表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/50

第四十三話 三つの分かれ道

 最初の戦闘からさらに一時間程経った。その間に数回の戦闘はあったものの、連携を取りつつモンスターを倒していった。出てくるモンスターはリザードマンのみ。村で手に入れた剣のスキル、ドラゴンキラーがかなり役に立っていた。


 そんな感じにダンジョン内を進んでいる俺たちは、今足止めを食らっている。


 少し広い部屋、目の前にある三つの別れ道。探知魔法で先を探ろうとしても、三つの道の先には何の反応もない。


 その為俺は、どの道を進もうかと悩んでいた。


「おまえら二人は、どの道を進む方がいいと思う」


「私は右かな?」


「私は左だと思います」


 ヒストリアは右の道を、サーシャは左の道を選んだ。


 ただ、


「どっちに進むかは、お兄ちゃんに任せるよ」


「勇者様が決めてください」


 二人して最終決定権を、俺にゆだねてきた。


 なんの根拠もなく、決めることは出来ない。そう思いながら部屋の中を見渡して見る。


 すると、中央に龍の銅像が置かれているくらいで、何もない。ただ、この銅像は三つの道の方でなく、正面左の壁を見ている。そこに何かあるのかと思い、銅像が見ている壁の方へ行ってみる。


 すると、遠くからでは薄暗くてよく見えなかったが、壁に文字が彫られていた。


 ただ、人族の言葉で刻まれておらず、俺には読めない。


 すると、


「これなら私読めますよ」


 サーシャが壁の文字を見ながら言ってきた。


「頼む!」


「わかりました」


 サーシャが壁の文字を読み始めた。


「三つの首を持つ龍、それぞれの首には意味あり。一番右の首は愛、一番左の首は知恵、真ん中の首は守り。正しき首を選びし時、道は開かれんと、書いてあります」


 よくわからんというのが俺の感想だ。


「ここに書かれているのは、竜人族の里に伝わる守護獣の龍のことだと思います。それぞれの首に愛と知恵、そして守りの意味を持つ三つの首を持ちし龍を、我が里の守護獣として、祀っております」


「つまりこの三つの道は、それになぞらえてあるわけか」


「そのようです」


 その話を聞き、今回の目的と照らし合わせると選ぶ道は一つしかない。


「真ん中の道を進もう」


「どうして真ん中の道なのですか?」


 サーシャが聞いてきた。


「俺たちの目的は、竜人族の守護していた、吸血鬼族のお姫様を助け出すことだ! 守護とはつまり守りのことだろう。だとしたら守りの意味を持つ、真ん中の道を選ぶのが正解だということになる」


「ですが人族が、私たち竜人族に伝わる守護獣の話になぞらえて、封印を行でしょうか?」


「そうだな。だが、封印を行った人族もそう考えたかもしれない。だからこそ、守護獣の話になぞらえて、封印の場所を決めたと考えられるんだ」


「たしかにそうかもしれません。さすが勇者様です!」


「私もお兄ちゃんの意見に賛成です」


 

 俺たちは、真ん中の道を進むことになった。






 真ん中の道を少し進むと、新たな部屋へと到着した。


 そこは、先ほどの銅像があった部屋の二倍以上の広さがある。だが、何もないただ広い空間。その中に漂う不気味で強力な気配。


「二人とも警戒を怠るな!」


 その気配から俺は、二人に指示をだす。


「はい! なんだかすごく嫌ない予感がします」


「不気味ですね」


 二人とも何かを感じ取っているようだ。


「我が守護せし部屋へと、足を踏み入れるのはだれじゃ!」


 どこからか聞こえてくる声。かなり年老いている感じだ。


「これ以上先に進むのであれば、わしを倒してからにせよ!」


 部屋の中央に、大量の魔力が集まっている。その量は、一瞬にして膨れ上がり、モンスターの形を作り上げていく。


 そこに現れたのは、一匹のドラゴンであった。背に翼をもたないドラゴン。地竜であろうと推測できた。


 俺たちを見ている地竜。


「お前たち! 何しにここまできた」


 地竜が口を開き聞いてきた。


「この先に封印されている、吸血鬼族のお姫様を助けにきたんだ」


 嘘をつく必要もないため、正直に答える。


 すると、


「なるほどな! では、ここを通すことは出来ぬな」


 地竜の口に、大量の魔力が集まっていく。


 地竜が放とうしているのは、ドラゴンの持つ固有魔法『咆哮』であると推測できる。周りの壁には、硬化の魔法が付与されており、ちょっとやそっとじゃ壊れないようにされている。


「二人とも俺の近くに集まれ! 俺がいいって言うまで離れるなよ!」


 その言葉で俺の近くに集まってくるサーシャとヒストリア。服をつかんで意地でも離れないようにしている。


 俺は地竜が放とうとしている咆哮に合わせて、シールド三枚と水の壁、ウォーターウォールを前面に展開して防御態勢に入る。


「っふ! そんな紙切れで我が咆哮を防げるものか!」


 地竜が大きな口を開け、咆哮を放ってきた。とがった岩の塊が無数に飛んでくる。


 そのすべてに、とてつもない魔力が籠っていた。


 一枚、また一枚と、張っていたシールドが破られていく。俺は、その度に新たなシールドをはり耐える。


 そして、五枚ほどシールドを張りなおしたところで、地竜の咆哮が終わるのだった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークすると更新通知が受け取れるようになります!


ブクマ、評価は作者の励みになります!


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ