魏晋南北クソ君主最終回 目録とか
長々と能書きを垂れ流してきたTier 表、いかがでしたでしょうか。俺はめっちゃ楽しかったので満足です。うっかり皆様にも楽しんでいただけたのであれば助かります。
最終話となるこちらでは、この企画のきっかけ、次のステップに進んで頂くための資料等を紹介していければと思います。
○この企画のきっかけ
今回、ついったのフォロイーである「土」様が魏晋期のクソ君主 Tier 表がどんな感じなのか知りたい、と仰っていたのがきっかけでした。とても楽しいネタフリを頂戴できましたこと、感謝申し上げます。
で、どうせなら語り倒したいわねと南北朝まで企画の枠を広げるも、直後、前話で語った通り、よりによって隣国との緊張が高まるタイミングでやってしまっていることに気づきました。まぁそれならそれで「クソっぷりを叩く」方向から逸脱してしまえ! どうせ俺、エピソードそのものにはそれほど興味ねえし! と、「悪魔化」について話す方向に舵を切りました。
おかげで「クソっぷりを楽しみたい」方のご期待からは盛大にそれた気もしますが、そっち方面で書いても自分が楽しくなかったでしょうから無問題です。「怖い」「警戒せねばならない」「自分が知らず知らずのうちにナラティヴに乗ってしまっていないかを疑え」と書くのが楽しいので仕方ないよね!
改めて繰り返しますが、歴史人物の評価軸は多種多様です。あなたなりの評価軸を探してみて楽しまれるもよし、AI を用いるも用いないもよし、なのです。
○資料
五胡十六国時代 小野 響(著) - 早川書房
www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000240044/
南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで 会田 大輔(著) - 中央公論新社
www.chuko.co.jp/shinsho/2021/10/102667.html
Wikipedia については「はじめにリーチできる人物評」ということで重要だ、と考えています。基本的にはトバし記事もありませんし。ただ、これがあります。「記事による掲載基準が統一されていない」「総覧性が弱い」。このあたりを解消するためにも、信頼のおける通史本は手元にあるといいです。幸い今は最新の研究動向まで視野に入れることのできる新書が五胡十六国、南北朝でそれぞれ出ています。
「五胡十六国」入門 波間丿乀斎
www.amazon.co.jp/dp/B0BRLY338Y
その上で、これも書いておきますね。五胡十六国時代については、自分も取りまとめて同人誌を出しました。小野五胡十六国は「人物を軸にして流れを追う」なので、自著を副読本にして頂けることで、理解がかなり早まってくれると思っています。
五胡十六国時代勢力地図集 ミヤイン
www.amazon.co.jp/dp/B0DL55HN5G
また、同じく五胡十六国まわりでは「地図」に特化した同人誌もあります。こちらも小野五胡十六国の理解を強烈に助けてくれるでしょう。お勧めです。
南北朝三国志1: 女主摂政(515〜518年) ひぽ太郎
www.amazon.co.jp/dp/B0G5HHLTCH
南北朝については、つい先日一巻が新発売となったとんでもないボリュームの解説同人誌シリーズが刊行されます。一巻500ページ近く、全二十巻を予定、と言うものです。続刊が待ち望まれます。
○史料/漢文
資治通鑑 - 维基文库,自由的图书馆
zh.wikisource.org/wiki/%E8%B3%87%E6%B2%BB%E9%80%9A%E9%91%91
三國志 - 维基文库,自由的图书馆
zh.wikisource.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9C%8B%E5%BF%97
魏晋南北朝を取り扱う史料は通覧として資治通鑑、断代史として三國志、晋書、宋書、魏書、南斉書、梁書、北斉書、周書、陳書、北史、南史が挙げられます。これらは、原文で良ければすべて Web で見ることができます。ここでは資治通鑑と三國志だけ。三國志のトップページに各史書へのリンクもあります。
漢籍全文資料庫
hanchi.ihp.sinica.edu.tw/ihp/hanji.htm
原文テキストの信頼性という意味では中央研究院漢籍全文資料庫が最も高い(し、検索の利便性が異常)ですが、原文リンクの貼りづらさというネックもありますので、用途によって使い分けが必要かな、と思います。
○史料/日本語訳
梁書列伝訳: 侯景 牡丹亭
www.amazon.co.jp/dp/B0DLT1G6PP/
で、これらの日本語訳はあるのか。あったりなかったりです。三國志はちくま学術文庫から全八巻で、北斉書が抄訳で勉誠出版より、梁書が同人誌で、と言ったあたりでしょうか。いずれもアマゾンの検索でヒットしますのでご参照ください。ここではみんな大好き宇宙大将軍だけを貼っておきます。
以下では直接飛べる、Web 上の日本語訳を紹介します。
晋書:
いつか読みたい晋書訳 佐藤ひろお
3guozhi.net/sy/top.html
晋書については、ここが最もアクセシビリティが高いでしょう。訳出に携わっておられる主宰氏ご自身も三國志を専門で学んでおられ、また他の訳出も漢文の専門家によるものです。原文・訓読・訳文のセットになっていますので、自力で原文に当たってみたい、と思う際にも大いに参考となるでしょう。
南北朝初期:
揺訳晋宋春秋/中原戦記 ヘツポツ斎
kakuyomu.jp/works/16817330656902572391/episodes/16818093082738474972
劉裕狂、即ち自分が劉裕の「現役時代」を網羅したいと晋書・宋書・魏書の原則 384-426 の期間限定で総当たりしたものです。訳文は精密性よりもラノベっぽく、を心掛けていますのでその点はご注意ください。
なお自分は現在、五胡十六国時代の内容を収集した明代の民間史書屠本十六國春秋の全訳に従事しています。こちらも完成次第 note にて報告します。
北魏:
マジメに調べずテキトーに語る南北朝時代北魏末の人々。 河東竹緒
kakuyomu.jp/works/1177354054888552296
北魏は基本的にあまり訳出がないのですが、その中で基本北魏末、けど北魏末を知るためには結局北魏という国の歴史も追わんとどうしようもないでしょ、ということで前期中期について、テキトーと自称されてこそいますが、こちらから見ればどう転んでも精密に分析されているようにしか見えないレベルで手厚く訳出してくれているこちらがお勧めです。
南北朝:
南北朝三国志 ひぽ太郎
ameblo.jp/kabadeden147/
上で紹介した同人誌の Web 版です。正史と資治通鑑に地図まで自作で組み合わせるという、途轍もない情報量のブログ記事です。複数の史料の組み合わせによってひとつの流れを見出そうとしているので自然と史料批判的な内容ともなっており、会田大輔『南北朝時代』で気になった流れのところについてこちらに飛ぶ、とやることで、かなりの深掘りが叶うでしょう。
○編集後記
今年は自分を「史痴」と置いた元年となりました。多分これは今後も引っ張り続けるでしょう。自分についての規定を、これ以上に言い表せるものを思いつくまで。
来年は、今回展開したような遊びをもうちょい拡張したいと思っています。具体的には 2026 年の 365 日を両晋南北朝時代約 380 年に割り振った日刊コンテンツをやろうと思っています。
その名も『夕刊シチ デイリー両晋南北朝』。資治通鑑を土台に置き、事件の重要度を一切無視し、タイムスパンだけで追っていく、と言うものです。
上手く企画が形になったらまたお知らせできれば、と思います。
それでは、また!




