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創造神を殺した女  作者:
第二章 始原の街
13/14

13話

街中での小回りの関係で、馬車やホルスたちは、宿に預かってもらうことにした。

異世界観というか、外国観というか、見慣れない街並みをぶらっと見て回りたかったのもある。

朝の日差しが、足元のレンガ通りに照り返して、眩しい。


歩いて、冒険者ギルドへ行くといっても、宿は高級なだけあって、中央通りにあり、冒険者ギルドも近かった。

今日の服も一応神具にしたのだが、なんというか、神々しい乗馬服といった感じである。

動きやすくはあるし、おそらく性能も良いのだろうが、目立つことこの上ない。

通りを歩いている間、視線が集まってくるのに、肩身が狭い思いをしたが、この格好だ。

猫背では恰好がつかないので、精一杯背筋を正して歩いた。



ギルドの扉を開けると、むわっと汗と酒のにおいがした。

三咲以上に匂いに敏感だろうアンバーは、眉を寄せただけで、傍目には平気そうに見える。

受付だろうカウンターとは反対側に在る酒場のテーブルから、冷やかすような口笛が飛んでくる。

三咲は、ギルド内を軽く見渡すと、アンバーを伴い、受付カウンターに向かった。

受付嬢は、貴人のような恰好の三咲たちに緊張しながら、出迎えてくれた。

「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「冒険者登録と、従魔の登録をしたいのだけれど」

三咲の声が届いたのか、ギルド中がにわかに騒がしくなった。


「おい、聞いたか」

「冒険者登録って言ったか? 依頼じゃなくて」

「どう見ても、お嬢ちゃんじゃねえか」

声は潜められていたが、耳のいい三咲たちにとっては、鬱陶しい。

誰が冒険者になろうが、君らには関係ないだろうに。

『冒険者は自己責任』だろう?

だというのに、奥で見ていた大男が案の定絡んできた。

「おいおいおい、今冒険者登録って言ったかあ? なあ、おい、お嬢さん」

強面の大男が、荒い足取りで近づいてくる。

以前の三咲で在れば、あからさまに怯えただろうが、今は、彼以上に恐ろしい巨狼に出会っている。

彼女たちに比べれば、彼は全く自身に危害を加え得るとは思えなかった。


「そうだけど。冒険者になるのに、制限なんてあったかな?」

「いや、ないがよ・・・一応聞くが、身分証としてだよな?

まさか、あんたらが冒険者として、依頼をこなそうって腹なわけないだろう?」

「そのつもりだけど」

三咲がそう答えた途端、ギルド内に殺気に近い威圧があふれる。

「おいおい、そりゃ…本気で言ってんのかあ?」

大男は殺気だつ冒険者たちを背後に、呆れた顔をする。

どうやら、気分を損ねたかな?

だとしても、路銀を稼がないといけない以上、私たちは冒険者になるのが一番だ。

もしかしたら、他の冒険者同様、私たちも死ぬことはあるのかもしれない。

しかし、その可能性は、ソレイルの記憶によると、あまり考えなくてもよさそうだ。

私たちが警戒しなければならないのは、むしろ人間たちだった。


「本気だよ。そもそも、冒険者は自己責任、でしょう?」

「そうだがな…死亡者が多けりゃ、その支部の評判にかかわる。そうほいほいと新人を受け入れるわけにはいかん。目覚めも悪りぃしな」


おや?

彼の物言いに、三咲は首を傾げた。

「…もしかして、貴方はこの支部の関係者なの?」

「これでも支部長だ」

苦々しい大男の顔に、三咲は目を瞬いた。

「なるほど。

…では、支部長殿は私たちの登録を認めないと?」

三咲がちょっと困って言うと、彼女の後ろに控えていたアンバーが殺気だつ。

大の男たちが、色めき立ち、後ずさるのを眺めて、三咲はアンバーを手で制す。

「これでも、まだ何か文句があるのかな?」

冷や汗をかいている支部長殿を、三咲は冷ややかに見つめ返した。

「…いや」

「脅すようになって悪いけど、人を見かけだけで判断するのはよくないんじゃないかな?

それで? 登録を認めてもらえるかな?」


重ねて念を押す三咲に、ギルド内には緊迫した空気が流れ、

———支部長の豪快な爆笑によって、かき消えた。


「いや、悪かった。確かにあんたたちを見誤ったことを謝罪する。悪かった。すまん!」

勢いよく頭を下げるギルド支部のトップに、此方が戸惑ってしまう。


「言い訳にもならんが、どう見ても、どこかのお嬢さんにしか見えなくてな。つい冷やかしかと思っちまって…。

確かに、あんたらに心配は要らなさそうだ。

…そちらの怖いお連れさんはもちろん、それを連れてるあんたもだ」


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