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34話

 俺は窓側に座って夜景を見ながら考え事をしていたのだが誰かの足音が近づいてくるのを耳にすると振り向いた。


「セトさあ、異空間に忘れ物しちゃったんだ。ちょっと出してくれよ」


 そう言ったのはセラニだった。


 まだ寝てなかったのか……でも落ち込んでいた表情も元に戻ってきたな。


 いつもの調子に戻っていたセラニにホッとする。


「明日じゃダメか?」


「い、いや……今じゃないと困るんだ……」


 セラニは何か落ち着かない様子でいたので俺はしょうがないなと思いながら異空間を出した。


「ほら、いいぞ」


「あ、セトも来てよ」


「何でだよ」


「いいじゃんか、ほらほら」


 俺はセラニに押されるように中へ入って行った。


「全く……」


 セラニは装備のある台の方へ行ったので俺は座って目を閉じて待っていた。


「セト……」


「ん? あったのか?」


 俺は目を開けてセラニを見ると我が目を疑った。


「おい……一体どうしたらそんな姿になるんだ……」


 セラニは下着一枚で恥ずかしそうに立っていた。可愛い顔を顔を真っ赤にして俯いている。


「お、俺だって恥ずかしいんだ!」


 ちょっと待て……いきなりの事で頭が少し混乱してきたな……落ち着け考えろ! 


 エニィの時もそうだけど俺はそんなに女に飢えた顔でもしているのか?


 俺は見ないように後ろを向くと心を落ち着かせようと深呼吸したのだが腰辺りに柔らかいものが当たると更に動揺してしまった。


 むぎゅ


「セト! 俺を抱いてくれ!」


 セラニが俺の後ろから抱きついていて背中に顔を埋めながらそう懇願した。


「セラニ、俺はエニィと婚約しているんだ」


「さっきエニィからこうすればセトは俺を旅に連れて行ってくれるって言うから……」


 それを聞いた俺はますます頭が混乱した。


 え? それってエニィが仕掛けたって事なのか? どうして……。


「セ、セラニ、自分の体は大事にするんだ! 分かった! 連れて行くから服を着ろ!」


 俺はそれでも視線を外してセラニの肩に手を置くと距離を離そうとした。


「俺はお前に助けてもらって惚れちまったんだ! 後悔はない!」


 コト


 モクモク


 セラニは見たことのある白い壺を床に置いていた。


「あ……そ、それは!」


 俺はそれを確認すると慌てて異空間から出ようと試みた。


 体が熱くなって……マズい!


「セト!」


 バタン!


 俺の体はすでにアイテムの効果で思うように動かなくなっていてセラニに押し倒されるとそのままセラニは逃さまいと俺に跨っていた。


「セト……こっちを見てくれ……」


 セラニの綺麗な裸体を目の当たりにした瞬間俺の理性が崩壊していった……。



 

 俺はセラニと添い寝をしていた。セラニはピッタリと俺にくっ付いて幸せそうな顔で俺を見ていた。


「セト、俺こんなに幸せな気分初めてだ……」


 俺は決めた。エニィもセラニも幸せにすると。


「セラニ、これからずっと俺についてきてくれ」


「もちろん!」


 そして朝になると料理をしているエニィに話しかけた。


「エニィ……」


「おはようセト」


「おはよう……じゃなくて! 何でセラニを……」


「セラニはこの先絶対必要になる子よそれに気付いて無かったと思うけどあなたに惚れてたし」


「だからって」


「聞いて、セトはこの先きっと重要な戦いが待っていると思うの……だから心強い仲間はいっぱい必要なの。それに私のお父さんなんて奥さんが5人もいるのよ?」


「エニィにはそれが普通の考えなんだな、確かに富豪や王族は伴侶が多くいるけど俺はそんな環境で育ってなかったら」


「セトはもう立派な貴族よ。私と結婚するんだもん自信を持って」


 とりあえずエニィの考えは分かったしセラニはもう手放す気は無い。


「でもちょっと嫉妬しちゃうから……ん」


 エニィが目を瞑ると俺は抱き寄せキスをした。


「平等に愛してねセト」


「当たり前だ」



 新たな仲間を迎えた俺はダンジョンに向けて街を出て行った。距離はそんなに遠くなく数時間で目的地に着いた。


「着いたぞ」


 早速ダンジョンの中に入っていくとやはりセラニは逃げて行くモンスターに驚いていた。


 道中何事もなく進んでいるとセラニが気まずそうに俺に話しかけた。


「セト? こんなに凄え装備ほんとに貰っていいのか?」


 セラニは装備の材料を取りに行く為戦闘経験があるらしく重装に身を固めていつも仲間を守る盾になっていたらしい。


 俺はそんなセラニに固くて軽い鎧と盾に武器のメイスを渡した。


 どれも国宝級の装備だ。俺の大事な嫁を出来るだけ危険に晒したくない思いが強く戦闘にもあまり参加させたくないと言ったら断固として断られたのだ。


「ああ、セラニに怪我させたくないしな」


「嬉しい事言ってくれるじゃん!」


 セラニは顔を赤くして俺の背中をバシバシ叩く……痛い痛い!


「セラニもセトの奥さんになるなら女の子らしくしなきゃね」


「そうなんだよな〜俺昔から親父と2人で暮らしてたからこんな口になっててよう」


「私がちゃんと教えるからね」


「頼むよ」

 

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