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6話

三咲の記憶の継承は、滞りなく終わった。

ソレイルの前の魔法陣に立ち、彼女とおでこを合わせると、確かに膨大な記憶がなだれ込んできた。

知らない風景、知らない人。

記憶のために、情報は整理されていないが、ある程度の常識はくみ取れた。

三咲は目を閉じて、脳内で流れる記憶の断片に集中する。

痛みはなかった。


「うん。大体わかった。ありがとう、ソレイル。

あとは、アンバーにその都度確かめるよ」

「そうか。それがいいだろう。

それから、街につく前に、表向きの言い訳を考えておくといい。

貴女の身なりや所作で、平民はおかしいからな。

信心深いものや目端が利くものは、神であることにきづくだろうが、そうでないものがほとんどだろうから、表向きの事情は必要だろう」

「そうだね、ギルドカードなんかの身分証明もないし、考えておくよ」

ソレイルがうなずくのをみて、三咲は礼を言った。


そこまで考えが回らなかったが、街に入るには、基本的には身分証明が必要だ。

持っていない言い訳は、確かにいるだろう。

今、三咲が来ている服も、動きやすいものにしたとはいえ、上等なもの。

どこかの貴族や裕福な商家の娘に間違われるだろうな・・・。

三咲は少し憂鬱になる。

自分の童顔には普段から嫌気がさしていた。



ほどなくして、アンバーが準備を整えて戻ってくる。

どこからか、馬車を持ってきていた。

紋章は入っていないので、商家のものだろうが、しっかり二頭の馬が引いている。

驚きで言葉を失う三咲を放って、ソレイルはアンバーに声をかけた。

「おや、そんなものまであったのか。その馬はバトルホースだな」

「はい。捕まえてまいりました。遠国の貴族の旅ということにすれば、怪しまれることは少なかろうと。余計なお世話でございましたか?」

「いや、ちょうどその話をしていたところだ。さすがだな」

ソレイルがほめると、アンバーは三咲の方も不安そうに確認してくる。

「え、うん。悩んでいたから、ありがとう。アンバーはすごいね」

そんな厳つい馬を今捕まええてきたのだろうか? そうなんだろう。


はにかんだアンバーは、さらに続けた。

「ですが、このままでは、神たるミサキ様にふさわしくないほど、もろいです。

それで、よろしければ、ミサキ様のお力をお借りしたく。

この馬と馬車を、神馬と神具にしていただきたいのです」

アンバーと厳めしいバトルホースたちが、期待した目で、三咲を見つめる。

まだ力の使い方がわからないなんて、とてもではないが言えない。

三咲は、やるだけやってみようと決め、己の内側に意識を集中させる。

ソレイルは神気がどうのとか言っていたし、まずはその力を感じるべきだろう。


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