49話
俺達はマーナの故郷であるホーネス王国へ向けて馬車を走らせている途中隣に座っていたエニィに話しかけられた。
「ねえセト」
「ん? どうした?」
「セラニのレベルが200を超えて合成スキルが進化したらしいの」
「凄いな……どこまであのスキルは上がるんだ?」
「セラニに聞いたら今まで集めた国宝級の装備も合成出来るかもしれないって言ってたわ」
「これから魔族と戦う可能性を考えれば装備の強化は必要という事か」
「うん、セトの装備だからどうかなって思って」
「皆で異空間に行って色々考えてみよう。どれを合成するとか闇雲にやっても失敗するしな」
「そうね、貴重な装備だしね」
そして夜になると俺とエニィ、セラニ、マーナが集まり自分の装備をどうするか話し合っていた。
「一応空いてる時間にアリスに鑑定してもらって装備にそのメモを貼ったの」
「それは助かるな。じゃあセラニ、装備の合成について詳しく教えてくれ」
「おう! ちょうどこの前スキルが進化して少し出来ることが増えたからそれも伝えとくよ」
「頼む」
「ゴホン! 例えばこの盾のメモには特殊効果が書いてあるよな?」
セラニは盾を手に取ると貼ってあるメモを俺達に見せた、火耐性効果と書いてある。
「合成したい装備にこの盾を素材として合わせるとこの効果が付く感じだ」
「なるほど、効果を付与する素材としてみるという事か」
「ああ、次に合成出来る回数があるんだこれは俺のスキルが進化すればするほど上がる、ちなみに今は2回だ」
「装備に2つの特殊効果が付与できるのね」
「ここまでが今までの合成スキルだったんだけど追加で装備の性能が上がるようになったんだ」
「どういう事?」
「合成は2回って言ったろ? 1回につきどれくらいの上げ幅か分からないけど盾だったら防御力が上がるんだよ、だから現状2回のパワーアップが見込めるから相当な強化になるんだ」
「す、凄いですね……特殊効果に性能まで上がるなんて……」
「将来的には回数も増えるかもしれないし今自分の装備に付与したい効果の装備を探そう、迷ったら俺に聞いてくれアドバイスはできると思う」
「何か楽しそうね」
「でも貴重な装備だから相当迷いそうね」
「とにかく自分に有利な効果を探そう」
それから俺達は自分の装備を強化するためメモを見て考え始めた。
「よし、俺は決まったぞ」
「流石ずっと冒険者やってきただけあって早いね」
「まあ戦いの中でこれがあったらとか今のパーティに必要な部分を考えていると決まりやすいかな」
「私達はまだ経験が浅いからまだ時間がかかりそう」
俺の装備は防具にサークレット、服、腕輪を武器は大剣を使っていた。
自分で戦闘スタイルを分析した結果、攻めに重点を置くことにして攻撃系に有利になる効果を付与する事にした。
力大アップ、速さ大アップを武器と腕輪に付けて力大アップとスキル威力大アップを服とサークレットに付与する予定だ。
エニィ達も俺と長時間話し合って付与する効果を決めていった。
エニィ
弓とサークレット
射程大アップ、力大アップ
服
防御大アップ、潜伏(敵に見つかりにくくなる)
腕輪
毒耐性、麻痺耐性
セラニ
メイス
力大アップ、防御大アップ
兜
力大アップ、防御大アップ
鎧
魔法耐性、スキル威力大アップ
盾
防御大アップ、自動回復
腕輪
毒耐性、麻痺耐性
マーナ
槍
スキル威力大アップ、ジャンプ力大アップ
兜
速さ大アップ、スキル威力大アップ
鎧
ジャンプ力大アップ、力大アップ
腕輪
毒耐性、麻痺耐性
「よし! 後は俺が合成するだけだな! さすがにこの量だから少し時間がかかるからな」
「頼んだセラニ」
「おう! 楽しみに待ってろよ!」
禁断の洞窟で会った若い男が言っていた力の代償……それは常に俺に付き纏う。忘れる事を許さないと言わんばかりに定期的に襲う激痛は少しずつ精神を蝕んでいく、いつ来るか分かればまだいい……しかし予期しないタイミングで来るため恐怖も同時に俺に植え付けるのだ。
「うう……」
「セト……」
「セト様!」
馬車の中は重々しい空気が流れていた。
突然の苦しみが襲うと俺はたまらず倒れ長く感じる痛みを耐えていた。
皆に心配させるのは辛かった……いくらレベルが上がろうとこの痛みは和らぐこともなく治す手段もない、でもそれを受け入れて生き返ったから文句は言えない。
「もう大丈夫だ、ごめんないつも心配させて」
「ううん、いいの私はセトが痛みを受けている間一緒に苦しむ、その分楽しい時は一緒に楽しむし嬉しい時は一緒に喜ぶの、そうやって生きていくって決めたから……」
「俺も同じだぜ!」
「私もセト様から絶対に離れません気持ちはいつも一緒です!」