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100話

 俺がそれを知ったのはセラニが帰って来た時だった。嬉しそうな顔で帰って来たセラニは異空間に入ってくると俺達にアリスが見事に薬を作ってエルド王を治したと報告した。


「そう、セラニもお疲れ様。少し休んだら?」


 エニィはセラニに労いの言葉をかけた。


「ああ、少し疲れたよ」


 セラニは少しふらつくと俺はその体を抱き止めた。


「ありがとうセラニ。俺がベッドまで運ぶよ」


「いや! 恥ずかしいよ!」


「ふふ、そう言ってる割に顔は嬉しそうね!」


 アイナに笑われてセラニは顔を赤くした。


「じゃ、じゃあ頼むわ」


 俺はセラニを抱き上げるとセラニは腕を俺の首に回した。


「私達は先に部屋に戻ってますね」


 ウェンディがそう言って屋敷を出ていくと他の皆も後について行った。


「じゃあ行こうか」


「うん……」


 セラニの顔には疲労が見えた。かなりぶっ通しでやってたのかもしれない。


「アリスは今どうしてるんだ?」


 セラニを抱っこしてベッドまで運んでいる途中でそう話しかけた。


「ああ……今は親父さんの所だよ。アリスのやつ嬉しそうに話してたよ」


「そっか……よし、着いた!」


 優しくそっとベッドにセラニを寝かせるとセラニは眠そうな顔で俺を見つめていた。


「リアン……俺頑張ったよ……」


「よくやったよセラニ」


「だから……ご褒美……」


 セラニは顔を少し赤くしていると俺はその可愛い顔に近づいた。


「……ん」


 セラニと唇を重ねた。


「へへ……おやすみ」


「おやすみセラニ……本当によくやったよ」


 キスをしてすぐに眠りについたセラニに俺は労いの言葉をかけて静かに部屋を後にした。


「セラニは眠った?」


 異空間の入り口から出てきた俺にエニィが話しかけてきた。


「ああ、かなり疲れてたな。ベッドに寝かせたらすぐに寝ちゃったよ」


「王様が助かって良かったですね」


 マーナは嬉しそうに言った。


「話だと今日は私達がお披露目されるのよね? どんな反応をされるかな」


 アイナは少し緊張しているのか思い詰めたような顔をしていた。


「まあ、ラセンがなんとかしてくれるだろ」


「とりあえず誰か来るまでゆっくりしましょう」


 ウェンディの言う通りここから出れないし、俺は椅子に座ることにした。


「さっきお菓子を作ったの」


 エニィは大きなテーブルに飲み物と皿に盛られた美味しそうなお菓子を並べ始めた。


「わあ! エニィさんのお料理はどれも美味しくて楽しみになってるんです!」


 ウェンディは目の前に置かれたお菓子を見つめながら子供のように喜んでいた。


「ほんとね、羨ましいわ。私全然料理が下手だから」


「私も美味しいお料理を作れるようにしたいのですが……全然上手くできないんです」


 アイナとマーナは料理が出来なかった。俺は過去にふたりが作った物を口にした事があったがその味覚を狂わす程の刺激に悶え苦しんだ記憶が甦ると体がブルっと震えた。

 

「ま、まあ無理に作らなくていいんじゃないか? エニィがいるし、ウェンディも作れるんだからさ……」

 

「むぅ……でもリアンのお嫁さんとして作ってあげたいの!」


「私もです!」


 俺の発言にふたりは引かなかった。嬉しい気持ちが半分と俺の体がもつのだろうかという不安が半分な複雑な気持ちだった。


「ふふふ、私がちゃんと教えてあげるから安心してリアン」


 俺の心配を察したできる嫁さんがそう言ってくれるとホッとする。


「頼むよエニィ。料理で倒れるのはもう嫌だ」


「もう! あれは調味料の量を間違えただけだからね!」


 アイナは必死に反論するが俺はそれだけではないと言いたかった。


 コンコン


 そんな楽しいひとときを過ごしていた俺達の元にラセンが訪ねて来たのだった。


「今日は魔族にとって素晴らしい日になるだろうな! 王が復活した事があっという間に広まってな! 外はお祭り騒ぎじゃ!」


 ラセンは部屋に入るなり満面の笑みでそう話した。


「はやくお主達を自由にしたいのだが今王の事でそれどころではなくなってしまってな。すまないがお披露目は明日に延期にすることとなった」


「まあ、セラニも寝てるし俺達は構わないよ」


「すまん、その代わりと言ってはなんだがこの城にある工房に案内しよう」


「工房?」


「この大陸には様々な鉱山があるのは知っているな?」


「ああ、人間が欲しくなるくらいのレアな鉱物があるんだろ?」


「うむ、綺麗な宝石から金属がこの城に集められ加工されるのじゃ」


「へぇ〜凄く興味があるわ」


「見てみたいわ!」


「そうですね!」


「私も見てみたいです」


 ラセンの話に女性陣は食いついた。次々と行きたいと言い出すとラセンの案内でその場所に案内されたのだった。

 

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