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第二十九話 盗賊戦1

 その夜、竜人族の長の一室。そこでヒストリアと話していた俺。


 里人たちの殆どが寝静まり、一部の者が警備のために起きているだけとなった。そんな中里に一つの光が飛来してきたのだ。


 それに気づいたのは俺と里を警備している竜人族の里人たち。だが、ただ一つの光に対して行動をとろうとしない。


「お兄ちゃんあの光は何ですか?」


 ヒストリアも気づいているようだ。


「何でもないよ。さあ夜も遅い、今日は寝よう」


 俺たちは布団をかぶり目を閉じて眠りにつこうとしたのだが、


「起きろーーーーーー! 里に火が放たれたぞーーー!」


 その時外から大きな声が聞こえてきた。その声に合わせて他の里人たちも目を覚まし始める。


 里の真ん中にある長の家の隣から火が上がっている。冷静に指示を出せている者もいるが混乱で判断できなくなっている者もちらほら見受けられる。


「サーシャのお父様、何が起こっているのですか!」


 俺は家の外に飛び出し里の住人に指示を出す竜人族の長に声を掛ける。


「外からの攻撃だ! 何者かがこの里へ攻撃を仕掛けてきたようだな」


 先ほど見た一つの光、あれが火だったようだ。だがなぜあの光を怪しく思わなかったんだろうか? 俺の中で唯一の疑問である。


「とりあえず皆を安全なところへ、それと戦える者を里の入口へ集めてくれ」


「分かった」


 俺は長に考えを告げてヒストリアと二人で一足先に里の入口へと向かう。その道中に何個かの光が里目がけて飛んでくる。


 俺は、その光に、


「ウォーターボール」


 水の弾を的確に命中させて撃ち落とす。


「お兄ちゃん、あれがこの一件の原因なのです?」


「ああ、たぶん火矢だと思うが、辺りが暗くてよくわからんがな」


 俺の予想は当たっているだろう。それにこんな姑息(こそく)な手を魔族が使ってくるとは考えにくい。だとすればこの奇襲を仕掛けてきているのは人間であると言える。そしてその相手はほぼ確実にサーシャを攫った男たちだろう。


 そして、俺たちが里の入口へと着いたとき、里の外にこちらを見つめる人が何十人といる。しかも、認識疎外(にんしきそがい)の結界を無力化して中へと入ってきている。


 それから、他の里人たちも里の入口へと集まってくる。少しきつめに視線を感じるが、そのことは今は置いておくことに。


「アルク、里人は全員無事だ! それと戦闘員も連れてきた。もしこれ以上必要ならもう少し連れてくるが」


「いえ、これで十分です。それよりも、あそこを見てください」


 俺は隣にやってきた竜人族の長に前方を指さしながらその先を見るように促す。


「人間か」


「はい、しかもあれは盗賊団でしょう」


 俺たちがキリス村の冒険者ギルドでトレント討伐の依頼を受けたとき、近くに森に現れる盗賊団の討伐の依頼もあった。その依頼書には盗賊団のリーダーの顔写真もあり、今目の前にいる男の顔と一致する。


「だが、あの程度の連中なら我々で十分対処できます」


 だといいのだがな。


「彼らを甘く見るのはやめた方がいいと思います。彼らのいる場所を見てください」


「・・・・・・!! 結界が効いてないのか!」


「いえ、効いてないのではありません。無効化されているだけです」


 かなり驚いている長だが、俺が考えているのそんなことではない。この里の結界はかなり強力な物だった。普通の人間では無力化など決してできないだろう。つまり、あの中にそれほどの力を持つ者がいる、もしくは裏に誰かがついていて、その者が結界の無力化をしたと考えるのが普通だろう。


「長、気だけは抜かないように皆に指示を出してください。さもないと死者を出すことになるかもしれない」


「わかった」


 まだ攻めてこないと俺もどこかで少しの油断があった。後方にいた戦闘員の一人の胸に矢が突き刺さった。高い防御力を誇る竜人族の皮膚を貫く矢。何らかの魔法が付与されているだろう。


「おい、大丈夫か!」


 俺もそうだが、他の里人たちも矢が刺さった男の元へと近寄っていく。


 少し息がある。


「ヒストリア、手当てをしてやれ」


「分かりました」


 俺とヒストリアは先ほどとは意識を変えた。

 

「全員気を引き締めろ! 戦闘開始だー!」


 長の一声により全員の表情が変わる。そして、剣や槍を構えて前方にいる盗賊たちに襲い掛かっていく。


「俺も行く、後は任せた」


「はい、お兄ちゃん」


 最高の笑顔で答えてくれた。


 先に戦闘に入った竜人族に続き俺も戦闘へと突入していく。後方より放たれる矢。


 だが、


「皆さん全力でやってください」


 ヒストリアの指示で魔法で全てを打ち落としてしまう。


 そして、前衛の戦闘は基本的に能力で優っている竜人族が優勢であった。


「皆、もう少しだ!」


 長の声が戦場に響く。それにより活気づく竜人族の戦闘員たち。


 だがそんなとき、


「作戦通りだ、やれ」


 俺の耳だけにそんな声が届いた。


 ただの悪あがきだと思ったのだが、違った。その声が聞こえた後すぐに戦況が一気に変化した。


 先ほどまで優勢だった竜人族が少しずつ押され始めて。そして一人、また一人とやられていく。


 ただし、俺には何の変化も起きていない。竜人族の者のみが弱体化している様子。


 前衛だけじゃない、後方より援護の魔法が放たれていたのだが、ぴたりと止まってしまった。


「ダメージを負った者は後退しろ! 急げ、犠牲者が出るぞ!」


 全員に届く声を出す。


「うるさい! 人間は黙ってろ」


 俺の言葉に対して反感が返ってきた。


「俺たちが人間に負けるわけないだろう!


 自分たちより能力の劣る人間になど負けないと言う自信。こいつらはどれだけプライドがでかいんだ。


 だが、今はそんなことを言っている場合じゃない。一秒でも早く皆を後退させないと取り返しがつかなくなるかもしれない。


 そのために俺は少し強引かとも思ったが、ダメージを負った竜人族たちを後方へと放り投げていく。


「おいおい、何のつもりだ!」


 盗賊の一人が俺に向かって声をかけてきた。

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