表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/114

107話

 今日の空は今の重い雰囲気が漂う俺達と真逆で雲ひとつない鮮やかな色をしていた。このいい天気の中にいるとこれからモンスターの大群が襲ってくるなど実感がまるで湧かなかった。


「行って来ます」


「気をつけてね」


「絶対また皆んなで会おうね!」


 マーナの言葉に涙ぐむエニィ、アイナ、アリスが別れを惜しむようにマーナ達と抱き合っていた。


「行こう」


 俺は名残惜しそうな顔をするエニィ、アイナ、アリスを残してマーナ達とホーネス王国へ飛び立った。


「リアン様はここまででお戻り下さい。国民がリアン様を見たら期待してしまうでしょう」


 ホーネス王国が見える丘に降り立った時マーナにそう話しかけられた。


「悪いな……頑張ってくれ、俺もあっちが片付いたらすぐに来るからな」


「はい、いい報告をお待ちしてます」


「リアンさんもお気をつけて」


「俺達のことは気にしないでいいからな! 絶対始祖の野郎を倒せよ!」


「ああ! 絶対倒してやる!」


 俺の言葉に安心したのか3人は笑顔で頷くと歩いてホーネス王国へと行ってしまった。


 寂しい思いでその後ろ姿が見えなくなるまで見送った俺はランド王国へと帰っていった。


「リアン、おかえり」


 俺を迎えたアイナの表情は決戦を前にしてか険しかった。


「よし、皆んなを集めて作戦を考えよう」


 俺はエニィ、アイナ、アリスを呼び出すとモンスターの群れが来る時間まで話すことにした。


「リアン、レスナから伝言よ。モンスターはもう近くまで迫ってるって」


 アイナから報告を受けると俺は頷いて返した。


「俺達の目標は始祖を倒す事だ。でも、できれば城や街の人も守りたい。力は温存しておきたいけどモンスターをなるべく倒しながら進もう」


「そうね、戦いが終わっても城や街に甚大な被害が出ていたら素直に喜べないわ」


 エニィは俺の提案に賛成してくれた。


「分かったわ。城や街はランド王国の兵士や冒険者達が守ってくれるはずよ。それにカラナ王国や聖都の兵士達もいるから私達は全力で始祖を倒せるわ」


 アイナもそう言って頷いてくれた。


「大丈夫だよリアン、私達は加護を持ってるのよ。また私が魔法で蹴散らしてあげるわ!」


 アリスの言葉は本当に心強くて自然と安心できた。


「行こう……俺達の……この世界の未来のために」


 部屋を出ていくとササラさんが待っていた。


「リアン様……お気をつけて」


「何か問題が起こったらいつでも呼んで下さい。飛んでいきますから」


「そうならないように臨みたいですが何が起こるか分かりませんからね。私は戦場を駆け回って状況を把握することにします」


 ササラさんが消えていくと外へと出ていった。


 その瞬間大勢の兵士達から大きな声援が俺達に向けられた。


「英雄リアン様!」


「俺達もあなた達と戦います!」


 兵士の士気が頂点に達しているような熱い熱気が伝わってくると俺も自然と体に力が入った。


「リアン様、兵士たちに一言頂けませんか?」


 そばに来た隊長と思われる男に言われると俺は一歩前に出た。


「皆んな! できれば周りの仲間を死なせないように助けてあって欲しい。笑い合って大事な家族と再会する為にも……行くぞ‼︎」


「「「おおーー‼︎」」」


 怒号のような声が響き渡るとその中を俺達は歩いていった。


「へへっ! スッカリ様になってるじゃねーか!」


 途中で会ったガドインが俺に声をかけてくる。


「ガドイン、守りは任せたよ」


「ああ、全力で守るさ。安心していってこい!」


 心強い言葉で送り出され俺達は外へと出た。


「すぅ〜」


 深く息を吐いて心を落ち着かせると遠くの方に見えてくる黒いモンスターの塊を確認した。


「さあ行こう」


 セラニが新たに鍛えてくれたガイアの剣を俺は力強く握ると迫っていたモンスターの群に飛び込んでいった。





 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ