表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/114

8話

 アリスという天使のような可愛い女の子に出会い一緒にダンジョンを進んでいった。


 そして数分後、ボスモンスターがいそうな大きな扉を前に緊張した面持ちで立ち尽くしていた。


 この扉の向こうには想像できないくらいのヤバいボスモンスターがいるはずだ……。


 そう思うとなかなか足の震えが止まらないし、どうしても体が動かない。


「……」


「入らないの?」


 なかなか動かない俺についにアリスが突っ込んでくる。


「だってこの先はボスだろ? 勝てるとは思えないんだ」


「大丈夫! まっかせて!」


 アリスは自信満々に答えると俺に「開けて」と言った。


 ゴゴゴ


「行ってくるね〜」


 重たい扉を開くとアリスはスキップをするように奥へと行ってしまった。


 キシャー‼︎


 モンスターと思われる威嚇するような声が聞こえたと思った瞬間だった。


 カッ! ピカ! 


 まず閃光が走って一瞬部屋を明るく照らすと大きなモンスターのシルエットが壁に映った。


 ゴゥー‼︎


「ギャー⁉︎」


 今度は火柱が天井まで届くんじゃないかと思う程高く発生しモンスターの断末魔が部屋に轟いた。


 タッタッタ


「あ〜つまんなかったー」


 奥からアリスが何事もなかったかの様に現れそんな一言放った。


「も、もしかして倒したの?」


「うん! リアン! こっちに私の部屋があるの!」


 アリスはそう言うと俺に大きく手招きをしている。


 つ、強すぎないかこの子……。


 どうやったらこんな年齢であの強さを得られるのか……アリスには何か隠された秘密があるんだろうと確信はしていたがそれでも助けてくれた事や普通の女の子のような仕草を見ていると変に詮索をする気になれなかった。


 アリスは次々と現れる分岐になった道を迷わず進んで行くと俺も置いていかれないように後に続いた。


「着いたー!」


 アリスは先に見える明かりが灯る場所に入って行った。


 俺も後から中に入ると意外にもそこはちゃんとした内装になっていて、かなり昔の物であろうじゅうたんが敷いてありテントなどの布だろうか壁に貼っておしゃれに飾っていた。


「……アリスはいつからこのダンジョンにいたんだ?」


 俺は詮索はしないと自分にいいつつクッションのような物に座るアリスについ聞いてしまった。


「私ずっと寝てたの……それでこの前起きたらひとりでここにいたの」


「そうか……」


 それを聞いた俺は唖然とした。記憶がない状態でこんな所にいたら俺だったら気が狂いそうになる。


 さっきまで明かるかったアリスの表情が少し曇ったのを俺は見逃さなかった。俺にできるなら何かしてあげたい……そう強く心に思った。


「リアン! こっち!」


 アリスはまた元気に戻ると俺を隣の部屋に入って行った。


「な、何だ……これは……」


 その部屋に入った俺はあまりに多くの武器や防具などアイテムが部屋いっぱいに置いてあったので「すげぇ」と口から漏れそれらに釘づけになっていた。


「おいおい、どれも見たことない物しかないぞ⁉︎」


 俺は曲がりなりにも冒険者だ、これまで色々な装備を見てきたが落ちている装備に心当たりがなく初めてみる装備に興奮が止まらなかった。


「こ、これどうしたの?」


「この洞窟に落ちてたの! 私使わないからリアンにあげる!」


「ええ⁉︎ い、いいのか⁉︎ 売れば相当な金になるよ⁉︎」


 あまりの事につい声を大きくしてしまった。嬉しい反面本当にいいのかと頭を悩ませたがとりあえず俺はこれらを預かるという事にして受け取る事にした。


「な、何だこれ⁉︎ 体が軽い! それにこの剣の切れ味も異常だ!」


 装備した防具は体に俊敏さを与え、剣は置いただけで岩をサクッと真っ二つにした。


 ……これなら苦戦していた奴も余裕で倒せるんじゃ。


 次に目の前にある結晶の山から次々とスキル結晶を手に取ってみたがどれも反応がないと分かると俺はガックリと肩を落としていた。


「ダメか……」


 何か覚えられると思ったんだけどな。


 スキルや魔法を持つ者が息絶えると結晶として残る事がある。スキルを覚える条件はレベルだけのものもあれば役職や才能も必要と言われていて魔法もまた同様で条件を満たしていれば結晶を手に取ると頭にスキル名や魔法が頭に浮かび唱えれば習得できるのだ。


「それ150レベル必要だよ!」


 結晶を手にガッカリしている俺にアリスから発せられたレベルはあまりに非現実的な数値だった。


「アリス分かるの⁉︎ って何だよ150って……そんなレベルの奴聞いた事ないぞ」


 俺が聞いた事のあるレベルは確か最高でも110だったはずだ。しかもその人物はもう年齢が90近いとされ、これ以上は上がらないだろうと言われている。


「私見た物が何か分かるんだよ! 凄いでしょー!」


 アリスは得意げな顔をしていた。


「アリスは鑑定スキルがあるのか……それも見ただけで分かるなんて相当なランクの鑑定スキルなんだろうな」


 俺の知っている鑑定スキルは手で触れてスキルを唱えないといけなくて本人のレベルによって分かる範囲があり全ての物が鑑定できる事はなかった。


「それにしても150かよ……もしかしたら将来的にアイナが150に一番近いかもな」


 アイナは何故かレベルの上がりが早く特別な能力があると言われていたのを思い出した。

 

そこから俺はアリスと共に洞窟の最下層を目指して怒涛の勢いで進んで行った。


 俺は手に入れた装備で嘘のように手強かった魔物を軽く葬っているとある事に気がついた。


「あれ? さっきからレベルが上がる感触が度々するけど気のせいだよな……」


 そう言って頭を傾げたのは昨日ダンジョンでレベリングをやった時レベルが上がったので次は速くても30日はかかると計算していたのを思い出したからだ。


 10階ほど降りた所でレベルが気になった俺はギルドカードを確認すると目が飛び出るほど驚いた。


「な、な、何だこれ⁉︎」


 レベルが53だったはずが今見ると140になっていたのだ、これは驚いても仕方がない。


「もしかして俺アイナよりかなり上になったんじゃ……」


 少し前に教えてもらったアイナのレベルが105だったのを思い出す。


「マジかよ……もうモンスターの強さとか全く分かんなくなってきたよ……感覚が麻痺してきてる気がする」


 今までで倒したモンスター達は一体どの程度の強さなのか? 豪華な装備や急なレベルアップで測れなくなっていた。


 途中ボスモンスターにも何回か遭遇したがアリスの圧倒的な魔法を味方に難なく倒してしまっていたのだ。


「ここが一番下だよ!」


 そう隣からアリスの嬉しそうな声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ