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白い黒猫のタンゴ(短編集)

簡単そうで、答えが出せない方程式

作者: 白い黒猫

式は間違えてはいないと思うのですが……

 男はいつも、この場所で苛ついていた。今男がいるのは夕方のスーパーのレジ前で長い列の中。

 混んでいるから苛ついているのではない。その時間は仕事帰りの人が一気にと押し寄せる事と、お惣菜等値下げが始まりお買い得になる事から混むのは当然だと考えている。

 なら、何故苛ついているのか? 

 レジ列がいつも彼の作り出した方程式通りにいかないから。


 【待ち時間】=【レジ待ちの人数】×【レジ待ちの人間の持っているカゴの中の商品数】×【レジ打つ店員の熟練度】


 この方程式で、最も少ない待ち時間のレジに並べて買い物を終えるはずなのに、何故かそうはならない。

 長い列を避けて並んだつもりが、長い列の隣のレジが開設し、その列がみるみる進んでいったり、とろそうな店員だったので避けたら途中でそのレジに補助の店員がつきソチラの列の方が早めに進むようになったりと、アクシデントという程の事ではない事でその方程式の理論があっさり崩れる。


 今日も男は鋭く周囲の列の様子を伺いながら、『今日こそはこの方程式通りだ!』と少しホッとしていた。しかしあと三人という時に怖れていたアクシデントが起こる。カート付きの買い物バックをもった老女が、支払いの時になって鞄をガサガサし出す。そして小銭用財布と思われるモノから一枚一枚数えながら端数のお金を支払い始めた。そうしている間に他の列は順調に進んでいく。男は大きな溜息をつく。


 無事買い物を終えた男は、味わう必要のない敗北感を胸にスーパーを後にした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 短い中に、笑えるエッセンスや納得できる内容がぎゅっと詰まっているのはすごい才能だな、と思えました。 [一言] こんにちは。先ほどは私の小説に感想をくださりありがとうございました。 この小…
[一言] すごくよくわかります^^ 私もレジに並ぶ前は周りをうかがい、めっちゃ頭を働かせて考えるんですが・・・なかなかうまくいかないものですよね^^; よく敗北感を味わってます(笑)
[一言] あるある!! スーパーの混雑を防止する公式として 1.開店直後に素早く済ます 2.昼食時(12時ごろ)に済ます 3.午後2時前に済ます をフル活用しています。 3は…休み時は使えませんが、平…
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