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第十五話 ~ガイルパーティー編~ 救出と最奥

 左の道。


 結果的に選んだ道に間違いはなかったと言える。


 道の先、薄っすらと光が見えてくる。


 そこから聞こえる声。


「キキキー、キキ、キー」


 ゴブリンの声。


「早く村に返して!」


「お母さ~ん」


 女性の声が聞こえてくる。


 爺の言っていた攫われた村人たちだろう。


 俺たちの足は自然と早くなる。


 一秒でも早く、一分でも早く助ける。


 無事に連れて帰ることが俺たちの仕事であり冒険者としての使命。


「無事か!」


 俺が村人たちの捕まっている部屋に入ってすぐ叫んだ。


 それに対して反応したのは、ゴブリンたちだった。


「ギィー!」


 こちらを向く五匹のゴブリン。


 その背後に村人の少女と女性たち。


「助けにきました! あと少し頑張ってください」


 アメリアが村人たちに声を掛ける。


 それにより少し安堵の表情を見せる村人たち。


「よっし、ここは俺が行く」


 前に出ようとすると、


「ここは全員で、人の命がかかっているんだから」


「分かってるよ、だから一番強いこの俺がやるって言ってんだ!」


「ふざけるな! これは命を掛けた仕事、子供のお遊びと一緒にするな!」


 ローズが俺にもの凄い剣幕で言ってきた。


「そんなこと分かっているさ」


「おまえは何も分かっていない、わかっていればそんな言葉が出てくることは決してないはずだ!」


「いい加減にしろよ! このパーティーのリーダー誰だ! 俺だよな! 俺の指示に逆らっていいわけがないだろう」


「そうか、おまえの考えなど今はどうでもいいだろう」


 ローズと俺がヒートアップしていたとき、


「二人ともそこまでよ!」


 アメリアが入ってきた。


「二人の言い分は分かるわ。だけどそのことで言い合っている場合じゃないでしょ。今の状況をしっかり把握しなさい」


 アメリアからの一言で俺とローズは頭を冷やす。


「それに、シールド」


 俺たちの元へ一匹のゴブリンが迫って来ていたのだ。


「今は目のまえにいる村人の救出とゴブリンの退治よ」


「そ、そうだな。セシルとリアは村人たちを頼む、俺たちでゴブリンを倒す」


「指図するな!」


「ローズも場を考えなさい」


「分かった」


 何とかまとまりを取り戻す。


 ただそこで俺が腑に落ちないのは、俺の指示でなくアメリアからの指示である言うことだ。


 それから暫くしてゴブリンたちを全滅。


 村人たちを無事に救出できた。


「ありがとうございます」


「もうだめかと思いました」


「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう」


 村人たちからお礼を言われる。


「気にするな、それよりもリア」


「なに?」


「村人たちを護衛して村へと帰ってくれ」


「なんで! 戻るなら皆で戻ればいいじゃん」


「いや、ここまで来たらこの巣のボスを倒してしまいたんだ」


「わかった。ガイルなら余裕だもんね」


「ああ、だからまかせたぞ」


「了解! 皆さん私に着いてきてください」


 リアを先頭に村へと戻っていく。


 そして、俺たちは、


「さて、さっき進まなかった右の道を行くぞ」


 無言で頷くローズとアメリア。


 やっとおとなしくなったかと思った。


 そして、一度分かれ道まで戻り、右の道を進む俺たち。


 そして、出たのはかなり広い部屋。奥にいる二体のモンスターの影。


「あれがここのボスだな」


「そうだな」


 一言返すローズ。


 俺たちが部屋の真ん中あたりまで進んだ所で二体のモンスターが動き出した。


 薄っすらとその姿が見えてくる。


 ゴブリン、それもかなりデカイ。


 十メートルは優に超えているであろう。


「ゴブリンソルジャーと、ゴブリンメイジですか」


 モンスターの姿が完全に見えたところでローズが言葉を発した。


 俺にとっては聞き覚えのない名前だが、大体は推測できる。


「Bクラス以上のモンスターが二体なんて、かなり厳しい」


「どうしますかリーダー」


 アメリアが俺にそんなことを言ってくる。


「俺とセシルでメイジの方の相手をする。アメリアとローズはソルジャーの相手を」


「わかった。ローズ行くわよ」


「ああ」


 俺はゴブリンメイジの方へ。それに続きセシルも来る。


「メイジという名前に手に持つ杖、あれで魔法を撃ってこなかったら反則だ」


「そうね、でも私たち二人にかかれば余裕ね」


「ああ、魔法の打ち消しは任せたぞ」


「ええ、自由に暴れてきて」


 俺はゴブリンメイジに向かっていく。


 俺は、こっちを早く終わらせてローズたちの元へ助けに行ってやらないとなどと考えていた。


「ファイアーボール!」


 ゴブリンメイジから放たれた魔法をセシルが打ち消す。


 俺はその間に懐へと入り込む。


 右手に持つ剣で、一突き。だがその攻撃は弾かれた。


「!!」


 どんなに硬い皮膚を持つモンスターでも紙きれのように切り裂いてきた攻撃がいとも簡単に弾かれた。


 そして、セシルに向いていたゴブリンメイジの意識が俺に向く。


「まあそうなるよな」


 ゴブリンメイジの魔法が俺の方へ放たれるも、全て躱し体勢を整える。


 その隙を見逃さずにセシルが魔法を放つ。


(勝った!)


 そう確信した。


 煙が晴れた所にあったのは、ほぼ無傷なゴブリンメイジの姿。


「なんで! 私の全力の魔法を受けたのにダメージ無しなんてありえない」


 理解できない。


 俺たち二人の攻撃が一切通用してない。


「だからあなた方は弱い」


 そこへ現れたのはローズだった。


 そして、先ほど俺たち二人の攻撃を無傷でしのいだゴブリンメイジをローズは圧倒した。


 そして、倒したのである。


 ローズとアメリアが戦っていた方を見てみるとすでに戦闘は終了。


 アメリアの様子からするにほぼローズ一人で戦っていたように見える。


 これで俺たちの勝利になったが、俺の中でもやもやとするものが生まれたのだった。


 そんな気持ちの中、俺たちは依頼を終え王都へと戻っていくのだった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


「面白かった!」


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