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23話

 戦闘を終えた俺とアリスの元にエニィが驚いた表情で走りながら何かを叫んでいた。


「セト見て! 私のレベルが上がってるの!」


 近くまで来たエニィはギルドカードを俺に押し付けるようにして見せた。


「へぇ〜エニィってレベルが高かったんだな100って凄いよ!」


 流石英雄の末裔だと感心している俺にエニィは首をブンブン! と横に振った。


「ち、違うのよ! 私さっきまではレベル30だったの!」


「何だって⁉︎ じゃあ一気に70も上がったって事か……」


「何でだろ? セト達の戦闘を見ていただけなのに……」


「確かに普通は戦闘に参加してモンスターにダメージを与えないと上がらないはずなんだよな……うーん、きっとアリスの能力かもな」


 俺のレベルが急激に上がったのはアリスと会ってからだ、エニィも恐らくその影響だろうと結論付けた。

 

「私?」


 自分を指差すアリスにエニィが視線を動かした。


「アリスって本当に不思議な子よね。凄く強いし何でもできるイメージだわ」


「俺もまだ会ってからそんなに経ってないからアリスの正体が分からないけど命の恩人だし記憶もないって言うから戻るまで変な詮索はしない事にしたんだ」


「それにしても信じられないわ……私がレベル100なんて……この世界でレベル100になれるのはほんの一握りなのよ」


「変な事に巻き込まれないように他人には隠しておいた方がいいぞ」


「うん、そうするわ」


「よし! じゃあここにテントを用意して明日アイナ達の動向を伺おう」


 俺達は大きな部屋の真ん中にテントを用意すると野営の準備を始めた。


「美味しい!」


「ああ、本当にエニィの料理はうまいな」


「ふふ、ありがと嬉しいわ! これでも私は花嫁修行を小さい時からさせられててね特に料理は自信があるの」


 俺とアリスはエニィの作った美味しい料理を食べながら話をしていた。


「アリス、このダンジョンにも隠し部屋はあるのか?」


「うん! あるよ!」


「隠し部屋?」


 エニィが首を傾げて俺に聞いてきたので説明をした。


「前のダンジョンでもあったんだ。普段じゃ絶対見つからないような場所に隠し部屋に繋がる扉があるみたいなんだ」


「へぇ〜初めて聞いたわ」


「そこには凄いお宝もあったから明日時間ができたら行ってみよう」


「ねえ、セト」


「どうした?」


「私も戦闘に加わりたい……レベルも100になったし力になりたいの」


 エニィの真剣な目に俺は頷いた。


「そうか、後で武器を見てみようか」


「うん!」


 食事が終わり休憩した後俺とエニィは異空間に入って行った。アリスはお腹もいっぱいになり一足先に眠りについている。


「エニィはどんな戦闘スタイルにしたいんだ?」


「そうね、昔弓とかの飛び道具を練習していたわ」


「弓の心得があるのか……じゃあここら辺かな」


 俺は武器が置いてある棚に行くと遠距離武器を並べた。


「これなんてどうだ?」


 その中で俺は普通の弓より一回り小さい弓を手に取るとエニィに渡した。


「凄く軽いわ! それに不思議な力を感じる……これも国宝級のやつよね? 確か名前はエードルの弓」


「流石! よく知ってるな! 前にアリスに鑑定してもらったんだけど威力も十分で専用の矢が永久に無くならない矢筒が付いているんだ」


 エニィは受け取ると早速異空間から出て試し撃ちをするべく矢を取り出して一発放った。


 ヒュン‼︎


 ドゴ‼︎


 矢はもの凄い速さで飛んでいくと壁に大きな音を轟かせた。


「なにこれ⁉︎ 全然力を入れなくても弓が引けるわ! それにこの威力……これなら私にも使える!」


「じゃあそれを使ってくれ」


「ありがとうセト……またこんな凄い物を貰っちゃって」


「これからエニィにも戦ってもらうんだから当たり前だろ? よし! 後は防具だな……」


 防具がある場所へ行こうとした時体の異変に気付き心の中で来たか……と呟いた。


「セト?……どうしたの⁉︎ しっかりして⁉︎」


 俺はエニィに寄りかかるように倒れ込むと激痛を耐えるのに必死でエニィの声に何も答えることが出来なかった。


「ぐぅ……あぁ……」


 エニィは顔を蒼白にして呻き声を上げる俺の体を抱きしめ痛みが終わるのをじっと待っていてくれた。


「すまない……」


「大丈夫?」


「ああ」


「良かった……」


 エニィは怖かったようで痛みが引いた後もまだ俺を強く抱きしめていた、エニィの震えている体を安心させるように俺もしっかりと抱きしめる。


 エニィが落ち着くと俺は自分に呪いがかかっている事を話した。


「その呪いは解けないの?」


「多分無理だな、これは俺の罰みたいなものだから」


「別にセトは何も悪い事はしてないじゃない! なのに何でセトに辛い事ばかり起きるの?」


 エニィは必死に涙を堪えていた。


「……こんな姿を見せてごめんな」


 苦痛に歪む俺の顔を見たのがショックだったのかエニィは元気が無く俯いていた。


「セト……私、強くなってあなたを守るから!」



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