表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自己愛性ブラックwithコロナ  作者: 朝木深水
6/6

6

 公園には西日が差し、ジャングルジムの影が長く地面に伸びている。

 そのてっぺんで、まだ三歳くらいの子供が夕日に向かって歓声を上げている。

 朝木が近付いてよく聞くと、それは歓声ではなかった。叫びだった。

 子供はママー、ママーと母親を呼んでいるのであった。

 子供がこちらを振り向いた。その顔には見覚えがあった。

 日に焼けた丸顔、西日のせいか、目がぎらついているように見える。

 それは虎田先輩だった。


 目を覚ますと、見慣れない天井が見えた。電子音が聞こえる。ICUだと気付くのに数秒かかった。ベッドで酸素マスクをしていてもまだ呼吸が苦しい。

「朝木さん、起きてますか」

 防護服姿のナースが来て言った。

 喉が渇いている。水が欲しいと言うと、マスクを外してチューブで飲ませてくれた。

 あの後、体温を測るとすぐに保健所に電話した。最寄りのクリニックを紹介された。

 リーダーに連絡すると、事情を話さざるを得なくなった。ラインでブチギレられた。お前ら一体何やってんだ。反論する気力はなかった。

 翌日の夕方にクリニックでPCR検査を受けられた。どうも、そこで意識を失ったらしい。気付いたら病院のベッドにいた。ここでも聞き取り調査を受けた。スマホも提供した。追跡アプリは入れてなかったが、位置データが役に立つらしかった。

 症状は酷かった。呼吸は苦しく、機器に繋がれ、断続的に眠った。意識を失っているのか区別が付かなかった。延々と悪夢を見ているような気がする。内容は覚えていない。しかし、病院にいることの安心感は大きかった。

 再び目を覚ますと、声が聞こえた。近くに誰かがいるらしい。

「大体キャバクラで感染するとか、バカじゃないの」

 防護服姿のナースが二人で、何やら作業をしていた。再び眠りに落ちた。


 「大体お前さあ、凜ちゃんと濃厚接触し過ぎだろ」

 「いやいや、先輩だって、結構触ってたじゃないですか」

 見渡す限りの草原を先輩と歩いている。空はどんよりと曇っていた。

 前方に川が見えた。船着き場に小舟が停泊している。船頭が待っていた。船に乗った。

 先輩は船着き場に立ち尽くしている。

 「あれ、先輩は」

 「いや、俺は行けないんだ」

 船が出ると、先輩が言った。

「すまんな。俺を恨むなよ」

 遠ざかる先輩の姿は、まるで迷子の子供のように淋しそうに見えた。

これで終了です


他愛もない話ですが

二日で六ページ書いたのは

自分としては頑張った方です

今じゃないと書けない話かなとも思います


皆さんもお気を付けて

今は引きこもって小説読んでるのが一番ですね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ