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第二話

 あれからしばらくして、俺は食糧を求めて歩き出した。あいつを今すぐ探して殺したいが、このままでは飢死してしまう。というわけで食えそうなものを探しているのだが


「何にもないなー」


 結構キノコが生えているのだが、あいにく俺にはキノコの知識なんてない。精々素人がキノコに手を出してはいけないということぐらいしか知らないのだ。だからキノコは除外。

 

次に野草や果物だ。草はたくさん生えている。しかし、俺には全部雑草いしか見えない。いざとなったら食うが、今はやめておこう。

 

果物はたまに見かける。しかしこれにもまた問題がある。

それは、色だ。派手な色は毒がある、という話を聞いたことがある。どの果物も毒々しい色していてキノコと同じくらい危なそうだ。あとは…デカイ虫がいるが生で食いたくはない。除外。


 じゃあ何も食うもんないんじゃね?と思うかもしれないが、ひとつだけ食えそうなものがある。そう、クマに食われていたイノシシっぽいやつだ。

 道は覚えていないが、所々にクマが吹いた炎の残り火があるのでそれをたどっていけばそのうちたどり着くだろう。

 もちろん残り火だけを見ているわけではない。クマに遭わないように、ほかの怪物に遭わないように注意しながら歩いている。


そのため、中々たどり着かないし腹が減った。のども乾いた。


 ふと右を見ると金属っぽい何かの塊が見えた。興味がわいたので近くで見てみることにする。…鎧と剣?


 どうやら金属っぽい何かは錆びている鎧の一部と刃渡り80センチほどの剣のようだ。所々かけているし、錆びているが丸腰よりましだろう、と思い剣と鞘を拾う鎧の方は重そうなので破棄しておく。


剣を鞘に入れて右手で持つ。


「よし、戻るか」


思わぬ収穫があり少しやる気がわく。心なしか先ほどよりも歩く速度が上がった気がする。


 その後適当に落ちていた太い木の枝を燃やして松明もどきを作る。俺がここに飛ばされてからかなりの時間がたっているため暗くなってきたのだ。


松明もどきで足元を照らしながら残り火を辿っていく。


それから一時間ほど歩いてからようやくイノシシを見つけた。


「やっと…見つけた」


俺は急いで木の枝を集めて焚火を用意する。


 左手で剣を抜き上から思い切りイノシシに叩きつける。何度か繰り返し、1キロほどイノシシの肉を切り落とす。


「ふぅぅ、こんなもんかな?よし焼くか!」


すでに腹は限界まで減っている。俺は肉を食うために木の枝に肉を刺し炙る。


「腹は減っている。だけど何があるかわからないからな。よく焼かなくては」


しばらく焼いてだいぶ火が通ったようなので焚火から離す。


「よっし、んじゃいただきます」


そして俺はイノシシの肉に齧り付く。


「んー、うまい?ような気がするんだけどなんか舌がしびれるような…っ」


 気づいた時には遅かった。すでに体には力が入らず倒れる。体が痙攣をおこす。冷や汗が止まらない。目の前が暗くなる。そして


「く…っがここで…ここでし…ッは…死ぬわ…けにはいか…ないの…に」


そこで俺の意識は落ちた。





暗い。暗く寒気がする。朦朧とした意識の中俺は声を聴いた気がした。


「……死んで……困…………早い…力……やる…………勇者………死…」


すぐに声は聞こえなくなった。

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