5年後
ごめんなさい。諸事情により投稿ペースがかなり遅くなります。
そして明けましておめでとうございます。
さて、私たちが転生してから五年が経った。速いのか遅いのかよく分からないスピードだったなぁ……
私は家、まぁ屋敷の廊下をふわっとしたワンピースで歩きながらここ五年で知った事を纏めてみる。
まず、この世界?国かな?のルールで、五歳以下は外に出ちゃダメらしい。やっぱ魔物……だっけ。がいて危険だからかな?
次にカイと私の関係性。
しっかりアリアスさんに言った通り、双子になってた。カイが一応お兄ちゃんらしい。
最後に両親。
両親はお母さんがクミ、お父さんがファル、という名前で、
何とこの二人、元冒険者。あ、冒険者って言うのは魔物とか倒したり、ダンジョンに潜ったり、地域の人の悩みを解決したり……色々な事をやる人……ってお母さんが言ってたっけな。
まぁお父さんとお母さんは一緒にパーティを組んでたらしい。
で、ダンジョンで大きな発見をして、王様に褒美として大公位を貰ったらしいんだよね。大公位って……どれだけ凄い発見なんだろうな……お母さんは優しくて、回復魔法が使える。ある日カイが屋敷で転んで擦りむいた時にお母さんが回復魔法で治してた。回復魔法が使えるって所はカイに似てる。と言うより見た目もそっくり。
赤髪に群青の目。カイよりかなり濃い髪色なんだけどね。
お父さんは……ハッキリ言うと脳筋。でもまぁ、強そうだし、何より家族の事を1番に考えてる。
お父さんの見た目は金髪。全く遺伝してない。で、赤色の目。
目だけ私に似てる。しっかり遺伝した感じにアリアスさん達が微調整してくれたのかな?有難い。
そう纏めているうちにとある部屋の前に来た。すると廊下の反対側から乳母さん……今ではほとんどメイドのサリィがやって来た。
サリィは私達が生まれて……転生?してきてからずっとお世話してくれてる人だ。本当にサリィには感謝している。
「サリィ、こんにちは。」
サリィにそう挨拶をする。
本当は敬語を使いたいんだけど、大公の令嬢だからね。一応私。
立場が反転すると社会的に良くない。
サリィが返事をしてきた。
「こんにちは。エレナール様。今日はいいお天気で。」
「ええ。そうね。それと、私の事はエレナでいいのよ?」
冗談めかして言ってみる。
するとサリィは首をブンブン振って、
「いくら何でもそれは………代わりと言ってはなんですが、エレナ様、とお呼びしてよろしいでしょうか?」
おぉ!エレナになった。肩苦しいの私苦手なんだよね。
出来ないことは無いけど。
ドアの前で話していたからか、ガチャ。っと音を立てて、部屋からカイが出てきた。
そう、目の前の部屋はカイの部屋なのだ。
私とカイは……3歳位の時から別の部屋になった。別の部屋と言ってもすぐ近く、二つ左の部屋なんだけどね。
だから、カイと情報を共有する為に毎日最低でも三回はカイの部屋に行ってる。まぁ、ただカイと遊びたいってのもあるけど……
「よう!エレナ!こんなにいい天気なのに外に出れないなんて……早く外に出て駆け回りてぇ!」
そんなカイの言葉に微笑するサリィ。
「カイ様。明日でございますよ。後十数時間なんですから、もう少し待っていて下さいね。」
そう、明日が六歳の誕生日。明日になれば外に出れる。
余談だけど、この世界も24時間。時計はあるけど腕時計はない。
異世界だから25時間!とかないんだなぁ……
そういえば、言葉は日本語じゃない。当たり前だけど。
つまり、日本語を喋っても他の人には理解不能と言う訳だ。
よくある「何故か異世界で日本語が通じる」という事は無い。
今サリィと話していたのはカレリス語。カレリスって言うのは大陸の名前。
この世界では、この星は平面になっていると考えられていて、北にマリン大陸、南にコウス大陸、西にウェズ大陸、そして、東にカレリス大陸。
ここはカレリス大陸だからカレリス語。という訳だ。
そして、この四つの大陸はほとんどが海に面している。
大陸を横断するには2つの方法がある。
一つ目は、普通に海を越える。
これが楽。時間はかかるけど……
二つ目は、全ての大陸の中心部、まぁ大陸四つが交わる所、に
ある禁忌の森を越えること。禁忌の森は、人間が忌み嫌う森で、おぞましい形の化け物などがいる……らしい。
「……!」
あれ?誰かが私を呼んでる?少し深く考えすぎた。
「エレナ様!急にボーッとして!どうかいたしましたか!?」
ありゃ。迷惑掛けたっぽい。
「そうだぞエレナ!大丈夫か!?」
カイにも心配されてしまった。
「ごめんなさい。少しいい天気過ぎてボーッとしてたの。」
「それなら良いのですが……」
本当にごめんなさい。
「そういやエレナ。お前何の為に俺の部屋まで来たのか?」
あ……忘れてた。情報共有……。
「遊びに来たの。カイ、部屋に入っていい?」
一応いいか聞いておく。
「もちろんだ!」
だよねー……カイらしい。
そうしてサリィが扉を開けてくれる。
カイと私は部屋に入り、正面にあるソファーに座る。
まだ五歳なのに豪華すぎ……ため息しか出ないよ……この部屋。
カイの部屋は小綺麗で、青色を基調としている。跳ねて遊べる位ふかふかなベッド、そのまんま寝落ちしちゃいそうな位座り心地のいいソファー、それにクローゼットも大きい。時計も何かキラキラしてるし……。お金かけすぎ……。
私の部屋も同じ感じで、メルヘンカラーを基調とした部屋。
部屋の豪華さに未だに慣れない。
心の中で大きなため息をついていると、
「エレナ様、カイ様、少しお茶を持って参ります。」
そう言ってサリィが退出した。
サリィがいなくなったのを確認した私達は顔を見合わせ、
「定期報告お願い。」
日本語で話しだす。
日本語で話しているのは万が一バレた時があっても、「宇宙人ごっこ」と言っとけば何とかなるからだ。と言うか実際この前これで通用した。
さて、カイの報告を聞くか……まぁ報告と言っても雑談だけどね。カッコよく言っているだけ。
「明日は遂に外に出られるな!!」
どれだけ外に出たいのよ。
「うん。そうだねー。」
「新しい発見をしたいんだ!!!!!俺は!!」
あー……うん。子供だなぁ……
「そっかー……。まぁガンバ。」
私の態度にカイが異議を唱える。
「いやいやいやいやいやいやいやいや!エレナは外に出たくないのか?」
「出たいよ。けど、はしゃぎはしない。」
カイが子供っぽすぎるだけだからね。
「あ、そういえば……」
カイが何か思い出したように言う。
「何?」
凄い気になるなぁ……
「今日から一週間父さんと母さんで剣術と魔法の事教えてくれる……って言ってた。」
え?マジで!!
魔法覚えたいんだよねぇ……
「エレナも一緒にやるか?」
「勿論!」
少し興奮してるな……私。落ち着け、冷静になるんだ。
けどやっぱ魔法使いたいよね!
「魔法は人類の夢だよ!」
興奮しながら私が言うとカイが呆れてる。
いつもの立場が逆転してるわ……。
「エレナの│持病《厨二病》が出たな。」
げっ……持病を発症してしまった。
私、実は│アレ《厨二病》なんだよねぇ……高校生にもなってきたから収まってるんだけど、未だにやっぱ魔法とかには反応するんだよなぁ……闇魔法とか……夢が詰まってるよね。
何か大事な事忘れてる気がする。まいっか。
カイに向かって話そうとした時、コンコンっとノックの音がして、
「入りますよ。」
と言って誰かが来た。恐らくサリィじゃないかな?声が違う気がするけど……
そうして入ってきた人物を見ると、何と、
お母さんだったのだ。
「お母さん!?何でここに?」
驚きの余り聞いてしまった。
「カイが伝えてないのかしら?剣術と魔法のお勉強の時間ですよ?」
ついさっき聞いたけど……時間までは聞いてない。
「あ!エレナに伝えるの忘れてた!!」
それを聞いてお母さんは苦笑い。
「あはは。カイったら忘れん坊ねぇ……」
「ごめん!母さん。」
すかさずカイが謝る。珍しい。謝るなんて。
「別に大丈夫。」
そうしてカイの頭を撫でる。
「恥ずかしいからやめてくれよ……」
カイが赤くなってる。後でからかってやろ。
そう思っていると、
「あら、エレナの髪の毛が崩れているじゃない。直すからじっとしててね。」
私にも矛先が……しかもカイが笑いを堪えてるし……後であいつ1発ぶちかましたろ。
お母さんは懐から櫛を取り出し、慣れた手つきで髪を整えてく。
そうしてあっという間にアップサイドポニーにされた。
髪質のせいだけどパーマかかったみたいになってるし。
カイの髪は転生前からだけどボサボサだなぁ……所々ハネてるし。
整え終わり、櫛を懐にしまったお母さんは
「さぁ、行きましょ。」
と言って私とカイの手を繋いで部屋を出た。
ったく。見た目は子供だけど…心は高校生だから恥ずかしい…うぅ…
迷いそうな廊下を迷わず進んでいくお母さん。流石、ずっと住んでるだけあるな。
「さて、着いたわよ。」
なんやかんやかなり歩いた気がするなぁ…
そんなことを考えてたら、カイが
「エレナ!!!見ろよ!この庭めちゃくちゃ広い!!!!」
そう言われたので下を向いていた私は正面を向く。すると、驚く程に広い。東京ドーム何個分なんだ?20個?50個?とにかく滅茶苦茶広い。語彙力無くなるほど広い。
「ん?」
反対側から誰か来る?思わず声に出してしまった。
「エレナ、反対側から誰か来てないか?不審者?」
どうやらカイにも見えてるようだ…うーん、誰?
考えてたら急にお母さんが笑いだして、
「不審者はないわよ、アハハ、あれはお父さんよ。」
あ!お父さんか。よく見たらそうだ。
「カイ、エレナ、今から剣の稽古を行う。別にエレナはやらなくても良いぞ?危険だからな。カイ、覚悟は出来ているか?」
気遣ってくれてるのか、男尊女卑なのか…分かんないけど私は剣を扱ってみたいんだよなぁ…ナイフなら昔一回だけやった事はあるけど…
「お父さん、私はやるよ!剣を使えたほうが、襲われた時に対処できるからさ!」
そう言ったらお父さんは満足げに頷いて、
「なら、二人とも覚悟は出来ているか?」
覚悟?そんな物答えは一つ。カイとアイコンタクトをとって、一緒に言う。
「「勿論!(だ!)」」
こうして、稽古は始まった。
カイ「まりまりはさ、剣と魔法どっちが好き?」
エレナ「うーんっとねぇ…銃かな?」
カイ「選択肢にないんだけど…ま、取り敢えずカンペ!」
二人「「面白いと思ったらブクマ、評価、よろしくお願いします!」」