第十一話 ～ガイルパーティー編～ 調査依頼
新たな仲間が加入した翌日。
俺たちは依頼を出した村へと向かっていた。
馬車でリレイク村と呼ばれる村へと向かっていた
ここの村長が今回の依頼主である。
詳細について村に到着してからということで何も記載されていない。
「今回の依頼は少し謎な所が多いわね」
セシルがそんなことをつぶやいた。
「確かにね。でも私たちにはガイルが付いているんだから何が起きても安心ね」
セシルの言葉に返答したのはリアであった。
そんな中、一人外を見るアメリア。
「アメリア何を見ているんだ!」
「いえ何にも、ただつまらない話を聞いていてもしょうがないですから」
なんだかとても暗い。
それに、ローズもアメリアと同じ雰囲気。
ここ数日、この二人はずっとこの様子でセシルやリアと話そうとしない。
アメリアのことは何となくわかるんだがなぜローズまでと思う。
「もうすぐ着くぞ」
馬車の操縦をしているお爺さんから声がかかる。
俺たちは、それぞれ荷物をまとめて降りる準備を始める。と言っても、もともと荷物を散らかしているわけではないので特段何かすることはない。
それから、一時間程で俺たちはリレイク村へと到着した。
村はいたって平和、調査依頼をだすような出来事が起こっているとは思えない。
「とりあえず中に入るぞ!」
「ええ」
セシルとリアからは返事が返ってくるもアメリアとローズからは返事が返ってこない。
だが、そんなこと俺は気にしない。
今回の依頼で俺の実力を見れば二人も納得するだろう。誰が強いのかとな。
俺は先頭きって村の中へと入る。
辺りには子供やお爺さん、畑で作業をしている男性などごく一般的で平和などこにでもある普通の村。
特に何か事件が起きた様子はない。
「平和だね」
「本当に、なんでこんな村が調査依頼なんて出したのかしら?」
セシルにリアは不思議そうな顔をしている。
だが、それとは逆にアメリアにローズの顔はとても険しいものであった。
俺は何をそこまでと思いながら、近くにいた男性に声を掛ける。
「村長の家は何処か教えてくれ」
「なんだその態度は」
「別にそんなことどうでもいいだろう。俺たちはこの村の村長から依頼を受けてこの村へとやってきたんだ! さっさと案内しろ!」
「冒険者かい、まあ誰が来ても一緒だと思うがな、ついてきな」
仕事の手を止め、俺たちを案内してくれようとする男。
そんなとき、
「来ます」
ローズがそんな一言を口にした。
俺は急に何を言い出すんだと思ったが、まあどうでもいいかと思い無視する。
だが今度は、
「皆さんそろそろ準備した方がいいですよ」
アメリアまでもがそんなことを、
「おまえら、何ふざけたこと言ってるんだ。今から村長の家に行くんだ! 静かにしておけ!」
俺の言葉に対して、アメリアとローズから反応が返ってこないどころか、俺を方を見ずに、村の入り口の方を見ている。
この二人は一体何を考えて居るんだと思い、少しイラっとしてくる。
「いい加減にしやがれ、おまえらは一体何がしたいんだ」
思わず大声が出てしまった。
俺たちの前を歩いていた男がその声に驚き立ち止まる。
だが、そんな俺の声にも反応しない二人。
そして、二人の視線の先、村の入り口より数人の村人たちが大声を出し走りながら入ってきた。
「皆、隠れろ! やつらが、やつらがまた来たぞ! 早く隠れるんだ」
村の空気が一変する。
先ほどまでの穏やかな平和的な村から、村人皆が殺気立ち慌てている。
俺は目の前にいる男に、
「一体何が起こっているんだ!」
だが男は答えない。
「おい! 俺が質問しているんだ答えやがれ」
「うるさいな! おまえらはやつらからこの村を救うために来たんだろうが!」
こいつは何を言ってるんだ。
「なんのことだ! やつらとは何のことだ!」
「おまえら、冒険者だろうが! それくらい自分らで確認してこい」
それだけ言って去っていく男。
「ローズ、すぐに動ける?」
「ええ、アメリアあなたはどうなの?」
「動けるに決まっているでしょ、ですが先に村人の避難が優先ですね」
「そうね」
二人が勝手に動き出そうとしている。
「おまえら、俺の指示に従え」
「今はそんな場合じゃないでしょ」
アメリアとローズは声をそろえてそれだけ言って、逃げる村人たちの元へと向かった。
だが俺たち三人は慌てない。
「何なのあの二人。このパーティーのリーダーはガイルなのよ」
「そうよ、何指示を無視しているのよ」
アメリアとローズに対して愚痴る二人。
「とりあえず俺たちは村の入り口に向かおうか、何かモンスターが襲ってきていたとしても、俺たち三人にかかればいちころだ」
「そうね、余裕だわ」
「ええ、楽勝ね」
ガイルに続き自信をあらわにする二人。
先頭を行く、ガイルに続く二人は、先頭の準備へ入る。
俺も腰に下げている剣を抜き構える。
「さて何が出てくるのやら」
楽しみだぜ、俺を本気にしてくれるような相手が出てきてくれると嬉しいんだけどな。
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