表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/50

第二十三話 少女の救出

 俺たちがグルドたちを警護所へと連れて行った帰り道。


「やめてください!」


 どこからか少女の大きな声が聞こえてくる。俺だけに聞こえる声じゃない。


「お兄ちゃん、なんですかさっきの声」


「俺にもわからない」


 少女の声を聞いたヒストリアは不思議に思っていた。俺自身もこの声を不思議に感じる。


 俺とヒストリア以外には届いていない様子。だが、声自体かなり大きく村中にすら聞こえそうなほどの声。


 その時、


「アルク様」


 ウンディーネが声を掛けてきた。


「精霊さんです!」


 俺の耳元で声を掛けてきたウンディーネを見てはしゃぐヒストリア。


「ヒストリア少し静かにしときなさい」


「はーい」


「それで何の用だ」


「何か嫌な予感がします。お気を付けを」


「分かった」


 それだけ言ってウンディーネは別空間へと戻っていた。


 俺が使役している精霊たちは普段は俺が制御している別空間で生活している。その中から外の世界を見て、必要に応じて俺の手伝いをしているわけだ。そのため用事がなければ外へと出てくることはない。


 そしてまた、


「誰か助けて! 変な男に連れていかれるー!」


「うるさい! おまえは大人しくついてくれば良いんだよ!」


「いーやーでーすー! 絶対に! 逃げてやるんですから! だーかーらー、誰か助けてくださーーーーーーーーーーーーーーい!」


 少女の声と男の声が聞こえてきた。


 そしてその声で俺は少女の居場所をつかむことが出来た。


「ヒストリア行くぞ!」


 俺はヒストリアに手を差し伸べる。その手を素直にとるヒストリア。


 そして俺はテレポートを使い、声の主である少女の元へと飛ぶ。


「誰だ!」


 俺とヒストリアが突然現れたことで驚く男。その後ろに、手錠のような物をつけられた、赤色の長い髪で頭に小さな角を生やした少女が連れられていた。赤い瞳には涙が浮かんでおり美しい顔が台無しだ。身長はヒストリアと同じくらいで小さいが出るところはしっかり出ていた。奴隷のような服を着せられており見えてはいけないようなところが見えている。


「なんですか! 女の子にそんな服を着せて恥を知りなさい!」


 そんな少女を見て初めに声を出したのはヒストリアであった。女の子にひどい扱いをしているこの男に対してよほど腹が立ったのだろう。


「早くその少女から手を放しな! そうすれば見逃してやるから」


「ばかか! こんな上玉をみすみす手放すわけないだろうが。奴隷として売れば大儲けだ」


 そんなことを言いながら男は俺たちに向かって剣を構える。俺たちを倒そうとしているようだ。


「そうかい、なら俺が相手をしてやる」


 俺も剣を持ち構える。


「ガキが、これを見られたからには殺してやるよ」


「そうかい」


 そんなことを言っている間に男の懐へと入り込む。一瞬のスキを突かれた男。


「この程度か」


 少しため息交じりに言った。俺は正直物足りなさを感じていた。魔法も使っていない。今のは身体能力だけでやったこと。


 そして、男の腹に拳を思いっきり打ち込み意識を奪う。


「お兄ちゃん」


 心配そうに近づいてくるヒストリア。


「大丈夫殺してないよ、ただ意識を失っただけだ」


 まだこの男に聞きたいことがある。だがその前にこの少女だ。


 俺は、解除の魔法を使い少女の手についている手錠を外す。男によって意識を奪われていたのか俺たちに対して反応がない。


「大丈夫か!」


「私はいったい?」


 意識を取り戻した少女。辺りをキョロキョロ見渡している。そして、目の前に倒れている男が目に入る。


「私はた、す、かったのですか?」


 自分がどうなったのか理解できずにいる少女。


「大丈夫ですよ、もうあなたは大丈夫です。なにしろ私のお兄ちゃんがいるのですから」


 胸を張り自分のことのように自信満々に言うヒストリア。別にお前が言うことでもない気がするがまあいいか。


「あなたがそのお兄さんですか?」


「そうだよ。場所を移さないか、こいつの仲間が来ても厄介だし」


「はい」


 俺たちは、今日二度目で警備所に先ほどの男を連れて行き、それから宿へと向かった。


 その道中ずっと俯いている少女。俺は何か声を掛けるべきかと考えたが、今はヒストリアに任せておこうと思った。女の子同士のヒストリアの方が少女に寄り添って上げられるだろうから。


 俺は、後ろで話す二人を見守りつつ宿へと向かって行った。


 そして、この村唯一の宿、『スズラン』へと到着した。


 俺たちは中に入り、とりあえず部屋を取ることにした。もともとヒストリアとの二人部屋を取るつもりだったが今はもう一人いる。そのため俺が取った部屋は三人部屋。


 部屋に入ってすぐ、


「お願いします。私の村を救ってください」


 少女が頭を下げてきた。急にどうしたのかと思った。


 それにはヒストリアも驚いていた。


「頭を上げてください」


 少女に声を掛けるヒストリア。


「いえ、お兄さんがハイと言ってくれるまでは頭を上げません」


 そういわれても困ったな~と頭を悩ませる俺。


 そこで、


「話を聞かせてくれ、そうでないと判断できない」


「分かりました」


 少女は自分の身に起きたことを話し始めた。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークすると更新通知が受け取れるようになります!


ブクマ、評価は作者の励みになります!


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ