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「信じてくれないのだろうな・・・」
アルバは、ノロノロとレオンを探していた。
風と水のただならぬ様子にしぶしぶ動いているものの、
今までの人生で風と水の言葉を信じてくれた者は
母と育ててくれた皆以外は殆ど居なかった。
いつも夢見がちな子どもという風に見られて信じてもらえなかった。
「・・・・キャプテン・・・キャプテン・・・」
風と水が、レオンの居場所が船尾だと言っていた。
(依頼主に会っているのかな?)
アルバはもう少しで奥に入るという
区切り目のような所で、行きたがっている風と水も引きとめて、
レオンを待っていた。
「・・・・依頼主に会わなかったら良いのだから
依頼主が部屋に入っている時に船尾に行かせて下さいって
頼めばいいのでしょ?」
風と水が教える病気って、
船尾に病気の人が助けを求めているとかなんだろうか?
それをレオンに知らせるだけでも良いのだろうか?
アルバは色々とそんな事を考えながら
その場に座り込み両手を太ももの下に、
顎を両足の膝の間に乗せてレオンを待っていた。
「・・・・・そこの子ども・・・・如何したんですか?
気分でも悪いんですか?」
ぼーっと待っていたアルバの頭上からそんな声が聞こえた。
目をパチクリとさせて甲板から入ってきたその人物を見上げる。
不思議な人だった、存在がどこか薄っぺらい感じがして
ぼんやりと見上げてみるアルバの瞳に映るのは、
朱金の長く美しい髪と、質素であるが使われている布地は
一目で高級を分かる服を着た中性的な人物だった。
その優しげな赤茶色の瞳で見つめられて
アルバは思わず。
「・・・・・綺麗・・な・・人・・。」
と呟いた。
その瞬間風と、水が一層ざわめいたのを
アルバは気が付かなかった。
アルバは、何故か、奥底から沸いてきた懐かしい気持ちで
心が溢れそうになり、
知らず知らずのうちに泣いていた。