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29話

 私達は勇者の鎧を手に入れ街に戻って来るとギルドへ報告に来ていた。


「おお! よくぞ無事に帰って来てくれた!」


 ギルド長や冒険者達に迎えられた私達は後に盛大な宴が開かれダンジョンでの疲れを癒した。


 そして次の日の朝になると宿屋の一室で話し合いをしていた。


「またボスモンスターが居なかったのは偶然か?」


 このガドインの一言から話し合いが始まった。


「何かおかしいですね……誰かが私達の行動を監視しているような気がします」


 ウェンディも腑に落ちないようで困惑していた。


「でもこちらとしては助かるんじゃないかな」


 アロンズは特に気にしていないようだ。


「確かに今の俺達では最下層に行くので精一杯だ。それに加えてボスモンスターを倒すなど考えてみたらゾッとする」


 確かにガドインの言う通りで私達の実力では最下層に辿り着くのがやっとで、その上ボスと戦うとなった場合皆無事でここにはいないはず。


「今まで誰も欠けることなくここにいられるのはその陰で動いている人のおかげと言っても過言ではないでしょう」


 私はその裏で動く人達に助けられる形になっていて彼らが何の目的でそんな事をするのか考えれば考える程分からなくなっていた。


「何で姿を現さないのかしら?」


「さあな、まだ味方とも限らん」


「味方だと信じましょう」


「今の所集まったのは兜と鎧ね、あと残るは2つ……」


「次はどこに行くんだい?」


「次はカタッツァの街の近くにある「カイズ」というダンジョンです」


「……」


 皆は無言になっていた。


 私は疲れた顔をしている皆が何か言いたそうな表情をしているのを見逃さなかった。


 その言いたい事は私でも分かる。きっと私が言うのを待っているのかもしれない。


「皆んな、少し休憩しない?」


 私はそれを口に出した。


「そうですね……正直私もそう言おうと思っていました」


「僕も賛成だ」


「じゃあ3日後に出発するとしよう」


 私達は3日間を休息に使い各自の装備の補修や魔法・スキル習得に励む事にしていたが3日間という休みもあっという間に過ぎていくと明日に出発を控え夕食後に皆で集めた次に行くダンジョンの情報を共有していた。


「街ではどこもかしこもカイアス様の娘の婚約話が盛んだったわね」


 ある程度ダンジョンについて情報を共有した後私は今街で大きな話題となっていた英雄の末裔カイアス様の娘が婚約した話をなんとなく口に出していた。


 街では驚きと笑顔が溢れていてお祭りのような活気に満ち溢れていた。


「俺も聞いたぞ、カイアス様ほどの人に認められるとはかなりの大物だろうな」


「でもまだ若い男性らしいですよ、顔に目を隠す仮面を付けていて素顔を見た人はいないみたいですね」


「一度見てみたいものだね」


 次の日私達は3つ目の装備を目指してカタッツァの街へ向かった。



 アイナ達がカタッツァの街へ向かっている時グラトリナ大陸の中心である4つの国に囲まれた大都市では各国の王が集まっていた。


 薄暗い部屋の楕円形のテーブルには神妙な面持ちをした4つの国の王が座っている。


 ガチャ


 すると一人の豪華な装飾が施されたローブを纏う老人が部屋に入ってくると王達が座るテーブルの席に加わった。


「王達よご苦労……さて早速だが各国の勇者は今どこまで進んでいる?」


 老人はそう言うと左端に座っていたランド王国のカーライル王に視線を移した。


「我がランド王国は順調だ、今2つ目の装備を集めた所でこれから3つ目に向かう所だな」


「うちのカラナ王国はまだ1つ目で今2つ目の装備を取りに行った所だ、パーティメンバーが何人かやられて苦戦しているようだ」


「ガードル王国は2つ目の時点でパーティメンバーが勇者以外やられてしまったので今はメンバーを募集している所だ」


「……ホーネス王国なのだが2つ目で勇者が重傷を負ってしまい一時停止中だ」


 各国の王から報告を老人は目を瞑って聞いていたが報告が終わると目を開いた。


「ランド王国以外はかなり苦戦しているようじゃな」


「無理もない本来ならばパーティ全員のレベルが100は欲しいダンジョンだ。いくらその国一番のパーティでも死人は出る」


「だが各国で装備を集め強化した勇者を集めなければ魔族には勝てん」


「各国は何としても勇者に装備を集めさせることを最優先とするのじゃ」


 会議も終わろうとした時ランド王国のカーライル王がある報告をしようと口を開いた。


「実はカイアスから信じられない報告があった」


 各国の王はカーライル王に視線を向けると老人も目を向けた。


「何かあったのか?」


「レベルが200を超える者が現れたそうだ……」


「馬鹿な⁉︎ ありえん!」


「過去にないレベルだぞ! 間違いじゃないのか?」


「私もそうカイアスに言ったのだが、一戦交えたそうで全く歯が立たなかったそうだ」


「あ、あのカイアス殿が⁉︎」


 各国の王達が突然の大事に困惑していると老人は笑みを浮かべカーライル王に話しかけた。


「面白い……カーライル王よワシはその男に会ってみたい。聖都に来てもらえるように取り計らってくれ」


「分かりました」



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