12話
翌朝、三咲は、一日ぶりのベッドで微睡んでいた。
昨晩も眠ってはいないのだが、中々ベッドから出られないでいる。
おとといの夜は野宿だったからなあ。
ちなみに、昨夜は、案内された部屋に入った途端、二人して周りを見回した。
アンバーは、見慣れない人族の品々に。
三咲は、慣れない異世界の品に。
門番に勧められた街で一番の宿に泊まっただけあって、部屋は素晴らしかった。
「ミサキ様、おはようございます」
ノックの後、アンバーが隣室から入室してくる。
この宿は高価なだけあり、侍従用の隣室も用意されていた。
世界的に治安がよくないことや、身分を怪しまれないためとはいえ、旅の初めから高価な宿に泊まるのは、少しもったいない気もするが。
アンバーが髪を櫛ずってくれるのに身を任せて、三咲は今日の予定に思いをはせていた。
今日は冒険者ギルドに行って、冒険者登録と、従魔登録をするんだっけ?
荒くれ者が集う所だ。絡まれないと良いけれど。
三咲は、ちらっとアンバーを目で追う。
アンバーは美人だ。私もなぜか美人に見られているらしい。
道中手を振った行商人たちの赤い顔といったら!
・・・地球では、そんなことなかったんだけど。
神になったことで、顔が変わったわけでもないし、見え方でも違うんだろうか?
…なんとなく嫌な気分になる。
まあ、一見か弱そうで、金を持ってそうな女二人連れが、ふらついていたら、それは絡まれるだろう。
どういう意味合いにせよ、面倒なことだ。
「ミサキ様、本日は此方のお召し物にいたしましょう。神具に登録———いかがなさいました? 何か心配事でも・・・」
心配そうに聞いてくるアンバーに、三咲は首を振って見せる。
「いや。ただ少し・・・ギルドで絡まれないかなと。ほら、女二人って珍しいでしょう?」
「まあ! その場合は、私が相手いたします。軽くあしらいましょう」
にこにこと微笑むアンバーが、少し怖い気がする。
そういえば、フェンリルって、Sランク級以上の強さだと云われていたっけ?
Bランク級のバトルホースをあっさり捕まえてきたし。
「うん。まあ、ほどほどにね」
これは、むしろギルド側の被害を心配した方が良いかもしれない。




