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その52 「復讐だ!反撃ののろし!ストライキ大作戦!」

「やりましょう! 同胞のみなさんでストライキを」


「けどよ~。何のためにストライキなんてすんだ? 目的がよくわからねえんだが・・・」


「今回のストライキの目的はわたくしたち無能生産者の労働待遇の改善を促すためです。

 膨大な数の無能生産者が一斉に労働をボイコットすれば、現場監督に限らずコミュニティードヨルド全体に大きな痛手を与えることができます」


「コミュニティーに痛手を与えてどうすんだよ・・・。そんなことをして何になる?」


「・・・わたくしたち無能生産者のコミュニティーにおける価値そのものを彼らに思い知らせるためです。

 わたくしたちがコミュニティーにとっていかに貴重な資源なのか?

 実際にストライキすることでそれを痛いほど奴らにわからせ、わたくしたち無能生産者の待遇そのものを改善させるよう間接的に働きかけてやるんです。

 そしてコミュニティーにおけるわたくしたちの身分を向上させましょう!

 ストライキを行い、わたくしたちの要求を飲ませることができれば万々歳ってわけです。

 ・・・・まあその間、コミュニティーの方々はてんやわんやでしょうがね。この際、致し方ない。

 なにせこれは、わたくしたち無能生産者の明るい未来を勝ち取るための戦いなんですから!

 それを掴み取るまで戦い抜くんです!」


「なるほど、なるほどね~。なんとなく言いたいことはわかったぞ。ふむふむ」


「まあストライキぐらい俺は知ってるけどな。腐っても元社会人だったわけだし。けどよ~ストライキなんて、何ていうかその、めちゃくちゃ前時代的だよな。

 ほら、今の世の中って、キメラ生物の世の中だろ? だから今の時代に、ストライキなんてそぐわねえと思うんだわ」


「・・・と言いますと?」


「だってさ、今の時代に労働基準法も何もねえじゃん? 法律がまともに機能してないこの時代にストライキなんて似つかわしくないって思うんだわ。

 そもそも今の時代に労働組合自体がねえじゃないか。こんなの団体交渉を行ってるか、いないか以前の問題だぜ?」


 ※追記!

 ちなみに労働組合が何ら団体交渉を行っていない状態で経営者側に対し、盾突く(争議行為を行う)ことは許されていない。この場合正当な争議行為ではないとされている。


 これもグリアムスさんの受け売りだ。

 グリアムスさんは学生時代、革命戦士?たるものを目指していたらしく、その一環で労働法の勉強を盛んにやっていたらしい。

 そんなグリアムスさんから労働基準法のうんぬんかんぬんの話をよく聞かされたものだ。


 故にグリアムスさんの話は良く理解できた。


 つまるところ彼ら無能生産者らは、労働組合がないからグリアムスさんの言うストライキなんて出来っこないだろ!っと思いこんでいるみたいだ。

 ・・・・このコミュニティーに労働組合はねえ!

 したがってストライキはしたくてもできねえ!っと彼らは主張しているわけだ。


「どうやら皆さんの間で今回のストライキについて何か誤解があるようですね。

 別にわたくしは団体交渉権がないからできないとか、労働組合がないからできないとかそんな話をしてるのではありません」


「ん~~。だってそういうもんじゃね? ストライキって。

 あんなのそういう組合があるからストライキってもんができるんであって、はなから組合がない会社はストなんてできなかったろ?

 現に俺の前の会社にも組合なんてもんはなかったぞ」


「そうだそうだ!」


「俺の会社もそうだった」


「俺も俺も」


「ワイの前の会社も結構アットホームな会社だったから、ストライキだ~、労働争議だ~って雰囲気にはならなかったな~。

 まあ給料は(すずめ)の涙ほどしかなかったけどな。

 でも会社の雰囲気自体よかったし、それにビックリするくらいの超絶ホワイト企業だったから、誰もそんなことしようってならなかったな~」


「あのですね、みなさん。どうかわたくしの話を最後まで聞いてくださいまし。

 わたくしは決しておふざけで言ってるんじゃありません。至極真剣な話をしてるんです。

 単刀直入に言います。ストライキは労働組合がなくてもできます。だから同胞のみなさんと団結すればストライキを決行するのは可能です。

 無能生産者同士、今こそ結束して、コミュニティードヨルドに宣戦布告するんです!

 これはわたくしたち無能生産者と有能生産者の全面戦争!

 こちらの要求を飲ませるまで、勝利を掴むまでの戦いなのです!」


「な・・・なるほど! 何か凄そうなことをこれからおっぱじめるってことだな!」


「そ・・・そういうことか!! なるほど! やっと理解できた!

 みんなで団結して一発かましてやろうってことか! そいつはおもしれえや!

 なあ、みんな!? そう思わねえか!?」


「おう!! そ・・・そうだな!!」


 無能生産者たちがグリアムスさんの提案に次々と乗ってきた。


「今まで俺たちは無能生産者として虐げられてきたんだ。

 文句の1つや2つぐらい言わせてくれたっていいよな!?」


「その意気です! 今こそ同胞のみなさんで団結して、この不条理な体制を終焉させるのです!

 このままだと無能生産者の皆さんは現場監督に、一方的に好き放題、搾取されるだけです。

 いずれ取り返しのつかないことになるでしょう。

 そうなる前に今! ここで立ち上がるのです! 今なんです! 今しかない!」


「そうだ! そうだよな! グリアムス!! 今立ち上がらねえといつ立ち上がるって感じだよな!」


「うおおおお!! 俺はやるぜ!! ストライク!」


「ストライキだ!! バッケヤロ!! このぼんくら!」


「たかが一字違いじゃねえかよ!! 俺の事ぼんくらって言うんじゃねえ!」


 そんなこんなで無能生産者のボルテージはあっという間に最高潮に達した。

 ストライキ!

 この5文字に今、無能生産者たちは沸き立っているのである。


「やるぞ! ストライキ! もう現場監督たちの好き勝手にはさせねえぞ!!」


「怖いか! さぞかし怖いだろ!? 俺たちの貴重な労働力が一斉に機能停止するんだぞ!?

 ねえ? 今どんな気持ち!? どんな気持ちだ!?」


 このようにして無能生産者たちに活気が戻ってきた。

 グリアムスさんのストライキの一言でこうも無能生産者たちが変わったのである。

 言葉の力はすごい。人を扇動する底知れぬパワーがある。


 自分と無能生産者の彼らの間には少なからぬ因縁があるものの、それでも共に豚小屋で過ごしてきた仲間である。

 いわば家族のようなものだ。彼らがバックにいるだけでも大変心強い。


 ここからだ。・・・・ここから自分たち無能生産者の復讐が始まる!!

 統領セバスティアーノが築き上げたクソみたいなコミュニティーのクソみたいな体制を彼らと共に全てぶっ壊してやる!

 今日からだ! 今日から無能生産者の反撃ののろしを上げるのだ!

 今まで散々無能生産者たちをこき使ってきた現場監督、ないしに統領セバスティアーノ。

 ずっと虐げられてきた無能生産者たちの怒りの炎を奴らには決して鎮めることはできない!


「やるぞ!みんな!!」


 自分も無能生産者たちを奮起させる。


「「「おおおお!!!」」」


 無能生産者のみんなの士気がさらに高まる。彼らの勢いは留まること知らない。

 ・・・・勝てる! 勝てるぞ! 今なら絶対に奴らに負けない。

 今の自分たちは、かつて世界を席巻したエスパーニャン帝国時代の無敵艦隊のように天下無双!

 そして熱気がある! 我ら無能生産者の固き意志は誰にも引き裂けない!

 絶対! 絶対にだ!


「うおおおおおおお!!!!」


 沸き立つ! 湧き立ってくる! エネルギーが! 得体のしれないエネルギーがどんどん溢れ出てくる!

 やってやる! やってやるぞ! 反撃だ! 復讐だ! 成り上がりだ!

 今日から無能生産者の成り上がり復讐物語の歴史に新たな1ページが加わる!!


「うおおおおお!!いきり立つ!」


「ベルシュタインさん! あなたからものすごい熱を感じます!

 あなただけでなく無能生産者の同胞の1人1人から! 頑張りましょう!

 無能生産者の栄光ある勝利のために!!」


「「「おおおお!!!」」」


「俺ら無能生産者は本日をもって、強制労働をボイコットするぅ!」


「俺たちはグリアムスとベルシュタインを中心に、どこまでも突き進む!」


「俺らの要求をそちらが飲むまで、ストライクを続ける!

 わかったか! ヘンドリック下僕現場監督!!」


「ストライキだって言ってんだろぉぉぉぉ!!! バッケヤロウぅぅぅぅ!!!」


「「「おおおお!!!!」



「ど・・・どうするよ? ヘンドリック」


「このままじゃヤバいぞ。・・・あいつらが揃いも揃って強制労働を放棄するってなれば・・・

 本当に一大事だぞ!」


「ヘンドリック!ヘンドリック!」


 現場監督たちもそんな無能生産者のムードに恐れをなし、慌てふためいているようだ。

 彼らは完全に自分達を危険視している! すっかり自分たちの熱気に怖気づいている!

 押せる! 押せるぞ! 完全に押し通せる! どこまでも突き切っていける!

 やるぞ! 無能生産者たちのストライキだ!! 絶対に成り上がって、一泡ふかしてやる!


 そう固く決意をし、この戦争に勝利することを信じて疑わなかった自分。


 しかしヘンドリック・カイザー下僕現場監督からは他のオロオロしている現場監督たちと比べて、その表情には不自然なほど、焦りの色が見えてこなかった。

 そのことに妙な違和感を覚えた自分だったが、それも杞憂だと思い、すっかり無視し、考えないようにしていた。

 しかし次の瞬間、下僕現場監督はゆったりと落ち着き払った態度で次のようなことを言ってきた。


「好きにすればいい。ストライキだっけか? やればいいじゃねえか。

 だけどよぉ、リトルピッグどもがいくら団結したところで、こちらとしては何~も怖くも何ともねえんだわ。

 だから好きに団結なりストライキなり、何なりすればいいじゃないか」


「強がりかよ!! 本当のところ、内心俺らにビビりあがってるんだろ!?

 なあ!? そうだろ!?」


「だ・・・だよな! ヘンドリック現場監督さんよぉ~」


「ははは!! 全くその通りだぜ。はったりかまして俺たちの士気を削ごうっちゅう魂胆だな?

 そんな言葉に惑わされてたまるか! ヘンドリック現場監督!」


 無能生産者たちは下僕現場監督に負けじと応戦する。


 ・・・もう怖いものなしだ。

 豚小屋前で現場監督たちの前で整列していた時と打って変わり、今の下僕現場監督と相対しても非常に大胆になっていた。

 ・・・故に彼らの労働ストのムードは未だ健在かと思われた。


 だがしかし、そんな彼らのムードに水を差すように、ヘンドリック・カイザー下僕現場監督は次のことを無能生産者たちに宣告してきたのであった。


「まあリトルピッグどもが、いくらストライキだ~何なりをしようとも俺らは止めない。

 さっきも言ったように好きにすればいい。

 だがその代わり、ストライキを実際に行ったリトルピッグどもは容赦なく、このコミュニティードヨルドの壁の外へ放り出してやる。だからやればいいじゃねえか、ストライキってやつをよお。

 あたりめえだよな?こっちとしてはリトルピッグどもに仕事を勝手に放棄されてんだから。

 ・・・このくらいのことをしても俺らはバチは当たらねえよな?」


「へ? あの・・・カイザー現場監督・・・それってどういう・・・」


「そのまんまの意味だ、畜生め。

 これから1回でもストライキを決行し、職務放棄したリトルピッグどもに告ぐ。

 ストライキなんかをおっぱじめた者は即刻、統領セバスティアーノ様に取り計らい、返事をいただき次第、コミュニティーから丸ごと追放してやる。

 全員だ。・・・・俺様は容赦しねえぞ? あ~ん!?」


 あろうことか、ヘンドリック・カイザー下僕現場監督はそのような宣告を無能生産者たちに突きつけてきたのである。

 これに対しグリアムスさんは若干焦りを感じたようで、慌てて次の言葉を添える。


「はったりです! 皆さん! 奴ははったりをかましているだけです。現実的に考えてください。

 皆さんをあの統領セバスティアーノが追放するような真似をするはずがない!

 あなたたちは数少ない人類の生き残りなんです。

 そんな貴重なわたくしたちを奴が追放なんてするはずがないでしょうに!

 わたくしたちの口減らしなんてとんでもない!

 冷静に考えてください。わたくしたちの能力の優劣さはともかく、生きている人間ってだけで、貴重な資源なんです!

 そんなわたくしたちの影響力はあの統領セバスティアーノと言えども無視できない存在です!

 いいですか、わたくしたちにはコミュニティーにおいて、それだけの価値があるんです!

 このヘンドリック下僕現場監督の言ってることに騙されないでください!皆さん!」


 とグリアムスさんは言い、ヘンドリック下僕現場監督の言葉に騙されないよう無能生産者たちに再三に渡って釘をさしていた。


 しかしカイザー下僕現場監督は、さらに畳みかけるかのように次のことを容赦なく言ってきた。


「あと! ストライキしたリトルピッグどもはさっきも言ったように、2日間飯抜きなのも忘れるな!?

 当然だよな? リトルピッグどもの役割はただ黙って強制労働に従事すること。

 リトルピッグのおめえらにそれ以上もそれ以下の価値もねえんだよ!

 わかったか!? おめえらは貴重な資源でも何でもねえ! ただのゴミクズだ!

 現実を見やがれ! うぬぼれるな!

 クソ役立たずの能無しのおめえらを統領セバスティアーノ様はそれでも見捨てることなく、わざわざ働き口まで提供してやってんだ!

 そのご恩を仇で返すとは何事だ!?

 ストライキなんてやった野郎は、クズを通り越して粗大ゴミだ!

 リトルピッグども! ・・・これ以上自分を自分で貶める気か!?

 よく考えてから行動しやがれ!」



 下僕現場監督は明らかに無能生産者の息の根を止めるつもりだ。

 このままでは奴に言いくるめられてしまう。実際、無能生産者たちも苦悶の表情を浮かべていた。

 どっちの主張を信じればいいのか、ひたすら悩んでいるように見えた。


「俺様がここまで言っても、ストライキを決行しやがった粗大ゴミどももまとめて、処分が下されるまでの間、みっちり働いてもらうからな!

 そこのところよろしく! 俺様は容赦しねえぞ?

 散々使い倒して、ぼろ雑巾のように、追放してやる! 飯抜きでな!

 腹を空かせたそんな状態のままで、外の世界に放り出されてみろ。

 どうなるか想像つくよな!? あ~ん!?」


 場はシーンっとなり、すっかり静まり返ってしまった。


「ということで選べ! グリアムスの方について、飲まず食わずのまま追放されるか!?

 それとも俺たちの指示に従い、反逆者のこいつらを取り押さえるか!? 今すぐ選択しろ!

 何、終末世界のこのご時世になってまで、立派にストライキをおっぱじめようとしてるんだ?

 柄にあわねんだよ。無能生産者のリトルピッグどもが!

 リトルピッグがストライキだなんて、まるでおままごとみてえだな。

 さあ選べ! 即刻選びやがれ! リトルピッグどもが!」


「ううぅぅぅ・・・・カイザー様の言う通り、やっぱり無理ってもんだよな。

 ・・・たかが俺らがストライキした程度で俺たちの待遇が変わるわけがない」


「そうだな。カイザー様は俺たちを本気でこのコミュニティーから追放するつもりらしいし」


「だよな・・・・。さすがにそれはきついや」


「飯抜きにもされるんだもんな。この際仕方ねえや」


 無能生産者はヘンドリック現場監督の口車にまんまと乗せられはじめ、先程のストライキムードが一変して、下火になってきた。


「皆さん!ダメです!ここで折れたらダメなんです!

 今折れたらあなたたちは一生彼らからもコミュニティードヨルドからも虐げられる人生を送ることになってしまうんです!

 気付いてください! 立ち上がるにはもうこの機会しかないことを!」


「とは言ってもな、グリアムス。・・・俺が思うにそれって今じゃなくてもいいんじゃないかって思うんだ」


「何、腑抜けたこと言ってるんですか!?

 そうやって決断を後の方へ、後の方へと回していくうちに、もう後戻りできなくなるところまで来ちゃうんですよ!

 あなた方はそうやって決断を先送りしてきたから今ここに居るんじゃないんですか!?

 それがなぜわからない!?」


 グリアムスさんは顔を真っ赤にして、無能生産者の彼らに説いてきた。


「まあまあそうカッカするな、グリアムス。時間なんていくらでもあるんだから。

 ・・・またそのうち決断を迫られる時期が俺らの方にやってくるさ。

 今は時期尚早ってもんじゃないのか? そう焦ることはない。

 なあ? みんな。・・・・お前らもそう思うだろ?」


「んだな」


「そ・・・そうだな!その通り!」


「今すぐ決断すべきじゃないと思うな、よくよく考えてみたら。

 行動するにはちと速すぎる気が・・・」


「まあ、また明日を捜せばいいさ。おれたちには未来があるからな」


 無能生産者は完全にストライキムードではなくなってしまった。まさかのどんでん返し。

 あのヘンドリック・カイザー下僕現場監督の一言でこうもコロコロ意見を変えてしまうものなのか・・・。

 非常に愚かだ。・・・怒りよりも呆れが勝ってきた。


「ふざけるのもいい加減にしてください! 耐えるんです!

 みんなで一緒に耐えて、耐えて、耐え抜くんです。一緒に頑張りましょう!!

 皆さんで乗り切って勝利を掴むんです! 今立ち上がらなければ、わたくしたちに未来なんてないんですよ!」


「そんなまた大げさな・・・。別に今じゃなくていいって。また今度。また今度からでいい。

 今はまだ勝負所じゃない」


「ダメです! 今じゃなきゃダメなんです! 今仕掛けるんです!

 そんなこと言ってるうちに、あなた方の人生はすぐ終わってしまいますよ!

 明日を捜すなんて呑気なこと言わないでください!!

 今、またあなたたちが甘えに走ったら、奴らはもっと勢いづいて、もっとあなた方にひどいことをしますよ!?

 お願いです! 考え直してください! この通り!」


 グリアムスさんはそう言って、ついに頭まで下げだした。

 今を逃したら二度とこんな絶好な機会は訪れない。

 ・・・そう言いたげだ。これに関しては自分も同意見。

 今行動しなければ、一生コミュニティードヨルドで良いように使われて、そして最後はぼろ雑巾のように使い倒され、捨てられてしまう。

 それを避けるために、今こうして無能生産者一同で一致団結してコミュニティードヨルドに立ち向かおうって言ってるんじゃないのか?

 何故それがわからない!? 簡単なことじゃないか!?

 何でみんなグリアムスさんの方じゃなくて、下僕現場監督の方を信じる!?

 やめてくれ! みんなして愚かな道を突き走ろうとしないでくれ!



「・・・・腹は決まったようだな! おい!リトルピッグども!

 ベルシュタインの手に持ってる俺のしばき棒を取り上げろ!!

 そして俺のところまで今すぐ持ってこい!」


「「「「了解しました!カイザー様!!」」」」


 そう言ったのを最後に、無能生産者のみんなは自分を取り押さえにかかった。

 そしていとも簡単に彼らにねじ伏せられ、しばき棒を没収されてしまった。

 グリアムスさんも自分と同じだった。

 無能生産者のみんなに再び取り押さえられ、そしてまた自分たちに唾を吐きかけ、下僕現場監督の彼らの前に差し出しやがった。

 彼らはあろうことかまたしても自分たち仲間を奴らに売ったのであった。

 幾度となく繰り返される背徳行為。

 そんな彼らの裏切りもあり、グリアムスさんのせっかくのコミュニティードヨルドを相手取ったストライキの妙案はあえなく失敗に終わったのであった。

ここまで閲覧いただきありがとうございます!


※おかげさまでついにブックマーク10件到達しました!本当にありがとうございます!この調子で完結までガンガン頑張っていく所存です!


次回もよろしくお願いします。

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