第十二話 ~ガイルパーティー編~ 襲来
村の入口より村人を追いかけて入ってきたのはゴブリンであった。
小鬼と呼ばれることもあるモンスターで森の中に住み着いていることが多い。
ゴブリンが主に狙うのは人間の女性が多く、このような小さな村は標的になりやすい。
だが、
「おいおい、小鬼どもかよ」
そう、この俺にとってゴブリンなどただの雑魚だ。
一匹ならDランク、集団でいてもCランク程度のモンスター。
そんな相手に負けるわけがない。
「各個撃破で行くぞ」
「ええ、私の拳にかかれば一瞬ね」
「魔法で遊んであげるわ」
ガイルの声に対して余裕の返事を返すセシルとリア。
村に入ってきたゴブリンの数は五。
俺が三体相手してセシルとリアが一体ずつと言ったとこか。
俺は、村の中心に向かうゴブリンの前に。
右手に剣を持つ。
「たかが小鬼如きが俺に相手してもらえることを光栄に思うがいいぜ!」
「ギュッキ!」
俺の言葉に頭を捻る。
「小鬼は頭も悪いのか! さすが雑魚だ!」
俺はゴブリン達に突っ込んでいく。
それに対して、手に持つ棍棒で迎え撃とうとする。
(っふ! その程度の武器で防ごうなんて甘ぇぜ!)
「スラッシュ!」
剣から斬撃を放つ。大抵のモンスターはこのスキルで倒してきた。
だが、その攻撃はゴブリン達の棍棒に傷を少し付けただけ。
「!!」
全く威力が出ていない。
確かに威力はかなり落としたがそれでも余裕で倒せるはずだった。
だが、今回は全然攻撃が通っていない。
「キキ! キキキ!」
「キキキ! キキ!」
ゴブリンたちが何か会話をしている。
こちらを見てにたりとした顔を向けてくる。
「なめやがって! この俺を誰だと思ってるんだ!」
俺は、
「ダウン! スラッシュ」
剣のスキルを二つ。相手の防御力を落とすダウンと斬撃を飛ばすスラッシュの二つを使用。
それによりゴブリンの一体を撃破。
残り二体。
「まさか、こいつらに少し本気を出すことになるとはな」
先ほどより使う魔力量を上げることでスキルの攻撃力を上げた。
だが、一体のゴブリンがやられたことに何の反応も示されない。
こちらをただ見ているだけ。
「なんなの!」
「うそでしょ!」
離れた所からセシルとリアの声が聞こえてくる。
向こうも苦戦しているようだ。
俺が仲間二人のことを気にしている隙に、二体が俺目掛けて襲い掛かってくる。
だが、相手が俺だったことを後悔しな。
剣を一振りして一刀両断するはずだったのだが、剣は一体のゴブリンの持つ棍棒によってはじかれた。
それにより体勢を崩されるともう一体のゴブリンの棍棒が俺の体へ。
それにより後方へと吹き飛ばされる。
「っち!」
(まさかこの俺がこんな雑魚の攻撃を受けるなんて)
イラつかせる。
「手か減じてたら調子に乗りやがって」
俺は、
「シャドウスラッシュ!」
防御不可の影を切る斬撃を放つ。それにより二体を倒す。
だが、今までスラッシュ一つで倒せていたのに今回の戦闘で他に二つのスキルを使った。
なぜ、ここまで力が落ちたのかわからない。
「まあ、不調な時くらい誰にでもあるな」
などと考えて切り替える。
俺は、追い込まれているセシルとリアを助けに向かおうとするがすでに戦闘は終わっていた。
「さすがガイルね、ゴブリン三体なんて余裕ね」
「私たちが恥ずかしいです。まさかこんな雑魚モンスターに苦戦させられるなんて」
「俺も余裕じゃなかったな。もしかしてここに現れるゴブリンは他とは少し違うのかもしれん」
「違うって?」
「俺が戦ったモンスターの中でなかなかの強さだったことも考慮するとBランクに匹敵するだろう」
「だけど、相手はゴブリンだったのよ」
確かにセシルのいうことももっともだ。たかがゴブリンがBランクの強さを持つとは考えにくい。
だとすれば俺たちが弱くなったのか、それこそありえないだろう。
「だが、俺たちが少し苦戦させられた事を考えるとそれくらいしか考えられないぜ」
「そうね。この森には何かあるのかもしれないわ。だからこその調査依頼なのかもね」
俺も同じ意見であった。
「だがまずはこの村の村長に話を聞かないとな」
「そうね」
と俺たちが話していると、
「おぬしらが冒険者か」
杖を突きながらお爺さんが現れた。
その隣にアメリアとローズ。
「おまえら! どこに行っていたんだ!」
言うことも聞かず勝手な行動。
俺をバカにするにも程がある。
「村人の避難を手伝っていたのよ」
「そうだ、私たちは冒険者。だから村人たちの避難を優先した」
自分たちが正しいかのような口ぶり。
よりイラつかせる。
「まあいい、その爺さんは誰だ!」
「誰が爺さんじゃ! わしはこの村の村長じゃ!」
っげ!
「なんじゃこの礼儀知らぬ男は!」
(っち、失敗したぜ。だが、まあいい)
「そんなことよりも、早く話を聞かせろ」
「なんじゃと」
「俺たちはあんたの村人をゴブリンから救ってやったんだ、それにこんな何の詳細も書かれていない依頼を受けてやっただけ感謝して欲しいぜ」
こんな爺は少し威圧してやれば素直になんでも話すだろう。
「別におぬしらに助けてくれなど頼んだ覚えはない。それに受けたくない依頼を受けて渋々来られても困るんじゃよ。さっさと帰った帰った!」
「村長さん。うちのリーダーが不敬な態度を取り申し訳ございません」
こいつ何勝手なことをまた。
「この村の現状を見た限り、早めに対処しないといけないように思います」
「おい、何勝手なことを!」
「あなたは黙ってなさい!」
「私がよく言っておきますので今回の所はお許しいただけないでしょうか」
爺に向かって頭を下げるアメリアとローズ。
「おぬしらがそこまで言うなら今回の所は許すが、次はないぞ」
「はい、ありがとうございます」
「なにをかっ」
俺が話そうとしたところで、
「黙っておきなさい」
ローズが俺に槍を向けてくる。
「おまえ」
「これは仕事です。もう少し考えて動きなさい」
「そうだな。ここは俺が引いてやる、だがな、今後俺指示を無視するな! いいな、じゃないと痛い目を見ることになるからな」
槍を引きアメリアの元へ戻るローズ。
誰がこのパーティーリーダーだか分かっているのかと、俺の中でよりイライラが溜まってくる。
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