あっ…てめぇ!耳舐めるんじゃねぇ!!!!」
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「ったくよー…なんで俺がこんなこと…。」
ランキング8位ネロ・エルレヴァインは依頼にあった目的地まで向かっていた。
目的地まではそれなり距離あるために今は小休憩と言ったところだろうか。
「あのー…?」
「ああん???」
声が聞こえた。女の声だ。
ネロが振り返るとそこには少女と呼ぶにふさわしい小さな女の子が立っていた。
「んだよ。迷子か?ああ?道あんだろ。まっすぐ進めば帰れるぞ。」
「いえ、違うんです…。あなたにお願いがありまして…。」
「ああ?俺は忙しいんだよ。いや、まぁ今は休憩しているがすぐに戻る。迷子に構ってる暇なんざねーんだよ。」
「あ、あの!違うんです!私とお手合わせしていただけませんか????
第8位のネロ・エルレヴァインさん」