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「・・・・」
「アルバ!」
父を前に何も言わず涙を零す母を見てアルバはその場を駆け出した。
嬉しいのか哀しいのかなんなのか分からないグシャグシャな気持ちで
甲板へと走り出たアルバの後をレオンが追ってくる。
舳先の手前で蹲るアルバの背中にレオンは恐る恐る手を伸ばす。
「・・・・・嬉しいのか?・・・哀しいのか?」
気遣うようにアルバの顔を覗き込んだレオンは、
思わず息を呑んだ。
「わ・・分かんない・・・とにかく胸が・・苦しいんだ」
アルバの瞳から涙が零れ落ちていた。
臥せられた長い朱金の睫が影を作る
海のような澄んだマリンブルーの瞳から零れる涙は
ポロポロとまるで真珠のようで
レオンは、そっとアルバの頭を抱きしめた。
「分かった分かった・・・分からないけど分かった
俺、お前の傍に居てやるから・・・えっと
存分に泣け・・。」
アルバは、少し年上なだけのまだ少女のレオンの
少し頼りない腕の中に抱かれながら
此処はとても温かいと思った。
「・・・なあ・・・・アルバ・・・・凄い偶然で、
凄い縁だって前に言ったけど・・・もしかしたら、俺、思うんだけど・・」
「・・・父様は、風にも水にも火にも土にも愛されている人
色んな事を見通してる人だ・・・父様が導いてくれたのかも知れない
キャプテン=レオン・・・もしよかったら聖獣探し手伝ってくれる?・・
あの・・友達になってくれる?」
アルバの言葉にレオンは、大きく頷く
「島の領主の家の聖獣じゃ俺に関係無い訳じゃないものな
父の実家だし・・・・それにお前は放って置けない気がする
手伝ってやる・・・友達になってやるよ」
少しだけ照れて頬を染めてそう言うレオンに
アルバは嬉しそうに微笑んだ。