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創造神を殺した女  作者:
第一章 神殺しの黎明
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8話

「ミサキ様?」

 アンバーの不思議そうな声に、三咲は我に返る。

 とにかく、神具にする方法は解った。

 あとは、バトルホースの方だけど、それについては、ステータス画面の先へ目を滑らせて、一瞬で確信していた。


 ***


【従者】アンバー(神狼族)、名無し(魔物種・バトルホース)、名無し(魔物種・バトルホース)


 ***



 バトルホースたちの記載があった従者の欄を見ながら、今度は明確に意向を心中で唱えれば、まもなく予想通り追加のウィンドウが表示される。


 ***


 従者の、名無し(魔物種・バトルホース)を二頭、一括で神馬に登録しますか?

 はい / いいえ


 ***


 きっと、「はい」を選択したら、彼らは二度と引き返せない。

 そんな予感がして、三咲はバトルホース二頭に問いかける。

「君らは本当に私の神馬になっていいの?」

 私のことをよく知りもしないのに。

 本当に後悔しないのだろうか?

 そんな三咲の懸念に怒るように、バトルホースたちは嘶いた。

「そっか。ごめんね。君らの覚悟を侮ってた。

 私の馬車をずっと引いてくれる?」

 ブルル!とタイミングよく鳴くバトルホースに、三咲は軽く触れた。

「名前を贈ってもいい?」

 穏やかな目で、こちらを見ている彼らに、三咲は、それぞれホルスとオシリスと名づけた。

 名前のもとは、エジプト神話の空の神と、大地の王だ。

 ちなみに、兄弟神なので、彼らにはちょうどいいだろう。


 ***


【従者】アンバー(神狼族)、ホルス(魔物種・バトルホース)、オシリス(魔物種・バトルホース)


 ***


 ホルスとオシリスを神馬に登録しますか?

 はい / いいえ


 ***


 今度は迷わず「はい」を選ぶ。

 こげ茶のまだら色だったバトルホースは、見る見るうちに肌を白く変えていく。

 厳めしい顔や大きな体躯はそのままに、鬣は美しく、彼らは純白の馬に変貌した。

 その見た目の美しさと言ったら、権力者は彼らを欲しがるだろうなと、思わずにはいられなかった。


 バトルホースは、ソレイルの記憶によると、人族には恐れられている。

 人族のつけた魔物のランクでは、Bランク級の強さで、よく訓練された兵が十人がかりで、ようやく勝てるぐらい。

 しかも、気性も荒く、人が近づくと暴れるので、見かけたらまず退路を確認するべしという教えがあるらしい。

 なので、珍しい上に美しい彼ら神馬は、必ずもめごとの種になるだろう。


 まあ、でも、もう私のだから、誰にも渡すつもりはないけれど。

 自分の中に強い独占欲があることに気づくが、神になったのだから、まあそれもそうだろうと放っておく。

 古今東西、神々の執着というものは、恐ろしいものだから。





 続いて、三咲は、古びた馬車に触れて、神具に登録し、馬車を真新しい白い馬車に変えた。

 縁に金で装飾されており、服も馬も馬車も白で統一されたことで、三咲はより神聖さが増した。

 本人は気づいていないが、三咲は神気をまとっているせいで、他者からは、美しく神々しいものととらえられる傾向にある。

 そこに、さらに神聖な白をまとい、見る人にはバレバレであった。

 鈍い人族は、それでも神と気づくものは少ないだろうが、貴人程度には確実に間違われるだろう。

 少し離れた木陰で、様子を見守っていたソレイルは、ため息を吐くと、アンバーに渡す追加の金品と、大人しめの侍女服を取りに立ち上がった。

 平民や商家ならば、しばらく食うに困らぬ金品は渡したが、貴人や王族となると、不安な量だ。

 勧められる宿なども、それこそ天と地ほど違う。

 ソレイルは、改めて、必要なものを取りに向かったのだった。


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