初めての街につきました
遅くなりました。
近々、紅の姫の方もUPするのでよろしくお願いします
自転車でこぎ続けてとにかく思ったことは、道がかなり悪い。
僕のいた世界は道路が舗装されててとにかく平だった、でも今進んでいる道はとにかく自然なでこぼこした道だった。僕の自転車がまだMBだったから良かったものの、正直尻が痛い。
がたがたと直接振動がきて尻の感覚がどんどん無くなっていく。
・・・。これパンクとかしちゃったら・・・どうしよう。
ふいにそんなことが思い浮かんだ。結構な距離を進み、尻も限界に来ていた僕は休憩に入った。
「ふう・・・。不思議な所だなぁ」
今、見ている景色は気候はどう考えても春だ。でも、周囲の木は完全に紅葉になっている。はらはらと冬に向け、落ちていっているような葉っぱもある
「でも・・・綺麗なとこだ・・・」
元いた世界よりも空気はとても美味しい。
何よりそれを実感できる
「・・・ファングには世界を知りたいなんて言ったけど・・・僕はこの世界でどうしたいんだろう」
前も言った通り、家には完全に興味はない。
ちょっと伯母さん(母親だった人の妹さんらしい)の事は心配だけど、でもやっぱり未練はないかな
僕は・・・この世界で自由に生きたいかもしれない。
ううん。やっぱり違うかも。多分、元のいた世界で出来なかったことがしたいんだ。
・・・。よし。そうと決まれば今日はもう少し頑張ってMBを漕いでみよう
もう一回跨って、僕はペダルを漕いだ。
立ち乗りで、スピードをつけ、がたがたな道を奔っていく。
それから、日がすこし傾いてきた時だった。ようやく街が見えた。
「も・・・もう少し・・・・!」
結果論から言うと、僕は完全に街に着くころには体力がなくなって、ボロボロの状態で街にたどり着いた
門みたいなところを通らないと、行けないみたいなので、郷にしたがっては郷に従えというから、きちんとその通りにやろう。(ファング情報)
「えっと、こんにちわ」
「おう。坊主。そうした。お前さんは旅人かい?それとも冒険者か?」
「・・・?冒険者?」
「お?冒険者しらないんなら、多分旅人だな?今から通行手形書くから坊主の名前を教えてくれ?」
人のよさそうな門番だった。ガタイは物凄いでかくて、その手に持っているハルバード・・・というのだったと思うが巨大な戦斧を軽々と持ち上げた。
「コノハ。コノハ・ミズシマ」
「ふむ。珍しい名前だな。でも、響きは凄く綺麗な名前だな。もしかして東方民族か?」
(東方民族?やっぱり日本とか、アジアみたいなところがあるのか。ここでは・・・・。と、なると多分ここはヨーロッパとか、そんな感じな大陸なんだろうな。無暗に言うと僕の身が危ないかもしれない)
「えっと、僕、人がいない山の奥で生まれまして、冒険者とか、東方とか解らないんです」
「・・・ふむ。それなら、教えおいた方がいいのだろうな。まず、冒険者だな。冒険者は、その名の通り冒険をして身の生計を立てているものだ。また、基本的に冒険者はギルドと呼ばれる組織に入っている」
うん?基本的には、元のいた世界のゲームの話と同じ内容なのかな?
「ここら一帯に、冒険者登録のできるギルドはこの街しかないからな。だから自然とこの街は大きくなったんだって・・・ことだな。俺は冒険者じゃなく、ただの門番だからな」
だから、僕のことも冒険者か、冒険者登録をしに来た旅人におもえたのか・・・
「コノハ・・・ミズシマっと。よし、これでこの街の中はお前の身分は保障されたぜ。気をつけていけよ」
「どもです」
こんなに人と顔を合わせ、話をすることなんて久しぶりすぎて、少し気持ち悪い
元の世界にいたときは、僕は一人だった。本を読んで、教室の片隅の机で一人でいる。それをただ淡々と繰り返しの生活。
家に帰って、部屋の隅で暴力を受けないように縮こまるか、図書館に行って時間をつぶすか。
そんな生活を送っていたせいで、完全に一人に慣れてた。むしろ他人と話をするなんて、図書館の司書さん以外にほぼないだろう。
話をしていたといえども、司書さんは貸出の本の仕事を淡々としていただけで、話しているという感覚は本当はないんだろうけど
ファングは・・・まぁ別物かもしれない。むしろ特例すぎる。ファングは犬・・・狼?みたいな感じで基本を動物と思っていたから、「気持ち悪い」なんて感覚はなかった。
・・・。動物は飼ったことはなかったけど、つぶらな瞳がとてもかわいいから
「えと・・・冒険ギルドだっけ・・・」
たぶん、僕の想像している冒険ギルドだったら、たぶん入っておいた方がいいだろうなぁ。
この世界のお金もないし。
街の道の隅っこを歩いて探していると、それはすぐに見つかった。
「これが・・冒険者ギルド」
外見は、完全にレンガと石が混じっているブロックの壁。ドアは木製。ところどころに刃物でつけたような傷と、看板の文字には「冒険者ギルド」とわかりやすく書いてあった
よし・・・・。入ってみよう
ギィーと木製のドアを押して中に入るとまず酒のニオイ。あとは・・・なんだろう。それに混じってミントみたいなニオイもする。
とりあえず、乱雑においてある机を避けて、受付みたいなところに行く。
「あ、初めて見る顔だね。冒険者の登録か、依頼?」
「・・・えと、登録でお願いします。」
「はい、登録ね。この紙に記入してね。」
受付の女の人から、紙を受け取り、羽ペンのようなものとインク壺を受け取った。
えと、項目は、名前、年齢、性別、人種、出身地、5項目だった
名前は・・・コノハ・ミズシマ。年齢は・・・14歳、性別は男。人種と出身は・・・どうしよう
「あの・・・すいません。」
「はいはーい。あ、さっきの子。どうしたの?」
「あのここの項目で、どうやって書けばいいですか?」
「あ、人種ね。君、人間だよね?なにか他の種族の血が混じってたら、ハーフをつけてね。出身は・・・そのままの通りかな」
「えと、すいません。僕この世界の人じゃないから前の世界・・・」
「!?ちょっと待ってて!!」
受付の人は、あわててカウンター奥にある扉に入っていった。
しばらくすると、呼ばれた。
「えっと、コノハ君だったよね。そこの扉から、中にはいって。」
部屋に入ると、耳の尖ったオジサンがいた
「やぁ。この街のギルドのマスターをしているものだ。皆からマスターって呼ばれてる。」
ボソッ「耳が・・・尖ってる」
思わず、声にだしてしまった。でも、ほんと小さな声だった
「僕の耳が尖ってるのは竜人だからさ。エルフとは違う。いやぁ。この様子を見ると君、世界を渡ってきたね?」
「!?」
「僕の種族の言い伝えでは、326年前に世界を渡ってきたヒューマンがいる。そのヒューマンはこの世界には珍しい黒眼、黒髪をしている。そんな伝説めいたものがある。
黒眼黒髪ですぐにわかったよ。いやぁ。近くでみるの黒曜石のようだ」
「僕を読んだ理由は何ですか?」
「あぁ。そうだったね。忘れてたよ。まず、君の黒眼黒髪を一目見てみたかったのと、君がそのまま冒険者登録するのを僕の目の前で確認したかったからさ」
「?」
「まぁ、細かい事はおいといて・・・ね?あ、魔水もってきて?」
「はい、ここに。」
その返答をしたのはさっき対応してくれた女の人だった。その手には銀色の水盆をもっている
「さぁ、コノハ君。手をこの水盆の中に入れてくれないか?」
僕は無言で水盆の中身を見た。透明なようで少し緑色をしている。・・・。たぶん大丈夫だよね?
ぽちゃん・・・・
水の中に手をいれると、なんだか少し温かく心地いい。
30秒くらい水の中に手を入れていると水の色が変わった
緑から空のようなキレイな水色。さらに変わって銀色。
「お、出た。珍しいね空色か。あとは・・銀?」
「マスター・・・これは・・・」
「?」
全く僕は話についていけない。どういうことだろう
「あぁ。悪かったね。この水は魔水といって、新人の人に使う職業探知の魔法の水なんだよ。空色は、確か回復技能に特化した色だったかな・・・。銀色は・・・なぁ、君、何か動物に会わなかったか?」
動物・・・?ファングの事かな?
・・・。黙っていたほうがいいのかな?なんか雰囲気的に。
コノハは親からの虐待により、その場の空気を読むことが特にうまかった。親から逃げるためには、その場の空気を読み、自分に暴力を受けるのを防いでいた。
そのせいなのか、友達もろくにいなく、クラスでも空気な存在となって、目立たない存在だった。
「いえ、なにも・・・。何も会いませんでした。」
「・・・。そうか。ならいいか。コノハ君。これでギルドカードの制作は終了だ。受け取ってくれ」
「はい」
金属プレートのようなものを渡された。それは何と言えばいいのだろう。簡単にいうと運転免許証のような大きさで、薄い緑の色をしていた。
そのカードを観察してみると、両面つるつるで、なにも書かれていない。
「こうするんだよ」
いつの間にか、マスターの手には僕のギルドカードと同じ大きさのカードが握られていた。色は薄い緑の色ではなく、真っ赤に燃える炎の色をしていた。
「あぁ、色は変わっていくんだ。そのカードの所持者の能力も変わるように、何段階かに分けて変わっていく。でも始まりの色は決まって、薄い緑の色。たまに特殊なケースで、複数の色がカードに出てくることもある。まぁ、そんな所だね。で、このカードを自分の好きな方の手の甲にあててみて」
・・・カードを腕にあてる?
こうかな?
右手でカードを持ち、左の甲にあててみる。瞬間、魔法陣といえばいいのか、ひとつ浮かんで左の手の甲に刻まれた
「うわぁっ!!」
少し焼けるような感じがする。痛い。
すぐにその症状は緩和され、患部を見てみた。
「あ・・・」
そこには木葉の模様が描かれていた。葉っぱの模様。色は緑じゃないけど、さっきでた空色に近い色だ。
「おお、綺麗な紋様だ。ついでに僕の紋様はこんな感じ。」
スッと差し出されたと手を見ると、そこには赤くWと描かれていた
「基本的な紋様は変わなくて、たまに色と同じで紋様が変化することもある。この紋様はギルドに入っている印にもなって、さまざまな街にも入りやすくもなる。個人によって、紋様が異なるため識別もしやすいしな」
マスターはそこまで言い終わると、机の上に肘をのせ、手を合わせて言った
「君を歓迎するよ。コノハ・ミズシマ君。これから同僚としてよろしく」