7話
自分の内側を意識すると、案外簡単に神の力らしきものを感じとれた。
その簡単さは、拍子抜けで、また自分が神であることを実感した。
それはそうだ。
時に全知全能と謳われる神々の一柱になったのだから、自分の力ごとき解るだろう。
それにしては、世界の知識はインストールされなかったが。
さて、なんとか神の力は感じ取れたが、ここからが難解だった。
力の在り様というのは、ひどく感覚的で、ここからどうすれば力を扱えるのか、イマイチつかめない。
もう少し解りやすいようにできないだろうか?
三咲がイメージしたのは、ゲームの設定画面だった。
「えっ!」
その瞬間、パッと目の前に画面が現れて、三咲は思わず後ずさる。
「どうなされた?」
様子を見守っていたソレイルが首を傾げるが、皆には見えていないのだろうか?
確かめてみたが、どうやら見えるのは自分だけらしい。
とりあえず、皆には待ってもらって、まじまじと画面を眺める。
青白い光を発したウィンドウは、まるで、ゲームキャラのステータス画面のようだった。
***
【名前】ミサキ・サガラ
【種族】神族
【職業】創造神Lv.∞
【スキル】物理耐性Ⅹ、魔法耐性Ⅹ、精神耐性Ⅹ、物体創造Ⅹ、魔法創造Ⅹ
【称号】創造神を殺したもの、元人族、渡り人、神狼の友
【体力】SSS
【魔力】SSS
【正気度】∞
【装備】異世界の下着、絹のシャツ、革のベスト、麻のズボン、革のブーツ
***
現装備を一括で神具にしますか?
はい / いいえ
***
知らないことばかりの自分のステータスを、装備のところまで流し見ていると、さらにウィンドウが表示された。
えーと、今の装備って、今着てる服のことだよね?
んー・・・なら、いいかな。
三咲は、現在の装備を確認して、決断する。
いきなり、これから大事になってくるだろう馬車を神具にするのも怖いし。
試しに替えのある服で・・・。
三咲は、ウィンドウを見ながら、心の中で「はい」を選ぶ。
どうやら、このウィンドウは、三咲の力の一部のようで、彼女の思い通りに動かせた。
変化はすぐに訪れた。
三咲が着ていた服は、全体的に白と金を基調とした、不思議な素材のドレスに変わった。
バトルドレスというのだろうか?
軍服風のドレスに服ががらりと様変わりした。
「まあ! 服を神具にされたのですね!
さらにお美しく、神々しくなられましたね。さすがミサキ様です」
そばで控えていたアンバーが頬を染めて、お世辞を言ってくれるが、私はまったく秀でたところのない平凡な人間だったし、今朝湖でも顔は変わってなかった。
三咲の頬は引きつるしかなかった。
それとも、神になったことで、周囲からは違うように見えている?
それか、私の記憶がすり替わった? いや、これはないか。
まあ、今考えても答えはわからない。
三咲は、アンバーに礼を言って、再びウィンドウを見る。
***
【装備】雲蜘蛛糸の下着、白竜のバトルドレス、天馬のブーツ
***
なんか凄い感じの装備に変わってしまったらしい。
これでは、どう頑張っても平民には見えない。
というか、この装備、もとになった素材って、ソレイルの記憶からすると、全部天界に住むって云われてる伝承上の生き物・・・。
三咲は、唖然と、ドレスの裾をつまんだ。