存在してはいけない 夏のホラー2020作品
夏のホラー2020への投稿作品になります。
短編は時々書いていますが、投稿は久しぶり。普段はファンタジーを連載しています。
ホラーは周囲に止められていたのに、やってしまった……眠れなくなっていただければ、作者が喜びます。
駅の階段を一段飛ばしで駆け上がり、閉じかけた最終電車の扉に体をねじ込む。驚き呆れる駅員に向けて私は笑顔を返すと、駅員はため息まじりに発車の笛を鳴らした。片田舎の自宅へと向かう最終電車が、ゆっくりと駅のホームを離れていく。
「間に合ったぁ……」
スカートがめくれるのも構わず長椅子に倒れ込むように座ると、息を切らせながらずるずるとその場にへたり込んだ。耳元ではMDプレイヤーが、流行りのJ-POPを流し続けていた。
『ここではない、どこかへ~』
「私だって行きたいよ、馬鹿ぁ」
そんな不満めいた合いの手を歌詞に入れながら、今日一日を振り返る。
学校が終わったのが午後四時。そこから急いで家に帰り、塾用の鞄に持ち替え、自転車をこいで四時半の電車に乗る。片道一時間半の電車に揺られながら授業の予習を行い、都心の塾へ。駅前のファーストフード店で軽食をとり、六時半から授業開始。二教科で三時間の授業が終了すると、走って十分で駅に戻る。そうしないと、次の電車は一時間後の終電になるからだ。
そんな政治家並みの分刻みのスケジュールを、週二日平日に行う。それが私の日常だ。
「部活動が強制じゃなければなぁ~人数が少ないから、週末の練習試合も参加しないといけないし」
私は田舎が嫌いだった。祖父の介護で父が仕事を辞め、実家の農地を継いだのが五年前のこと。清涼な空気、ゆっくりと進む時間、蝉や蛙の大合唱、降り積もる雪は好きでも、私の容姿はあまりに田舎に溶け込めなかった。
ドイツだかポーランドだかの出身だった祖母の血が色濃く出た私は、はっきり言って発育がよい。
背は同級生よりも頭一つ以上高く、くびれた腰に突き出た胸は、いやがおうにも異性の目を引いた。隣の市は体育の際にハーフパンツを導入したそうだが、私の学校はいまだにブルマを履いている。
中学一年の頃はまだよかったが、三年になって急激に成長した私は、体育の際に集まる男子の視線が嫌で嫌でしょうがなかった。昔から人目を引く容姿だったことでも疎外感を感じていたのに、近所のおじさんたちのまでもがねめつけるような視線を投げてくるようになり、私はいち早く田舎を出る決心をした。
だから、都心の学校に通いたい希望を両親に話した。収入の減った両親が許可した条件は、最低でも授業料が半額免除になる特待生の資格を得ること。だがそもそも特待生制度を設けているような学校は軒並みレベルが高く、田舎にある私の中学からは、もう十年以上も合格者が出ていない。
学校での成績は悪くなかったが、試しに春に受けた模試の結果は散々だった。学校の勉強だけでは、都心のレベルが高い学校には受からないのだ。
私はお小遣いがなしになることも覚悟で、都心の塾に通いたいと両親に交渉した。部活動の世話は父母会の義務でもあるため、両親の体面もある。練習や試合は今まで通り参加することを条件に、両親は許可してくれた。そして今の多忙な生活になった。
「帰ったら復習しないと……でも帰ったら十二時過ぎるよねぇ。お風呂に入って、今日は寝るだけかなぁ……あ~あ、今日の授業は難しかったぁ」
授業内容が難しかったため、質問の嵐になった。授業が延長になることを察した私はいつもの時間に帰ることを諦め、授業後も居残る質問組に混ざった。そして駅前のファーストフードで最終電車まで時間を潰そうとして、気晴らしに用のMDプレイヤーを流して悦に入っていると、時間ギリギリであることに気付いて走る羽目になったのだった。
「なんで一時間に一本しか電車がないのよぅ。これだから田舎は」
ぶつぶつと文句を言いながら電車に揺られる。流れる光景に古ぼけた看板が見えた。
『都心にアクセス最高! ベッドタウン、○×町へようこそ!』
県の指定開発地域だったのに、地盤が弱いとかで開発が頓挫したんだっけか。だから電車の本数が少ないし、単線で二車両しかないんだよ、ちくしょう。などといつもの不満を脳内で叫びながら、私はうとうとし始めていた。
眠い目で見渡せば、電車の中には酔っ払って寝ている会社員や、派手な格好で男といちゃつく水商売らしき女性がいる。それに反対側には年老いたホームレスらしき、汚い恰好の人物も。
最終電車なのに乗客が少ないな、と思いながら、MDプレイヤーをつけたまま、私の意識は朦朧としていった。
『○×町~、○×町~。お降りのお客様は~』
電車のアナウンスではっと目を覚ます。気付くと、三十分ほどが経過していた。ここまでは比較的乗客がいるが、ここから先はほとんどいなくなる。
ここから先は寝ていると危険だ。理由は簡単、痴漢が出る。
駅と駅の間隔は十分ほどにも開き、電車の中にはほとんど人がいなくなる。乗車員は運転手一人。そして乗客は数名。さらには節電とか周辺住民への配慮とかで、照明が少し暗くなる。
この時間、田舎のお年寄りなんて寝てるよ! そもそも路線が民家の近くを通ってないよ! などと悪態を内心でつきながら、私は外を見た。
「照明の一つもないじゃんか」
駅と言っても、終点の私が使う駅までは無人駅がほとんど。こんな山の中で、誰が使うんだ? と言いたくなる駅に、こんな夜更けまで駅員がいるはずもなく。
一度痴漢を突き飛ばして勢いで降りた先の駅は、電車がいなくなると公衆電話の灯りしかなかった。
泣く泣く私は公衆電話から親に電話をかけて迎えに来てもらったが、明日も早いのにとこっぴどく怒られた。親の剣幕の前に痴漢のことは言い出せず、寝ぼけたことにして泣き寝入りした。PHSくらい持たせてくれよと思ったが、それも言い出せなかった。
その夜、ふと思ったのだ。公衆電話の灯りすらなかったら、私はどうしたらよかったんだろう。
民家もなく、外灯すらろくろくない駅で、真の暗闇に放り出される。
懐中電灯なんて都合よく持っているわけがないし、きっとその場でへたり込むしかない。
私はその夜、真っ暗な中で一晩中痴漢に追い回される夢を見た。翌日、最悪の気分で目覚めてから、決して降りる駅を間違うまいと心に決めたのである。
「ま、私の○○駅はちゃんと駅員さんもいるし、照明もあるし。間違い様がないんだけどね」
と自分を励まして、車内をくるりと見回すと、対角にいたホームレスと目が合った。
「あ……」
いつの間にか車内にはホームレスと私しかおらず。そのホームレスがこちらを凝視していたことに気付いた。
普通は視線が合えば逸らしもするだろう。だが私も視線を逸らすことはできず、ホームレスに至っては瞬き一つせず、じっと私を見つめていた。
距離があるにも関わらず、ざんばらの髪の間から覗くその目が血走っているのがわかる。
私がはっと自分の姿を見ると、スカートがたくしあげられていることに気付いた。ずるずると崩れ落ちたままの恰好だったのだ。白い太腿がちらりと露出している。
「やだ……!」
こんな格好で居眠りしていたのかと、慌ててスカートを直す。一瞬目線を外したその間に、ホームレスが座席を立っていた。その瞬間、車内の照明が節約状態に入る。
同時に、ホームレスがゆっくりとだが、私の方に歩いてきた。
「え、え?」
何か用が? まさか、堂々と襲う気? そんな考えが脳内を巡り、私は思わず背後に逃げようとしたが、手すりが邪魔で、それ以上後ろに行けない。
ホームレスとの距離が半分になった時、私は座席からずり落ち、転げ回るように逃げた。
「いや!」
脚がもつれてこけそうになるのを、すんでのところで耐える。
とりあえず、前の車両に行こう。必死に私は前の車両に駆けこんだが、そこにも誰もいなかった。最終電車には何度か乗ったことがあるが、ここまで乗客がいないのは初めてである。
なんで? と思いながら、運転手のところに向かう。運転者に話しかけるのは非常識と思いつつ、その扉を叩いた。
「開けて、開けてください! 変な人が!」
だが運転手は前を向いたまま、反応すらしない。防音なのかとさらに強く叩いたが、それでも運転手は気付いてくれなかった。
背後を見ると、ホームレスがこちらの車両に入ってくるところだった。
「いやぁ!」
あんなのに追いつかれたら、何をされるかわかったものではない。
次の駅まで十分近く。以前出会った痴漢に頬を舐められたことを思い出し、私は総毛だった。
「何かないか、何か!」
私は必死で筆記用具の中から、カッターナイフを取り出した。刃を全て出すと、ホームレスに向けて刃を向けた。
ふーっ、ふーっと、獣のような息遣いの自分に驚く。
「近づかないで! 近づいたら、危ないんだからね!」
本当に切りつけるつもりはなかったが、それがいけなかったのか。ホームレスは一瞬立ち止まったが、すぐにずるずると前進を再開した。
「来ないで! 来ないでよぅ……」
段々と自分の声がか細くなっていくのがわかる。いかに大柄とはいえ、相手の方が体も大きい。力づくで組み伏せられてしまうかもしれない。
そうしている間に、いったいどれほどの時間が流れたのか。突然、車内アナウンスが流れて私は我に返った。
「次は~○○駅~○○駅~」
電車にブレーキがかかる。私はまだ距離があることを確認してめったやたらにカッターナイフを振り回し、扉が開くまでの時間を稼ごうとして叫んだ。
「うわぁあああ!」
ホームレスが怯む。これなら時間が稼げる! 私は扉が開く瞬間を狙って、外に飛び出そうとした。
ホームに出れば、灯りもある。駅員に助けを呼べる。こんな怪しい奴、警察に突き出してやる! 私は息巻き、扉が開いた瞬間を狙って外に飛び出そうとして、ホームレスから目線を切った。
だがその瞬間、ホームレスは老人に似つかわしくない俊敏な動きで、私のその場に押し倒していた。
「いやだ! 放して、放してってば!」
カッターナイフは腕を握られた衝撃でホームに飛んでしまい、唯一の心の拠り所はなくなった。
私はホームレスを押しのけようと必死に抵抗したが、ホームレスは万力のような力で締め上げ、私の目をのぞき込み、突然怒鳴った。
「おい、お嬢ちゃんしっかりしろ! ここは、あんたが降りるべき駅じゃないぞ!」
「……え?」
その時、私はホームレスと思っていた老人の目を初めてしっかり見た。その目は必死さに血走ってはいたが、どこか優しく、こちらを心配するような光をたたえていた。
私はその目を見ると、徐々に冷静さを取り戻していた。そうだ、確かにおかしい。○×駅から私の○○駅まで、間に三つほど駅があるではないか。時間にして三十分以上。こんなに早く着くはずがないと。
私は改めて外を見た。扉の先から見える駅のホームも駅舎も、私の知っているそれで――
「――え? 駅の外の道は?」
駅の外に見えるはずの道が、一切なかった。自転車でも帰れるくらい明るいはずなのに。駅の外は、真の闇だったのだ。
今日は晴れだ。満月だってある。月明かりに照らされる道だってあっていいだろうに、月明かりさえも闇に溶けるというのか。
違う、これは私の知っている駅じゃない。私がそれを理解した瞬間、駅とホームの照明が順々にこちらに向けて消えていった。
「――あ」
「お嬢ちゃん、早く立つんだ! まずい!」
ホームレスの老人に抱き起されるようにして立つと同時に、外も電車も、照明が全て消えた。電車の赤い非常灯だけが薄ぼんやりと自分達を照らし、私は生まれて初めて自分の歯が恐怖でカチカチと鳴る音を聞いた。
ホームレスの老人も震えていたが、それでも私を庇うように立っていた。その声はやはり恐怖に震えていたが、それでも彼はしっかりと言い放った。
「お嬢ちゃんだけは何としても帰すからな! 気を強く持つんだ、いいね!」
「な、なにを強く持つって?」
「何が来ても、絶対に帰るって念じるんだ!」
暗闇に目が慣れ始める頃、止まっていたMDプレイヤーが突然動く。そして、再度音楽を流し始める。
『ここではないどこかへ~ツレテイッテ、アゲルヨ』
「いやぁ!」
不気味な声が聞こえ、私はMDプレイヤーを思わず投げ捨てた。投げたプレイヤーが、運転席の背後の透明な窓に当たる。
すると、正面を向いたまま、運転手の首がこちらを向いた。底のない穴のように真っ黒な凹凸のない顔についた深紅の目が、こちらをぎろりと睨んだ。
「チッ、オリナカッタノカ。オシイ」
闇の底から響くような車内アナウンスと共に、深紅の目が一際見開かれると、私の意識は暗転した。
***
私が目を覚ますと、目の前には心配そうな両親の顔と、部屋から飛び出していく看護師の姿。病院であることはすぐに理解できたが、事情はさっぱり飲み込めなかった。
どうやら私は、電車に乗ることなく駅のホームで気絶していたらしい。そして、病院に運ばれてから時間は三日経っていた。その間まるまる眠っていたとのことだった。
ダイヤの改正を知らなかった私だったが、最終電車は十分以上発車時刻が早くなっており、私がファーストフード店を飛び出したタイミングでは、どう足掻いても間に合わなかったことがわかった。
では私は何に乗ったのか。どこかどこまでが夢で、どこからが現実だったのか。その答えはわからなかったが、どうやら私が病院に搬送される段階で色々と不自然なことがあったらしく、両親が駅員から不思議な証言をいくつも聞いていた。
「ホームに人がいるはずがないんです。ええ、ホームは電車や機器の最終点検をして、清掃をして、十二時過ぎに閉めることになっています。他のホームはさらに遅くて、一時過ぎですね。
だから、娘さんを見逃すなんてことはないはずなんですよ。現に複数の人間で点検をした時も誰も娘さんを見ていませんし、清掃業者もそう言っています。
それに、あの日は線路の点検もあるから、その後で点検員たちが十人以上、ホームに入ってるんですよ。だから気付かないなんて、ありえないんです。
それが、どうして始発のための乗員たちが向かった時に、ホームに続く階段で倒れていた娘さんを発見したのか、全くわかりません」
駅員たちは警察にも事情聴取を受けたそうだが、揃いも揃って同じ証言をした。駅員たちは困惑し、警察は顔を見合わせ、両親はそれ以上追及する気も失せたそうだ。
私はとりあえず無事に退院できることを喜んだが、その途中で両親に気になったことを聞いた。
「ねぇ。一緒におじいさんが倒れていなかった?」
その質問をした瞬間、両親の動きが一瞬硬直したのを私は見逃さなかった。両親は否定したが、問いただしても無駄だとわかった私は、こっそり自分で調べることにした。
病院は駅からそう遠くない位置にあった。私は退院手続きをする両親に向けて休んだ間のプリントを塾でもらうと告げ、駅に向かった。その時自分の鞄を見てみたが、カッターナイフとMDプレイヤーだけ
がどうしても見つからなかった。
私がいつも使うホーム、そこに続く階段。まだ明るい時間には、人通りも多い。だがそこを歩く人々が、ある個所を避けていることに気付く。
「……?」
私がそしらぬふりでそこに近づくと、そこには明らかに人型の赤い染みがあった。手足の部分だけが妙に長くて、頭の部分も大きかった。
私も人波と同じようにそれを避けながら、行き交う人々のひそひそ話を聞いた。
「ねぇ、ここでしょ? 三日前に老人が倒れてたって」
「倒れたんじゃないわよ、死んでたのよ。しかもこの世の終わりでも見たんじゃないかってくらい、凄い形相で」
「女子高生も倒れてたって?」
「女子中学生じゃなくて?」
「やーね、変質者かしら?」
「女子中学生がやっつけたんじゃね?」
「だからって、四肢を引きちぎるように伸ばしてやっつけるかぁ? 頭なんてせんべいみたいに潰れてたってよ」
「内臓も酷い有様だったってな」
「やめてくれよ、これから飯だぞ?」
「女子中学生も死んだの?」
「そっちは無事らしいよ」
「ここ、三日三晩掃除しても消えないんだって。どれだけ血が流れたんだろうね」
「そういや、十年前にも同じようなことがあったよなぁ?」
「二十年前じゃなくてか?」
私はそんな声を聴きながら、呆然と近くの壁に寄りかかった。そして壁をつたいながらふらつく足取りで駅の構内を出ようとすると、最後に駅員らしき人達が話しているのを聞いたのだ。
「酷い死に方だったらしいですね、おじいさん。特殊清掃員の人達が吐いてたらしいですよ。こんな酷い死に方、見たことないって」
「ああ、お前は若いから知らなかったな。前にも何度かこういうことがあったんだよ。ベテランの警官が言ってたろ? 久しぶりですねって」
「あれ、挨拶じゃなかったんですか」
「顔見知りではあるけど、ここで長く働く奴にしかわからん符丁みたいなものだよ。十年前は若い娘さんが、二十年前は妊婦さんが、三十年前は若い男だったっけか」
「ひえぇ、呪われているんじゃないですか?」
若い駅員がわざと震える仕草をし、年配の駅員がその頭をぽかりと叩いた。
「こらっ、大きい声を出すな」
「すんません」
「しかし不謹慎だが、実際その通りかもなぁ。あの爺さん、実は十年前の若い娘さんの父親でなぁ。当時立ち会ったから知ってるんだよ。それからあの路線にいる何か――娘を殺した何かを突き止めてやるって、時間さえあればあの電車に乗ってたんだ。
立派な身なりをした人だったのに、段々とホームレスみたいになってなぁ。娘さんは確か結婚前だったし、奥さんはおかしくなるしで、気の毒だったよ」
「何ともならないんですか?」
「何度お祓いしても駄目だって、この辺の拝み屋は全員お手上げだそうだ。噂じゃ、この路線ができる前から存在してはいけない何かがいるってことだよ。どっかの拝み屋は駅の形をしているとか言ってたけどな。上に言わせりゃ、路線事故で死ぬ人間より少ないし、駅員には害がないからいいんだと」
「酷い話じゃないですか!」
「その通りだが、それが現実だよ」
そこまで聞くと、私はその場を去った。あの老人は私を助けてくれたのだ。もし彼がいなかったら、助言をくれなかったらどうなっていたか。それがわかると、涙があふれて止まらなかった。私はその場に膝まづき、何度も感謝の言葉を振り絞るように呟いていた。
その後、私は塾通いをやめた。親には負担をかけたくないからと言ったが、二度とあの電車に乗る気になれなかったのが一番の理由だ。
今の目標は、十八歳になったらすぐに車の免許を取ることだ。車があれば、二度とあの路線に乗らなくていい。それまでは地元の公立高校に進学し、卒業後に都心に出る。田舎が嫌なのもそうだが、あの路線に封印されたような土地にいるのがもっと嫌になった。
今日も中学に行く途中、あの電車が動いているのを見た。最近、乗客が少なくなり、さらに本数が減ったそうだ。この町も過疎化が進んでいるし、やがて廃線になるかもしれないとの噂が流れ始めた。
多くの人が不便だと言っていたが、一刻も早くそうなって欲しいと、私は心から祈った。
終わり
この作品は、一部フィクションです。
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