第十八話
書いていなかった目標の3万PV突破!!
多いのか少ないのわからない……
エルフの里の位置がわからないのでティアを送り届けるのは断念。まずはエルフの里を探すことになった。ティア曰く『結界』が張ってあるらしい。探索魔法(エルフ&結界)を発動させていく方針でがんばっている。
今日はティアの様子が少しおかしかった。なんでも森の様子がおかしいらしい。危険だから暗くなる前に帰って来てと言われてしまった。……確かに今日はモンスターをあまり見かけないなぁ。
木々の間を走りながら気配を探るが掛からない。
「いつもは,これでもか!!ってぐらいいるのになぁ」
やはりティアの言うと通り何か様子がおかしい。早めに帰った方がよさそうだな。
「まぁ、一体ぐらい喰わなきゃ腹が減って大変なことになってしまうな…」
走る速度を上げて森を駆けていく。
先日発見したモンスター(ティアに聞いたらゴブリンだと言っていた)群れからはぐれたゴブリンに遭遇。やはり単体では弱い。振り下ろしてくる棍棒を躱し心臓を一突きで戦闘は終わった。
「……味薄!!」
ティアの料理の方が万倍うまい。ブツブツと文句を言いながら捕食を終え、あたりを見回す。
(そろそろ帰った方がいいな……まだ日が暮れるまで時間があるけど早いに越したことはない…かな))
持っていた骨を捨て、拠点に向け走り出す。
(おかしい…)
最近季節が冬に近づき少し寒くなってきた。暗くなってきて気温が下がったとしても今感じている寒さはいつもの比ではない。
走るのを止め、探知を広げる。何かがいる、いや狙われている?
探知を広げても何もかからない。
(これは、本当におかしいぞ)
剣を抜き警戒を最大まで引き上げる。一瞬寒気が強くなった。慌てて後ろを振り返るが、何もいない。
(気のせいか…)
顔を前に戻すとそこには
「!!」
巨大な大鎌を振り上げる何かがいた。
突然目の前に現れたモンスター?に驚き慌てて後ろに下がるのと同時に大鎌が振り下ろされ大鎌は右肩から左斜めに切り裂く。
「っぶねぇ!!」
幸い後ろに下がったため薄皮一枚斬られる程度で済んだ。
(!!なんだよこいつ…)
全身を覆う黒いフードマント。中身は見えない。ただ紅く光る双眸が怪しく輝く。二メートルはある大鎌を右手一本で軽々と扱っている姿はまるで
(死神…か?)
目の前にいるにも関わらず、探知にかからないうえ、やつの情報が何一つ視えない。
(こいつはモンスターなのか?)
何より驚いたことに死神は傷を負っていた。
フードマントはあちこち切り裂かれ黒い魔力が流れ出ている。だが深手を負っているにもかかわらず死神は衰えを見せてない。
死神は一歩踏み込み、大鎌を右から左へ振るう。
振るわれた大鎌を屈んで躱し、剣に霧を纏わせ刺突を繰り出す。
(なっ!!)
黒い霧は死神に吸収され、剣は死神の腹部に突き刺さるが効いていない。
驚き一瞬動きが止まる。その隙を死神が見逃すはずもなく左腕を振われる。
「ぐがぁ!!」
殴られ吹き飛ぶが油断はまずい、すぐに体制を整える。
(くそ、物理攻撃が効かないのか…黒い霧も吸収されちまう。それなら…)
右手に雷槍を、剣に炎を纏わせる。
「これで、どうだ!!」
雷槍を投擲し、飛焔を飛ばす。黒い霧(闇属性)は吸収され物理攻撃は無効。ほかの属性が駄目なら勝ち目はない。
(頼む!!)
しかし、祈りむなしく雷槍も飛焔も死神をすり抜けていくだけだった。
魔法がすり抜けていくのを見た俺はすぐに逃走へ行動を移す。拠点まであと少し。拠点には敵対意志を持つ存在の侵入を防ぐ結界が張られている。
縮地を発動しようとするが
「がはぁ…ぁ!!」
いつの間に接近していたのだろう。死神の拳が腹に叩きこまれる。激痛に体が強張る。さらに二度、三度と拳が叩き込まれ、四度目で腹を貫通する。
「があああぁぁぁぁぁぁ!!」
腹部を貫かれ張り裂けんばかりの絶叫をあげる。死神は腕を振るい俺を飛ばす。地面に投げ出され痛みと苦しみに耐え意識を保とうとするがかなりきつい。黒い霧が貫通した腹部を覆うが血は止まらない。大量に吐血し口の中に血の味が広がる。
死神は俺に近づき大鎌をゆっくりと振り上げる。
(くっそがぁぁぁ!!)
意識が朦朧とする中、俺は左腕を上げ死神に向ける。
死神は物理攻撃、火、雷、闇属性の魔法も効かないようだ。闇属性に至っては吸収される始末である。ほかの属性は試していないがおそらく無駄である。
(……いや、おそらく光属性なら)
死神の根源属性は黒い霧を吸収したことから闇属性だろう。そして俺の根源属性もまた闇属性。
(使えば死ぬかもしれない……でも、使わなくても死ぬ。それなら、俺は……!!)
視界が霞んできた。死神がぼやけて見える。気を抜けば一瞬で意識がなくなりそうだ。
(属性は光。とにかく強力な光。死神を殺す光を、願う)
指先に小さな光が灯る。やがて光は左腕全体を覆い光輝く。死神が光を浴びて怯み、同時に左腕に焼き付く様な痛みが襲う。腹と腕、二つの痛みが意識をガリガリと削っていく。
それでも俺は、光を圧縮させていき、呟く。
「はぁ……はぁ……くっ、消し飛べ…死神…」
「…圧縮解放……『アキラ』……」
圧縮された光はレーザーのように発射され、死神を貫き死神は白い炎に包まれ悶え苦しむ。白光はあっという間に広がり視界を森を白色で覆い尽くす。あまりの痛みに左腕の感覚がなくなり、俺の意識は途切れた。